旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2019年9月17日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

ココロ躍る空の旅へ SPRINGで寧波へ

成田空港の駐機場でお客様を迎えるキャビンアテンダントzoom
成田空港の駐機場でお客様を迎えるキャビンアテンダント

新たな路線
成田空港と中国浙江省の寧波(にんぽー)を結ぶ路線は、2019年4月25日に開設されたばかり。SPRING JAPANでは一番新しい国際路線です。就航当初の週4便から、7月1日にはDaily運航となり、日中友好の懸け橋として高い搭乗率を保っています。

旅の目的は
8月下旬に、寧波へのファムツアーに参加することができました。寧波の南に位置する象山にある映画ロケ地となった「象山影視城」を視察するためです。人気映画「キングダム」は春秋戦国時代の物語。その舞台に向かうに春秋航空日本(SPRING JAPAN)の利用はまさに取材地に乗り込むワクワクする体験です。

搭乗へ
成田⇔寧波直行便を利用しました。成田空港第3ターミナルビルを8:20に出発するIJ101便に搭乗します。通常期の運賃はこの区間は5,100円から。セールも開催しているのでHPで確認しましょう。機内持込み手荷物は5kgまで。預入手荷物は追加料金がかかります。

搭乗手続きバスゲート150Aに向うと、出発の40分前にはすでに全員の搭乗案内が始まっています。目の前に駐機するSPRING JAPANの機体を横目に、第二ターミナルビルを通り過ぎ、第一ターミナルビル方向へ走ります。バスの中から、ランプツアーさながらの航空機鑑賞を楽しみながら、バスは快調に走ります。最終的にバスは南側格納庫のある500番台スポットまで進みました。

そこには、4月から運航開始した新しいロゴ「SPRING JAPAN」を描いた6号機JA06RGが待っています。タラップ下には、キャビンアテンダントが待機。機内へ誘導してくれます。隣に駐機する機体や奥に見える格納庫を眺めつつ、初めての搭乗場所に空港見学会に参加しているような、得した気持になりました。

機内へ
機内に入ると、先任客室乗務員・パーサーのJuさんが笑顔で迎えてくれました。

天井がゆるいカーブを描くデザインのボーイング スカイインテリアが目に入り、淡い照明とともに居心地のいい環境を演出しています。グレーレザーの189席は、ボーイング737-800の最大客席数。足元が広いわけではありませんが、かといって普通体形であれば足がシートバックに触れることもありません。

国際線では、国内線より1名多い5名のキャビンアテンダントが乗務しています。駐機場所は第三ターミナルビルの位置よりかなりA滑走路に近く、すんなりと34Lより離陸できました。東京湾、富士山上空、名古屋、大阪、高松、松山、大分、佐賀上空を経て東シナ海を一直線に上海方向へ進みます。

機内でサービスを行うキャビンアテンダントzoom
機内でサービスを行うキャビンアテンダント

サービス開始
3時間ほどの飛行時間の中で、最初にカフェメニューも含めた飲食類の販売がありました。弁当形式メニューは1種類なので、今後増える事を期待しつつ唯一の「具たっぷりすきやき弁当」800円とみそ汁200円を頼みました。併せて購入すると50円引きとなります。温められた容器が紙トレーに乗って渡されました。ご飯には海苔と錦糸卵が載っています。牛肉に椎茸、豆腐とえんどうまめが添えられてまさにすきやき。見た目も鮮やかに美味しく頂きました。

シートポケットの機内誌や機内販売カタログなどとお弁当機内食zoom
シートポケットの機内誌や機内販売カタログなどとお弁当機内食

機内販売カタログと裏表になったBISTRO SPRINGのメニューを見ると、弁当以外には、カップヌードルなどの軽食が4種類、スナック菓子10種類やドリンク20種類ありました。

食事が終わると、機内販売に向けて客室乗務員がカタログを持って機内を巡ります。SPRINGのロゴグッズ6種類を含めて全60種類。これだけあればカタログをじっくり眺めていると時間が過ぎていきます。

機内誌は「SPRINGTIME」7月~9月の夏号では、就航地広島から向かう生口島(いくちじま)の特集が紹介されています。島ごと美術館の楽しさやレモンとタコが主役の食などが活き活きと紹介されています。他にも、就航地のアート、ヒストリー、カルチャーのコラムやイベントの情報は、旅へ誘うきっかけになります。

機内エンターテインメントはありません。最近機内で多いのは、スマホやタブレットで搭乗前に映画などをダウンロードする方法。SPRING JAPANの機内でも見掛けました。

機内販売の様子zoom
機内販売の様子

客室乗務員に聞く
パーサーの次に経験を持つキャビンアテンダントの田中さんに話を聞くことができました。過去にはHAC北海道エアシステムで乗務しており、社歴3年の同社では中堅乗務員。社内の雰囲気を「ファミリー感のある」という表現をしました。200人弱の客室乗務員なので、全員の顔がわかり、意志の疎通がうまくできるようです。国際線の乗務では、スピーカーと呼ばれる中国籍の社員や中国語を話せる日本籍の社員が1~2名乗務し、言葉の壁を乗り越えています。そのスピーカーによる自主的なレベル別の中国語講座が開かれており、助け合う気持ちがファミリー感という表現になっているようです。

親会社は中国のSpring Airlines。SPRING JAPANは、一部に中国人社員がいるもののほぼ日本人で構成される日本のエアラインです。社員はLCCながら日本のおもてなしを取り入れたサービス向上を目指しています。

就航時、服飾学校の生徒のデザインということでフレッシュグリーンの制服が話題になりましたが、これも定着しSPRINGらしさを表現するいいツールとなっています。乗務員同士でLCCらしからぬ日本のおもてなしを出したサービスの向上を目指します。

キャビンアテンダント全員集合(右端がJuさん、2番目が田中さん)zoom
キャビンアテンダント全員集合(右端がJuさん、2番目が田中さん)

機体の整備は、JALへの委託で品質を保ちます。また、客室乗務員の初期と定期訓練はANAの協力を得ています。全て自社でまかなう規模になるまでは、ハイブリッドな協力体制の中、それぞれの良さを取り入れています。

機内アナウンスでは、現地時間10時45分の着陸予定と気温32℃で晴れであることが伝えられます。隣接地に新ターミナルビルが完成する寧波櫟社(にんぽーれきしゃ)国際空港、国際線エリアに到着しました。

寧波空港の新しいターミナルビルの横に到着zoom
寧波空港の新しいターミナルビルの横に到着

今後の展開
今後の路線展開としては、成田空港と上海浦東を結ぶ路線が有望とのこと。友好な日中関係に背中を押され、6機体制からの拡大基調に拍車を掛けていきます。
まだ路線数は少ないですが、乗ってみないとわからないもの。客室乗務員の笑顔に見送られ、日本のエアラインらしいおもてなしの一端を感じました。「ココロ躍る空の旅づくり」のキャッチフレーズのもとファンが増えていくことを願っています。

協力:SPRING JAPAN ⇒ https://jp.ch.com/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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