旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2020年1月28日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

初夏のニュージーランドを満喫する、マーティンボロのワイン・フェスティバル

ニュージーランドを代表するワインイベント『TOAST』。初夏の風が心地よく、ワインが進む、進む!zoom
ニュージーランドを代表するワインイベント『TOAST』。初夏の風が心地よく、ワインが進む、進む!
日本とは気候が真逆の南半球に位置するニュージーランド。
北半球の日本に本格的な冬の気配が迫る11月下旬、初夏を迎えたマ―ティンボロ(Martinborough)へ、ワインフェスティバル『TOAST Martinborough; wine, food & music festival』を楽しみに出かけてきました。

数キロ四方の小さな町に20以上のワイナリーがひしめくマーティンボロ

マーティンボロがあるのは、北島の南端にある首都ウエリントンから車で約1時間のワイララパ地方。このあたりは温暖で乾燥した気候と朝と夜の寒暖差、水はけのよい土壌もあり、世界でもトップレベルのピノ・ノワールの産地として知られています。
数キロメートル四方のエリアに、こんな広々としたぶどう畑をもつワイナリーが20軒以上も。zoom
数キロメートル四方のエリアに、こんな広々としたぶどう畑をもつワイナリーが20軒以上も。
ワイララパ地方の中心、マーティンボロには1~2ヘクタールのブドウ畑をもつ家族経営の小さなワイナリーが多く、その数は20以上! ブドウをすべて手摘みで収穫するなど丁寧な製法と、ワイナリーごとに強いこだわりがあり、生産量はニュージーランドワインのわずか1%。現地に来なければ味わえないプレミアムワインとして人気が高く、これに惹かれ美味しいものを作りたい料理人が集まってきているのだとか。人口1500人ほどの町ながら、ワインと料理のマッチングを楽しめるカフェやレストランにも事欠かないといいます。
こんなグラスを首からかけてワイナリー巡り。ブランチメニューを提供するワイナリーも。zoom
こんなグラスを首からかけてワイナリー巡り。ブランチメニューを提供するワイナリーも。
ニュージーランドで最も歴史あるワインフェスティバル

毎年11月の第3日曜日に開かれる『TOAST』は、1992年から始まったニュージーランドで最も歴史の古いワインイベント。2019年の開催で28回目を迎えています。わずか数キロ四方の町にワイナリーが集まっているため、普段は自転車によるワイナリー巡りが人気だそうですが、この日はイベントに参加する10軒を巡回するシャトルバスが運行されました。
希少なワインのテイスティングとともに、造り手さんとのコミュニケーションが楽しい。zoom
希少なワインのテイスティングとともに、造り手さんとのコミュニケーションが楽しい。
「The Square」という本部であらかじめ購入しておいたチケット(90NZD)と引き換えに、プログラムなどの「ワイナリー巡りセット」を受け取ったら、テイスティング用グラスを首からぶら下げ出発です。チケットはプリペイド式のリストバンド。これを見せるとシャトルバスに自由に乗り降りでき、チャージされた金額で各ワイナリーのワインや料理を購入できるシステム。ワイナリーごとにフードトラックが出店していたり、地元のレストランや料理人とコラボしたこの日限定の料理を提供しています。

試飲できるワインのなかには、地元のリカーショップにも出回ることが少ない希少な銘柄が少なくありません。また、醸造家や料理人の方たち自らサービスをしてくれ、彼らとのコミュニケーションも楽しく、ワイン好き、料理好きにとっては貴重な機会です。
各ワイナリーごとにプログラムが組まれたステージイベントも楽しみ。芝生に寝っ転がる人、音楽に合わせて踊り始める人も。初夏の1日、心地よい風が吹く野外で、ほろ酔い気分で過ごす気持ちよさを想像していただけるでしょうか。
麦わらを束ねたものはベンチやテーブルの代わりに。左下は初夏に旬を迎えるアスパラとホワイトベイト(シラウオ)のオムレツ。zoom
麦わらを束ねたものはベンチやテーブルの代わりに。左下は初夏に旬を迎えるアスパラとホワイトベイト(シラウオ)のオムレツ。
この日1日で巡ったワイナリーは4軒。1軒目でブランチを食べたりしてゆっくりしすぎてしまったため、後半が駆け足になってしまいましたが、効率よく回ればもう1~2軒は楽しめたかもしれません。

ワイナリー巡りの後は、歴史ある小さな町を散策

イベントの帰りに立ち寄ったのが、町の中心部に近いチーズ専門店『C'est Cheese(セ・チーズ)』。ニュージーランド中から選りすぐった数10種類のチーズを扱うほか、店内の工房で造られるフレッシュチーズも楽しみな店です。サラミ、オリーブオイルなどのグルメフードも揃い、おみやげ探しにぴったり。併設するカフェではチーズとコーヒー、スコーンなどを味わうことができます。
●C'est Cheese
住所: 19 Fitzherbert Street, Martinborough
TEL +64 6 308 6000
wairarapanz.com/see-and-do/cest-cheese
上/ニュージーランド中のチーズを扱う『C'est Cheese』。下/歴史的建造物が集まる町の中心部。zoom
上/ニュージーランド中のチーズを扱う『C'est Cheese』。下/歴史的建造物が集まる町の中心部。
マーティンボロは首都ウエリントンから日帰りも十分できるロケーションにありますが、小さなホテルやファームステイ、ベッド&ブレックファストに滞在し、ワイナリー巡りやハイキングもオススメです。町にはレンタサイクルを扱う店が数件あり、普段はマップ片手に自転車で巡るセルフツアーのほか、有料のワイナリー・ツアーも催行されています。
また、2020年の『TOAST』開催は11月15日(日曜日)。このイベントに合わせ、初夏のニュージーランドを旅するプランを今から考えるのも楽しいと思いませんか。

●TOAST Martinborough 2020
toastmartinborough.co.nz

【協力】
ニュージーランド政府観光局 Tourism New Zealand
https://www.newzealand.com/jp/
ニュージーランド航空 AIR NEW ZEALAND
www.airnewzealand.jp
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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