旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2020年9月27日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

お酒好き、尾瀬好き必見! 美味しく飲んで尾瀬の環境保全をサポートできる『MIZUBASHO Artist Series』

片岡鶴太郎さんがボトルラベルを描いた『MIZUBASHO Artist Series』(群馬県・永井酒造)。zoom
片岡鶴太郎さんがボトルラベルを描いた『MIZUBASHO Artist Series』(群馬県・永井酒造)。
はじめて尾瀬ヶ原を訪れたのは、3年前の5月中旬。豪雪だったこの年、木道の半分以上がまだ雪の下。雪解けの下からようやく顔をのぞかせた、親指ほどの大きさのミズバショウの可憐なたたずまいが印象に残っています。以来、いつか違う季節に再訪したいと思っている尾瀬。その自然保護活動をサポートするプロジェクトと連携する日本酒が発売されると聞き、発表会に出掛けてきました。

尾瀬の自然環境を守る『尾瀬の水芭蕉プロジェクト』の活動資金として、売り上げの5%が寄付されます。zoom
尾瀬の自然環境を守る『尾瀬の水芭蕉プロジェクト』の活動資金として、売り上げの5%が寄付されます。
“尾瀬の環境保全”がコンセプトの新商品『MIZUBASHO Artist Series(水芭蕉アーティストシリーズ)』

9月10日より『MIZUBASHO Artist Series』と名付けられた日本酒の販売を開始したのは、群馬県川場村に本社と工場を構える永井酒造。1886年に創業し、130年以上の歴史をもつ酒蔵です。永井則吉社長からは、新商品紹介と同時に、尾瀬の象徴でもあるミズバショウを中心とした自然環境を守るための『尾瀬の水芭蕉プロジェクト』の概要が発表されました。

永井酒造を代表する銘柄でもある『水芭蕉』ブランドは、1992年に誕生。世界初の本格的瓶内二次発酵発泡清酒『MIZUBASHO PURE』の開発や、コース料理と日本酒とのペアリングを楽しむ『NAGAI STYLE』の提案など、次々と新しいプロジェクトを仕掛け、日本酒業界に新風を吹かせています。
今回の新商品発表とプロジェクトとの連携について永井社長は、
「日本の気候と文化、技が凝縮されてできた日本酒の需要が減り、酒蔵の数もピーク時の3分の1まで減少していること。また、永井酒造がある群馬県に位置する尾瀬国立公園の自然環境が、世界的な気候変動やニホンジカによる食害により脅かされていることを憂いているため」と語りました。本プロジェクトでは、永井酒造を中心とした3社がチームを結成し、新商品の売り上げの5%を尾瀬の自然環境を守る活動資金として寄付するといいます。この寄付金は、地元・尾瀬高校の環境学科や地域ボランティアを中心とした、ミズバショウの苗の育成・植え付けのために使われるのだそう。将来的には日本の原風景を守るプロジェクトとして、世界へ発信していくことも目的としているとのことです。
今回の新商品とプロジェクトについて発表する、永井則吉社長。zoom
今回の新商品とプロジェクトについて発表する、永井則吉社長。
片岡鶴太郎さんが描いた、可憐なミズバショウのボトルラベルに注目

『MUZUBASHO Artist Series』の誕生に当たり、まず注目したいのが美しいボトルラベル。“Artist Series”と名付けたのは、アーティストが「尾瀬の水芭蕉の花」をイメージして描いたイラストをラベルデザインに採用し、日本酒にアートという付加価値を創出するため。記念すべき第一弾を手掛けたのが、タレントで画家としても活躍する片岡鶴太郎さんです。
群馬県・草津温泉に『片岡鶴太郎美術館』を開設し、永井社長とも親交が深い鶴太郎さんは、
「ミズバショウはいつか描いてみたいと思っていたモチーフ。ミズバショウがもつ清潔感と透明感を表現したつもりです。タイトルを付けるなら、“夏の香り”かな」と話してくれました。
油絵の具で描かれたミズバショウは、筆を使わずすべて指を使って仕上げたものだとか。初夏を思わせる清々しい色合いに、どこかはかなげなミズバショウのイメージがぴったり重なっているようにも思えます。
ヨギーとしても知られ、引き締まった体つきが目を引く片岡鶴太郎さん。zoom
ヨギーとしても知られ、引き締まった体つきが目を引く片岡鶴太郎さん。
日本酒の新たな可能性を掘り起こすための挑戦

アーティストとコラボレーションしたボトルラベル以外にも、食とのペアリングとカジュアルライフの提案、女性インフルエンサーとのコラボ、食のバリアフリーを目指したヴィーガン対応など、全部で6つの挑戦を掲げています。食とのペアリングでは2004年に同社が発表した『NAGAI STYLE』に基づき、これまであまり日本酒に親しんでこなかった女性や若い世代へのアプローチを目指しているそう。20~40代の女性にアプローチするため、トラベル、ビューティー、ライフスタイルなど各分野で活躍する女性インフルエンサーとのコラボを行い、さまざまなイベントを仕掛けていくとのことです。
各分野で活躍する女性インフルエンサーたち。これまで日本酒にあまり親しんでこなかった女性にアプローチする活動を行います。zoom
各分野で活躍する女性インフルエンサーたち。これまで日本酒にあまり親しんでこなかった女性にアプローチする活動を行います。
楽しく、カジュアルに楽しめる3種類のラインナップ

「Sparkling(スパークリング酒)」「Still(スティル酒)」「Dessert(デザート酒)」の3種類のラインナップで展開する『MIZUBASHO Artist Series』。食前酒におすすめの「Sparkling」は、ミズバショウの可憐な花を連想させる、フローラルスパークリング。口当たりの優しいシルキーな泡と、白桃やリンゴのような香りが特徴です。食中酒として様々な料理と気軽に合わせられるのが「Still」。ライチのような甘い口当たりとフルーティーな香りは、和食はもちろんエスニック料理にも合いそう。そのまま飲むのはもちろん、スイーツやフルーツとのペアリングを楽しみたいのが「Dessert」。パッションフルーツやアプリコットのような上品な甘みがあり、チーズとの相性もよさそうです。

普段、自宅ではビールかワインしか飲まない私ですが、「Sparkling」は休日のランチに良く冷やして飲んでみたら、爽快でおいしいこと! 「Still」は軽い白ワイン感覚で、「Dessert」はこれからの季節、秋の夜長に読書や音楽を楽しむときに味わってみたいと思っています。
片岡鶴太郎さんを皮切りに、新しいアーティストとのコラボレーションを予定しているそうです。zoom
片岡鶴太郎さんを皮切りに、新しいアーティストとのコラボレーションを予定しているそうです。
日本酒の新たな可能性を秘めた『MIZUBASHO Artist Series』。鶴太郎さんに続き、どんなアーティストとのコラボが見られるのか、また女性インフルエンサーの今後の活躍にも注目したいと思います。
できれば、「何本飲めば、ミズバショウの苗1株分」とか、目安があるともっと飲むのが楽しみになりそう。とはいえ、飲み過ぎには注意しなくては!

●協力
永井酒造株式会社
群馬県利根郡川場村門前713
http://www.mizubasho.jp/ 
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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