旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2022年8月19日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

天空の露天風呂と12の湯船で温泉三昧の旅。東伊豆「熱川プリンスホテル」

最上階の露天風呂「薫風」からの爽快な眺め。ちょこんと突き出た小さな島は、伊豆七島の一つ利島(としま)。zoom
最上階の露天風呂「薫風」からの爽快な眺め。ちょこんと突き出た小さな島は、伊豆七島の一つ利島(としま)。
そろそろ夏疲れがたまってきた7月末、1泊2日のプチ夏休みを兼ねて東伊豆の熱川まで出かけてきました。東京から新幹線と伊豆急行を乗り継いて約2時間の伊豆熱川は、江戸城を築城した太田道灌が発見したといわれる「太田道灌ゆかりの温泉」です。

12の個性豊かな湯船。目指せ、全湯船制覇!
海に山が迫る傾斜地に、10数軒の温泉宿が点在する熱川温泉。13本の温泉櫓は日本各地の温泉地のなかでも最大数で、豊富な湯量を誇ります。今回滞在したのは、1959年に創業した歴史あるホテルのひとつ「熱川プリンスホテル」。温泉街を一望できる高台にあり、温泉櫓から立ちのぼる湯気の向こうに広がる、相模湾と伊豆大島の眺望が自慢の宿です。
5つの湯船がある大浴場「空色」。12種類すべての湯船に浸かるには、2泊以上がおすすめ。zoom
5つの湯船がある大浴場「空色」。12種類すべての湯船に浸かるには、2泊以上がおすすめ。
熱川温泉のお湯の温度は、約100℃という超高温。深手を負った太田道灌が傷を癒したと伝わることから「奇跡の湯」の別名をもち、天然の保湿成分・メタケイ酸を多く含む「美肌の湯」でもあります。このホテルの自慢は、2本ある自噴源泉を引いた12種類の湯船がある大浴場。館内に7つの浴槽をもつ「海色」と5つの浴槽を楽しめる「空色」の2カ所があり、夜と朝で男性用と女性用が入れ替わります。と知れば、“全湯船制覇”を目指したくなりますよね。

チェックイン後はさっそく浴衣に着替え、大浴場へ。ガラス張りの展望大浴場、相模湾を一望する露天風呂、伊豆名産の蜜柑がぷかぷか浮かぶ「みかん風呂」、ハーブ入りのジャグジーや陶器製のお風呂へと、ホッピングです。

ハイライトは空と海につながっているように見える屋上の露天風呂「薫風」(冒頭の画像)。海抜80mの高台から一望する相模湾の景色は、爽快そのもの。目の前に迫る伊豆大島の近さにも驚きます。この日は30度を超える猛暑だったのですが、露天風呂に吹き抜ける海風が涼しさを運んでくれ、ずうっと浸かっていたいくらいの心地よさ。湯上りのビールが美味しかったことは、いうまでもありません。
貸切利用できる家族風呂は2カ所。陶器製の湯船がある「星明かり」(右)は、ウッドデッキ付き。zoom
貸切利用できる家族風呂は2カ所。陶器製の湯船がある「星明かり」(右)は、ウッドデッキ付き。
誰にも気兼ねなくくつろぐなら、2カ所ある貸切家族風呂(予約制、2200円)へ。ヒノキの香りが心地いい「月明り」と、陶器製湯船の「星明かり」があり、開け放たれた窓から流れてくる森の香りにも癒されます。

デイベッド付きのプレミアムルーム「Qoomo(くーも)」
客室数は全48室。和室、和洋室、ツインタイプなど豊富な客室バリエーションから、最上階のプレミアムエリア「Qoomo(くーも)」の1室へ。海が一望できる窓際に大きなデイベッドが置かれ、ここにゴロンと寝転がると目に入ってくるのは空に浮かぶ雲だけ。その広さを感じながらくつろいでいうちに、日ごろの疲れもストレスもすべて洗い流されていくようでした。
窓際にデイベッドドが置かれた「Qoomo」は全5室。湯あみかごとオリジナルアメニティが付き、露天風呂付きの部屋もご用意。zoom
窓際にデイベッドドが置かれた「Qoomo」は全5室。湯あみかごとオリジナルアメニティが付き、露天風呂付きの部屋もご用意。
夜のお楽しみは、屋上のスカイテラスからの眺め。夏の間と満月・新月の前後だけオープンする「海と星空のBAR」では、心地よいジャズの音を聞きながらオリジナルカクテルを楽しめます。屋上露天風呂と、スカイテラスに併設する足湯からも同じ景色を眺められるので、湯上りの涼み処にもぴったり。この日の夜は空気が澄んでいて、天の川までくっきり見えました。
星空の美しさに感動する屋上スカイテラス「海と星空のBAR」。ワインコインで地ビールやオリジナルカクテルも楽しめる。zoom
星空の美しさに感動する屋上スカイテラス「海と星空のBAR」。ワインコインで地ビールやオリジナルカクテルも楽しめる。
海から昇る太陽と早朝の露天風呂をひとり占め!
翌朝は早起きをして再び屋上の露天風呂へ。伊豆半島の東側に位置するこの場所からは、海から昇る朝日を眺めることができます。ひんやりとした朝の風と少しずつ高くなる太陽に、体じゅうがどんどん目覚めていき、早朝に流れる静かな時間には大きな癒しパワーがあることを実感しました。

名だたる温泉地に事欠かない伊豆半島。それぞれ個性的で魅力的な温泉があるなか、熱川温泉は湯量が豊富なうえ泉質がよく、こじんまりとしていて落ち着ける雰囲気。1泊2日の滞在では、少々物足りないかもしれません。エステメニューを組み合わせた2泊3日の「酵素ファスティングプラン」があるほか、コワーキングスペースも用意されているので、静養とワーケーションを兼ねて少し長めの滞在をしてみるのもよさそうです。
早朝の屋上露天風呂。左側に見える雲をいただいた島が伊豆大島。zoom
早朝の屋上露天風呂。左側に見える雲をいただいた島が伊豆大島。
8月1日からはカルチャー教室『mizi-cul(ミジカル)』も開校しています。講座の内容は“自分磨き”と“地域交流”をテーマとし、『美と健康』『いやし』『伊豆の食』『ものづくり』の4分野でいずれも伊豆にこだわった内容。ホテルのゲストだけでなく、地元の人やビジター利用もOKとのこと。旅行者と地域の人のコミュニケーションの場として、これから人気が高まってきそうです。

※「熱川プリンスホテル」自慢のお料理は、こちらをチェック!

伊豆といえばキンメ! 海の幸、山の幸を堪能する美食の宿「熱川プリンスホテル」

■熱川プリンスホテル
静岡県賀茂郡伊豆町奈良本1248-3
TEL 0557-23-1234/0120-12-707(予約専用)
CHECK IN/OUT 15:00/10:00
料金:1泊2食付き19,950円~(2名1室利用時の1名料金、税・入湯税込み)
https://www.atagawa-prince.co.jp/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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