旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2020年11月7日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

ソラシドエアの感染症対策を見ながら就航開始10周年の大分へ

出発OKのサインをもらい大分空港から出発するソラシドエア機zoom
出発OKのサインをもらい大分空港から出発するソラシドエア機

ソラシドエアで行く大分観光
東京羽田空港と大分空港を結ぶソラシドエアの路線は、就航開始から10周年を迎えました。地域振興・機体活用プロジェクトも28回を数え、利用者のあいだで定着してきました。コロナ禍でプロモーション自体が減っていましたが、ソラシドエアでは今回の大分県南3市の告知で誘客事業を再開しました。大分空港でのセレモニーに参加するために、羽田空港から出発しました。

羽田空港での快適チェックイン
ソラシドエアが進める感染症対策は「安心できる空の旅へ ソラシドエアができること」を合言葉に、他社と一味違う取り組みを進めています。羽田空港で新型コロナウイルス感染症対策を見ることができました。第二ターミナルビル2階奥にピスタチオグリーンの看板が光り、お客様を迎えています。カウンターまわりはいくつかの感染症対策ができています。

その中でも、ソラシドエアが航空業界で初めて運用するのは「Air ウェイト」。チェックインの順番受付を行う管理システムです。自動チェックイン機に加え、有人のチェックインが必要な旅客を列並びの苦痛から解放します。人数や行き先を選択し、レシートを取り、近くのソファなどお客様の好きな場所で番号の呼び出しを待つというもの。また、レシートのQRコードを読み取れば、呼び出しメールが来るので、離れた場所で食事したり土産物を買うことができます。

貸し出しの車椅子やベビーカーも未使用と使用済みがはっきりと分かれており、消毒が徹底されています。機内持ち込み手荷物は機内混雑の解消の為にできるだけ預け入れを推奨していますが、機内持ち込みを考える旅客向けに、羽田空港第2ターミナル 51番・54番搭乗口に不織布の「手荷物おまとめ袋」を用意し、機内で手荷物が直接床に触れることの無いような工夫がされています。

ソラシドエアの感染症対策を語る後藤田さんと「Air ウェイト」zoom
ソラシドエアの感染症対策を語る後藤田さんと「Air ウェイト」

空港職員に聞く
空港業務を行う後藤田さんに聞きました。「新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、カウンターまわり、ベビーカーや車椅子の除菌であったり、導入したAir ウェイトが今後活躍していくと思います。実際、今年九州地方を直撃した台風14号の混乱の際にも、ソラシドエアでは“カウンター待機ゼロ”を実現することができました。お客様にこれからも安心してご搭乗頂けるように努めて参ります」と笑顔で話してくれました。
搭乗ゲートでは、案内の順番を変えて機内でスムーズに搭乗客が流れるような対策をしています。お子様連れ、お手伝いが必要なお客様を優先搭乗とし、窓側席、中央席、通路側席と4つの順番にグループ分けされています。

機内での感染症対策
機内では客室乗務員がマスクと手袋を着用し、搭乗客を迎えます。機内誌は、各座席には置いておらず、希望者は客室乗務員に伝えればもってきてくれるスタイルに変更されていました。機内販売商品もホームページから購入できるように変わり、利便性が損なわれないように工夫をしています。

機内サービスでは、温かい飲み物の提供は控えており、冷たいリンゴジュースと緑茶のみをカップで提供していました。機長からのアナウンスでは、機内ではマスク着用をお願いしており、使用への感謝の言葉に加え、航空機の空調システムは、機内の空気を約3分間で全て入れ替えているのでご安心くださいとの話もありました。

客室乗務員に聞いてみた
ソラシドエアのカラーであるグリーンの花をあしらったブローチをつけていることについてきいてみると「シトラスリボンプロジェクトと言い、コロナウイルスに感染した人が偏見、差別無くし、エールをおくるという意味で、客室乗務員だけでなく、パイロットや地上係員も付けております」と教えてくれました。

新型コロナウイルス感染拡大防止の為に、お手洗いはお客様が入られた後に必ず清掃点検するようにしているとのこと。機内での感染症対策はしっかりとできています。

大分空港にて
大分空港に着いてまず向かいたいのは、大分空港の展望デッキです。場所はターミナルビルの3階で、ウッドデッキがとてもおしゃれな空間です。飛行機との距離も近く、正面には海も見え、青い海と青い空、山のコントラストが美しく、高低差のある非常に気持ちの良いデッキです。ソラシドエアの出発を見送ってレンタカーで空港を後にしました。

宿泊にこだわる大分、別府観光へ
コロナ禍ということもあり、到着した大分での今回の観光のテーマは宿へのこだわりです。1泊目は別府を代表する「別府温泉杉乃井ホテル」。2泊目は新たにリブランドオープンした「別府風雅」です。
温泉滞在をアクティブに楽しむ1泊目と、大人の記念日のような気持ちで贅沢にゆっくりくつろぐ2泊目と、大きくスタイルを変えてみました。それぞれに共通するのは、眺望の良さに加え、食と温泉の楽しみ。わざわざ展望台などに昇らなくても、部屋に居ながらにして別府湾の大パノラマを見ることができました。両者に共通するのは、外に行かずにホテルの中だけでも充分に満足できる滞在型宿泊施設であるということです。その分、今回は観光の時間が少なくなってしまいましたが、お勧めの場所をいくつか紹介します。

八幡奈多宮の奇跡
大分空港からほど近く、海に浮かぶ幻想的な鳥居の写真に魅せられて向かったのは奈多八幡宮です。青空の下に広がるどこまでも碧い海。くまなく探してみますがお目当ての海の中の鳥居が見つかりません。御朱印を頂きながら社務所で聞いてみると、9月の台風で鳥居が流されてしまったとのこと。とても残念でしたが、なんと流された鳥居が数日後に神社横の川に流されて戻ってきたという話を聞き、やはり霊験あらたかな場所だと感じずにはいられませんでした。

杵築城へ
杵築城へ向かいました。室町時代の1394年に築城し、600年もの間、規模は小さいながらも三層の天守閣が町を見守って来ました。現在の城は昭和45年に建てられた模擬天守ということでしたが、天守閣からは、杵築市内と守江湾も見ることができ、応永元年に思いを馳せることができました。また城の周りには城山公園が広がり歩いていてとても気持ちのいい場所でした。

八幡奈多宮の鳥居の向こうに広がる海と杵築城zoom
八幡奈多宮の鳥居の向こうに広がる海と杵築城

大分市街へ
杵築城から別府市街を目指します。別府タワーなどをめぐり、別府市を出て大分市へ。田ノ浦アイルのカピタン号と桂由美プロデュースの恋人の聖地で改めて別府湾の広さを確認しました。

田ノ浦ビーチ 恋人の聖地のふたり zoom
田ノ浦ビーチ 恋人の聖地のふたり 

大分銀行赤レンガ館
大分市内で行ってみたかったのはタウトナコーヒーです。歴史ある「大分銀行赤レンガ館」の中にあります。大正2年に建てられた建物は、国の登録有形文化財にも指定されています。天井が高く、広々とした空間に、コーヒーの香りが漂います。2018年にリニューアルされたこの場所は、Oita Made株式会社が大分産品を売る店としても活用しています。ここでだるま鈴を見付けて購入しました。微笑むだるまに幸せな気分でお店を後にしました。

タウトナコーヒー赤レンガ店の店内と外観zoom
タウトナコーヒー赤レンガ店の店内と外観

湯けむり展望台へ
宿泊する別府市内へ戻り、湯けむり展望台へ。鉄輪(かんなわ)温泉の中にあり、鶴見岳、扇山を一望できます。けむりのあがる量や間隔などまちまちではあるものの、NHKの「21世紀に残したい日本の風景」で富士山に次いで2位になった光景です。もくもくと立ち上がる湯けむりと、別府温泉の街並、自然豊かな山々が見渡せる美しい景色です。日本一の湧出量を誇る別府温泉、迫力があります。

昭和レトロな佇まいへ
別府らしい場所を訪ねてみたいと向かったのは、「べっぷ駅市場」です。JR九州ビルマネージメントが管理するレトロな25店舗の商店街です。有名なのは、惣菜を扱う「野田商店」。名物の巻きずしやいなり、コロッケ、おからなどすべてが容器からはみ出るジャンボな盛り付けで知られています。いつまでも残って欲しい昭和の風景です。

時間があれば、別府ロープウェイで標高1,300mの鶴見岳山頂へ10分で一気に登山です。山頂からは、鶴見岳の木々の紅葉や、色鮮やかな花々の景色が楽しめるとのことですが、山頂では市街地と6℃以上の気温差があるとのことで、厚い上着が必要です。

湯けむり展望台からの風景、別府ロープウェイ、べっぷ駅市場zoom
湯けむり展望台からの風景、別府ロープウェイ、べっぷ駅市場

海、山、食、温泉と観光要素のぎっしり詰まった大分。まだまだ見どころがいっぱいあります。次回は県南を目指そうと思います。

※記事は10月中旬現在のものです。

取材協力:ソラシドエア    ⇒ https://www.solaseedair.jp/
     ツーリズムおおいた ⇒ https://www.visit-oita.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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