旅の扉

  • 【連載コラム】旅行が大好きやか!
  • 2019年5月5日更新
亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科:小倉ゼミ生

オーロラ求めて北極圏!大学生アラスカひとり旅日記! 第三章「デナリ国立公園編 その1」

デナリの紅葉 その1zoom
デナリの紅葉 その1
ポーテージで氷河を見た私は次なる目標、「地球上で最も美しい紅葉を見る。」を達成するべくアラスカ中南部に位置するデナリ国立公園に足を踏み入れました。ここデナリ国立公園は日本の四国と同じくらいの面積を誇る巨大な国立公園です。ここは北米大陸最高峰のマッキンリー、現地の言葉でデナリを主峰とするアラスカ山脈の麓に広がっていて広大なツンドラの大地が広がります。

このツンドラこそ今回のカギです!ツンドラとはベリー系など成人男性の膝ぐらいまでしか育たない背の低い木が広がる大地のことです。このツンドラが紅葉をすることで「地球上で一番きれいな紅葉」を見せてくれるのです!このデナリ国立公園は手付かずの自然を守るために道路は公園内を東西に横断する一本しかあません。しかもほとんどの道が未舗装です。

更に、この道路は一般車両の立ち入りを禁止しており、許可されているバスを予約するしか立ち入る方法がありません。このバスはデナリ観光の中心となるバスターミナル、ウィルダネスアクセスセンターで予約、乗車ができ、行先は入り口にあるサベージ・リバー、こちらもまだ比較的に入り口付近にあたるトークラットリバー、美しい山岳美がみられるアイルソン・ビジターセンター、デナリで最も美しい風景といわれるワンダー・レイク、国立公園の末端部にある小さな町カンティシュナがあります。それぞれ往復にかかる時間は2時間、6時間半、8時間、11時間、12時間と膨大な道のりです。
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グリズリー
初日はまず手始めにトークラットリバーまで往復します。アクセスセンターを出発してしばらくすると景色が開けていきます。いよいよツンドラとのご対面。確かに一面赤いのですが、霧に包まれているせいでいまいちわかりません。と、ここで!ヘラジカが出迎えてくれました。大きな角は迫力満点。更にしばらく歩みを進めるとツンドラは迫力を増します。

今だ霧は晴れていませんが、視界が広がったせいか先ほどより良くツンドラの大地が見えます。1時間ほどするとバスはサンクチュアリー・リバーという場所に到着。ここは名前のごとくサンクチュアリー・リバーをよく見渡せる場所にあるトイレスポット。ここで休憩をとります。

再びバスに乗り込むと次に出迎えてくれたのは何と!グリズリーベア!目的の動物の一つであるグリズリーを早くも見ることができました!それはかつて北海道で遭遇したヒグマよりも大きく筋骨隆々でした。あんなのにやられたらひとたまりもないなぁと妄想をしながら先に進みます。

バスは徐々に標高を上げ、ポリクローム・パスという峠に差し掛かります。この峠で再び休憩。ここは「極彩色の峠」の異名を持つほどデナリの紅葉を一望できるスポットです。霧は相変わらず晴れませんが、確かにとんでもなく美しい風景がそこには広がっていました。見渡す限りの赤。いくら写真を撮っても来た人にしか本当の感動が伝わらないのが悔しいほどの風景。ぜひ読者の皆さんも訪れてほしいです!(数日後、極彩色の峠の本気を見るとはこの時の僕は知る由もありません。)
デナリの紅葉 その2zoom
デナリの紅葉 その2
ここを過ぎると本日の目的地、トークラットリバーに到着します。ここは川のすぐ近くにお土産屋があり、特別目を引く風景が広がっている訳ではありません。15分ほどするとバスはすぐに折り返します。

遠く岩壁にはドールシープという山岳に住むヤギが見えます。この日のバスツアーも終盤に差し掛かった時、急に霧が晴れ夕暮れに照らされる真っ赤なツンドラが姿を現します。更に先ほどの霧が重なり虹まで見せてくれるのです。やはり気まぐれな自然が僕は好きだなと実感しました。

バスツアーも終わり、アクセスセンターに戻ってきたときにかすかに違和感があります。「喉痛い。」「鼻水出る。」まさかの風邪。しかし、ここで休んでいる時間はないので強行で明日も行動します。とりあえずこの日はゆっくり休むことにしました。
雲海zoom
雲海
翌日。この日はバスに乗らず、ヒーリーという山に登ります。この山は登山が困難なアラスカ山脈の一部にあり、途中まではトレッキングのルートにもなっている山です。とにかく辺境アラスカは情報が少ないので行ってみることに…。

登山口はアラスカ鉄道を降りた場所の裏手にあり、入り口にはグリズリー注意の看板があります。日本で登山する際にいつも持ち歩いているクマよけ鈴をお守りに慎重に進みます。最初は森林の中を進みますが2時間ほどすると視界が開けて、早くも森林限界です。森林限界を抜けて間もなくすると初心者用のトレッキングコース終了の看板が早くも現れます。ここからの景色は最高。壮大な雲海と遠くにはデナリが望めます。
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さて、ここからは情報が一切ない未知の世界。地図を頼りに進みます。

幸いにも天候は良く、森林も抜けているため迷う心配はなさそうです。が、1時間ほど進むと左右に何百メートルと切れ落ちているナイフリッジが現れます。進む道もまた崖です。今まで日本で数々の山を登ってきましたがダントツで恐ろしいです。なぜなら日本の一般登山ルートとは異なり安全が保障されているルートがないからです。完全に自己責任の世界。恐ろしい。ここを何とか抜け斜度40度を軽く超える斜面を登り始めます。この時点で日が傾いています。しかし、ヒーリーはまだ遠いです。ここで強行すれば本当に命を落とすかもしれない。僕はその手前にそびえるピークまで登り引き返すことに決めました。
山zoom
きっと名前はあると思うのですが地図にも載っていないので土地勘のない僕にはそのピークの名前はわかりませんでした。とりあえず、アラスカ山脈のピークに到着。とてつもない絶景と達成感があります。

一通り写真を撮り終えると下山を開始。往路とは異なるルートをたどっていると、マーモットというウォンバットのような動物に遭遇します。その動物を写真に収めるためスマホを取り出そうとすると、先ほどまでポケットに入っていたスマホがない!?。探しても見当たりません。一通り来た道を見てみるもどこにもありません。当然の事ながら、決められた登山道がない以上一度落としてしまったものを見つけるのは困難。絶望しながら下山を決意。僕はアラスカの山の中にスマホを落としてしまったのです。

さぁ旅は急展開。英語もままならない僕が、辺境アラスカで、スマホを落としてしまいました。ぬくぬく観光をしていた今までのようにはいきません。だってスマホがなかったらご飯食べるところも分からないからないのだから。どうなる第四章!?

小倉ゼミ一期生 Yuuri
亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科:小倉ゼミ生
亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科 小倉通孝ゼミ生による旅のコラム。ゼミの授業を通して訪れた国内外の観光地をフレッシュな学生の視点でレポートします。

亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科
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