旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2020年2月8日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

北欧の最速便で冬のハンブルクへ

成田空港を離陸するエアバスA350-900型機zoom
成田空港を離陸するエアバスA350-900型機

フィンエアーの強み
日本から欧州に向かうフライトに乗ると、最初に現れる欧州がフィンランドのヘルシンキ。フィンエアーは、ここから欧州各地へ向かう地理的な優位性を生かし、日欧間を飛ぶエアラインの中で単一都市へ最大便数を就航させています。そんなフィンエアーの特色が活かせる目的地は多くありますが、東欧は勿論のこと、西欧でもドイツの北部はその利便性を大いに享受できる場所。今回の目的地はハンブルク。ドイツで人口がベルリンに次いで二番目に多い港町で、ヘルシンキから実質2時間以内で到着します。
日本とフィンランドが外交関係を結んで100周年の年となる2019年の暮れに、成田空港からフィンエアーに乗ってみました。
昼間便の往路がエコノミークラス、夜間便となる帰路はビジネスクラスを利用しました。

ビジネスクラスからの機窓zoom
ビジネスクラスからの機窓

座席の様子
フィンエアーは、欧州のエアラインで最初に最新鋭機A350を導入しました。
2015年から就航を開始し、日本線には2017年に導入されました。ビジネスクラスが1-2-1配列で46席。3-3-3の標準配列でエコノミークラスが251席あり、43席のシートピッチの広いエコノミーコンフォートシートが含まれています。

エコノミークラスは、水色のさわやかな座席が並びます。座席には、クッションとブランケットが置かれ、シートバックポケットには小さなミネラルウォーターボトルが入っていました。ビジネスクラスは、フルフラットのシート。リバース ヘリンボーンシートは窓側に向って足を延ばすので個室感が増しています。窓側で斜めになる空間には収納があり、大型テーブルが収まります。通路側はひじ掛けにもなる上下に動くデバイダーとヘッドフォンが入る収納があります。

エコノミークラスでは機内誌「Blue Wings」などがシートバックの上部に収納されていました。ビジネスクラスでは、足もと横に収納があり、その中にミネラルウォーターのボトルとともに納まります。アメニティはトラベルキットと呼び、マリメッコブランドです。スウェーデンのスキンケアブランド「L:a Bruket」のものが入ります。フィンエアーの為に開発されたもので、特別デザインで提供されています。ラバトリーに置かれるソープやスキンケア製品もこのブランドでした。

エコノミークラスサービスの様子zoom
エコノミークラスサービスの様子

機内誌と免税品販売
機内誌では、新千歳空港への就航開始に合わせて札幌特集が組まれていました。
北欧ではスノースポーツが盛んです。札幌のパウダースノーが紹介され、訪日観光を促進します。富良野の居酒屋が掲載されるなど、英語ではあるもののかなり突っ込んだ日本の紹介がされていて興味深いものがありました。

機内販売は、機体重量が重くなり燃費が悪くなる環境問題で減少していますが、フィンエアーでもその方向性を打ち出しています。93ページがプリオーダーで35ページが機内販売という構成。予約数だけ搭載し機内でお客様に渡されるので無駄のない手法です。

インフライト・エンターテインメント
エコノミークラスでインフライト・エンターテインメントの11インチサイズは最大級。タッチパネルで最新映画など楽しめます。映画・TV・音楽・ゲーム・インターネット別にプログラムが用意されています。インターネットは「ノルディック・スカイ」のサービス名称があります。ネット接続は有償(ビジネスクラスは1時間無償)ですが、アプリ内の新聞や雑誌は一部無償で提供されています。日本語では、「毎日新聞」の電子版最新号を読むことができました。

フライト詳細画面では、時間の経過やサービス内容、ルートマップでは位置確認ができます。「ノルディック・スカイ」では、有償・無償の軽食と飲み物の注文や、免税品予約もできます。予約した商品は帰国便で受け取れます。
また、到着前には乗継便のゲート確認をしたり、機内で過ごす様々なシーンで便利に使えます。

A350では、尾翼上部前方に機体前部方向を映し出す機外カメラがあり、航路マップとともに楽しめます。

ビジネスクラスのシートまわりzoom
ビジネスクラスのシートまわり

機内食の時間
エコノミークラスの機内食はポークかチキンの選択で、今回はポークを選びました。ごろごろとしたじゃがいもとニンジン、ブロッコリーが添えられたポークにはたっぷりのソース。サラダと茶そば、バゲットもあり、デザートにはカップケーキが付きます。

ビジネスクラスは「ノルディックサービス」と呼ばれ、フルコースで提供されます。最初にアミューズが登場。サーモンタルタルがあたかも芸術作品のように盛られて皿の上に載ります。食事に合わせるお酒は、4種のカクテルや、ジョセフペリエのシャンペンなど。続いてサラダとセロリのクリームスープが提供され、メイン料理へと続きます。当日は、ニジマスの白ワインソース、豚肉の和風ローストの選択でした。今回は事前にインターネットで予約できるシェフおすすめ料理を選んでみました。実際に出てきたのは、鹿の肉です。これが選べるのはフィンエアーならでは。大きな肉の塊が二つも載っていましたが、臭みがまったくなく、非常に柔らかいお肉だったのでペロッと食べてしまいました。デザートは、唐辛子風味のチョコレートケーキ・オーガニックアイスクリーム・フルーツから好きなものを選びます。鹿肉に続き、初めて尽くしで唐辛子風味のチョコレートケーキを選択。チョコレートに唐辛子が入ると甘みが深まるようです。

ビジネスクラスの機内食 鹿肉(上)、 アミューズ(右下)zoom
ビジネスクラスの機内食 鹿肉(上)、 アミューズ(右下)

最小限の疲労で到着
帰国便では成田到着後に、操縦席の撮影が特別に許可されました。交代要員を加えた3人のパイロットから「客室乗務員も全員で集まりますので、是非写真を撮ってください」との提案もあり実現しました。

成田空港到着でフライト後のコックピットzoom
成田空港到着でフライト後のコックピット

長時間フライトの後は、一刻も早く降機したいと思うもの。そのようななかで、頭上のストウェージが空いていては邪魔だからと、撮影の為に皆で閉めてくれました。フィンエアーの客室乗務員は、最後まで最高のサービスと笑顔を絶やしません。最短時間のフライトはお客様に一番喜ばれますが、実は働くクルーにとっても、いい環境なのだと感じました。

協力フィンエアー ⇒ https://www.finnair.com/jp-ja

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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