人気の旅行先ランキングで常に上位に入るイタリア。縦長の国土が生み出す北はミラノから南はシチリア島まで、気候も風土も違う各地の個性豊かな自然や文化、中世建築や絵画、舞台芸術に至るまで、質・量ともに圧倒的な観光資源を誇り、日本人のみならず、世界中の旅行者を魅了し続ける存在です。美術館や劇場など取り上げたいテーマは多々ありますが、今回はあえて自然派志向の「アグリツーリズモ」をご紹介します。
農業と観光の融合、アグリツーリズモ
アグリツーリズモはイタリア語の農業(agricoltura)と観光(turismo)を組み合わせた造語で、ワイナリーやオリーブ農園などに宿泊したり、農園を拠点に体験型の観光をしたりする活動をさします。イタリア政府観光局(ENIT)の資料によると、イタリアでは60 年代から北部でアグリツーリズモがはじまり85 年にはイタリア政府がアグリツーリズモに関する法律を整備し、以後急速にイタリア全土に広まったそうです。政府が決めたルールもあり、食事は地元の特産物(ワイン、チーズ、肉類、野菜、果物など)をメインとした料理を提供することが義務づけられているそうです。農業体験を主とするファームステイよりも、“ゲスト感“の強い、ソフトなアグリ体験というイメージです。今やイタリア各地で体験できますが、ワイン好きの方々に特におすすめしたいのが、有数の産地であるキャンティ地方で体験するアグリツーリズモです。
トスカーナ州キャンティの魅力
キャンティとはイタリアのトスカーナ州の地方の名称です。キャンティ地域はフィレンツェ、シエナ、アレッツォの間の丘陵地帯を含むエリアで、中部の主要都市フィレンツェから車で南に1時間ほどに位置し、ブドウ畑が広がる美しい土地です。宿泊先として紹介するカステルヴェッキ農園の説明によると、フィレンツェとシエナの間に広がるアペニン山脈の南に位置する地域は、地質的に非常に均質であり、土地の香りと典型的な色を取り入れた同名のキャンティワインを生み出しているとのこと。イタリアの原産地認定DOCGでキャンティおよびキャンティ・クラシコに分類される最上級ワインの故郷なのです。
大都市から日帰り可能も、やはり宿泊がおすすめ
フィレンツェやシエナの街から車で約1時間の距離に数多くのアグリツーリズモを提供するワイナリーやレストランが点在していますので、都市観光をメインにイタリアを周りたいという方は日帰りでの観光も可能です。そうはいっても、やはりワインを飲まずに帰るのはもったいないので、ドライバー付きの車をチャーターして2か所ほどのワイナリーをめぐるのがモデルプランとなります。
一方、ゆっくりと時間をとってワイナリーとアグリツーリズモを堪能したいというかたには、やはりワイナリーに併設された宿泊施設を利用することをお勧めします。ブドウ畑に沈む夕日を眺めながら食前酒楽しみ、敷地内のレストランでキャンティワインと地産地消のお料理をいただいたあとは、星空を愛でながらお部屋に向かい、都会のホテルとはひとあじ違う、まるでワイナリーに住んでいるかのようなキッチン、リビング、ベッドルームにカントリー調の家具やリネンが配された空間でゆっくりと過ごすことができます。
欧州各国から訪れている宿泊客とのふれあいも
アグリツーリズモは海外からの旅行者だけでなくイタリア各地から訪れる人々にも人気だそう。ワイン畑を見下ろすデッキでは、欧州各国のアクセントのある英語での会話が聞こえてきます。それぞれの出身地や今回の旅行の趣旨を紹介しあい、乾杯し、会話を楽しむ大人たち。そんな優しい空間にゆっくりと時間が流れていきます。このようなのんびりした時を過ごすことができるのも、アグリツーリズモの魅力と言えそうです。
予約はワイナリーや宿泊施設のウェブから、各種エージェント活用も
アグリツーリズモの予約は各ワイナリーや宿泊施設のウェブサイトからも可能ですが、イタリア語のみで英語での対応が最小限という宿も多くなっています。車の手配含め日本語のサポートを希望する際は、日本人現地ガイドが作るネットワーク等を活用するのもおすすめです。ミラノやローマ、フィレンツェなどの大都市も魅力が尽きませんが、次のイタリア旅行は、ぜひ農園に足を延ばしてはいかがでしょうか。
カステルヴェッキ農園
Fattoria Castelvecchi
Localita Castevecchi, 53017, Radda in Chianti
https://www.castelvecchi.com/ (イタリア語、多言語ページ)
https://www.castelvecchi.com/home-en.html(英語ページ)
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