トラベルコラム

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2020年9月29日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

出現率は、ほぼ100%! 都心のオアシス『ホテル椿山荘東京』の雲海体験

都心の庭園に朝・昼・夜の1日10回程度、雲海が出現します。zoom
都心の庭園に朝・昼・夜の1日10回程度、雲海が出現します。
眼下一面に雲が広がり、幻想的な景色を見せてくれる雲海。高い山の山頂や、航空機のなかから見られますが、都心で、しかも確実に見ることができる場所があるんです。それが、『ホテル椿山荘東京』。10月1日からスタートする「庭園プロジェクト」の一つ「東京雲海」では、都会にいながらにして雲海のなかを歩き、自然の森や山を散策する気分を味わえます。

南北朝時代から続く景勝地“つばきやま”
『ホテル椿山荘東京』がある目白台・関口一帯は、1300年代の南北朝時代より“椿山(つばきやま)”と呼ばれた景勝地。現在、ホテルがある敷地は明治時代に内閣総理大臣を務めた山縣有朋がほれ込み、1878(明治11)年に自身の庭園と邸宅を築き、“椿山荘(ちんざんそう)”と名付けました。その後、大正時代には関西の実業家・藤田平太郎が所有し、『ホテル椿山荘東京』として開業してから2022年には70周年を迎えます。
雲海を見て、触れることができる庭園散策。zoom
雲海を見て、触れることができる庭園散策。
国内最大級の霧の庭園で楽しむ「東京雲海」
雲海は山間部などで放射冷却が起こり、気温、湿度、風などの条件がすべてそろって初めて発生します。せっかく高山へ出かけて行ったのに見ることができず、悔しい思いをした人もいることでしょう。けれど、ここに来ればそんな心配はなし。開業70周年の2022年に向けて3か年計画で実施する「庭園プロジェクト」の一つ、「東京雲海」では1年を通じてほぼ100%、しかも1日何回も見ることができると聞けば、一度、出かけてみたくなってきませんか。
庭園内に設置された約2000個のノズルから、自然の雲や霧と同じ細かい水の粒子を噴射する雲海の発生は、朝・昼・夜の1日10回程度を予定。ランチやアフタヌーンティー、ディナーなどの日帰り利用でも鑑賞できますが、早朝と深夜に発生する“大雲海”は宿泊ゲストだけのお楽しみ。朝は霧の粒がキラキラと輝き、夜は幽玄の世界が広がり、季節と時間ごとに異なる表情を見せてくれます。
秋の味覚を、雲海をイメージしたディナーメニューやスイーツに。zoom
秋の味覚を、雲海をイメージしたディナーメニューやスイーツに。
雲海をイメージしたメニューと、飲み放題付きのお得な野外ディナーも!
館内にあるイタリアンレストラン『イル・テアトロ』、料亭の『錦水』をはじめとした各レストランでは、それぞれ雲海をイメージしたディナーコースを提供するほか、期間限定のスイーツが登場。なかでもおすすめなのが、野外ディナーの「東京雲海GARDEN TERRACE DINNER」。心地よい秋空の下、庭園のテラスで提供されるフレンチのショートコースに、シャンパン、ワイン、ビールなどのフリードリンク付きで1万円(税・サービス料込)というお得な内容です。10月中のみの開催で、実施日が限られているので、予約は急いで!
日没から23時まで実施される「千の光のライトアップ」。zoom
日没から23時まで実施される「千の光のライトアップ」。
ライトアップに流れ星、虫の声&時の鐘で秋の夜長を楽しむ
庭園内でのお楽しみは、雲海だけではありません。立体サラウンドシステムを使って庭園内に虫の音や鳥のさえずりを自然に近い形で演出。江戸時代に時間を告げていたという鐘の音も再現し、かつてこの地の隣に住まいを構えた松尾芭蕉や、江戸っ子たちが暮らした時代に一瞬、タイムトリップした感覚を味わえます。19時30分と21時30分には、約30秒かけて庭園内を横切る流れ星の演出も楽しみです。
かつての“つばきやま”復活を目指し、ツバキの植樹が行われます。zoom
かつての“つばきやま”復活を目指し、ツバキの植樹が行われます。
約1万本のツバキを植樹する「椿山(つばきやま)復活プロジェクト」
開業70周年の節目の年に当たる2022年に向けて、庭園内にヤブツバキ約1万本を植樹するプロジェクトも予定されています。現在の庭園内には100種約1000本のツバキがありますが、『椿山荘』の名前の由来ともなった“つばきやま”と呼ばれたころの景観にはまだまだ及んでいない状態なのだとか。南北朝から江戸時代、そして山縣有朋が愛した明治のころ、1~3月に赤いツバキに包まれていた景観が蘇るまで、このプロジェクトは継続されるとのことです。
緑深い庭園が広がり、都心のオアシスのような存在でもある『ホテル椿山荘東京』。近くには神田川に沿って桜並木が続く江戸川公園や、熊本54万石の細川家の下屋敷であった肥後細川庭園など、自然の景観を楽しめるスポットも点在します。秋のひととき、「東京雲海」とともに癒し時間を過ごしに訪れてみてはいかがでしょうか。

●ホテル椿山荘東京
東京都文京区関口2-10-8
TEL 03-3943-1111(代表)
https://hotel/chinzanso-tokyo.jp/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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