旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2019年5月7日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

人生を楽しもう!~カナダ・ケベック州へ~⑤モザイクシティ・モントリオールの絶品グルメ

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IKANOSの料理にワインは欠かせません
モントリオールのご紹介。最後は忘れてはならないグルメについて。

ちょっと硬い話から始めますと、カナダは1971年、世界で初めて「多文化主義政策」を導入した国です。民族や人種の多様性を尊重し、すべての人が平等に社会参加できる国を目指しており、200以上の民族が暮らし、毎年20万人以上の移民を受け入れています。ケベック州はその成り立ちや、公用語をフランス語としていることもあり、フランス系ヨーロッパ人が伝統的に多い地域です。最近はその住みやすさからフランスから移住してしまう人が多いことがニュースになったりもしています。

その州都モントリオールは、市内の人口の7割が白人、3割が非白人。各国からの移民で構成される多民族都市です。どんな国から来ているかというと、フランス以外はアイルランド人系、イングランド系やスコットランド系、ドイツ系、イタリア系、ギリシャ系、ポルトガル系に加えてアラブ・アジア・中南米、特にフランス語圏の昔植民地だった国々…。つまり、世界中ですね(笑)。
このダイバーシティが、モントリオールのグルメのレベルを上げるのに功を奏しているに違いないと、どこに行っても何を食べても思うのです。元々の食文化に、カナダの大自然の恵みとフレンチティストを加えれば…。ほら、説明しなくても美味そうですよね。モザイク社会の強みを最高に生かしているのがモントリオール・グルメと言えるでしょう。

今回最大の感動は、ギリシャ料理「IKANOS」でした。
MESSE3種。最高!zoom
MESSE3種。最高!
私の友人に「一食入魂」をモットーに、食べることに絶対手を抜かない人がいます。モントリオールなら、どの店に入っても、あまり後悔しないのではないでしょうか。でも、魚料理なら「IKANOS」だなぁ。

モダン地中海料理とギリシャ料理を出してくれるという料理はすべて新鮮。そしてお洒落。昔、ギリシャの町で入ったレストランはどこも素材は美味しく、オリーブオイルをたっぷり使って健康にもよいのだろうという思い出はありますが、この店はそれとはかなり印象が違いました。

ギリシャ料理と言えば「MESSE(メゼ)」と呼ばれる前菜がさまざまにあり、大きな楽しみです。それが、一口食べた瞬間からすごい!
揚げズッキーニ、リコッタチーズ入りのズッキーニの花のフリッター、ピタパン、サラダなどなど!

さらに自慢の魚介類ですが、その日はシーバス。店の方の魚のさばき方も取り分け方も鮮やか!魚好きな人は、猫が食べるところがないほど魚の身を骨からきれいに取ると言います。手際を見ただけで、味が想像できました。

IKANOS
112 McGill Street, Montreal
https://www.restaurantikanos.com/
モントリオールを代表するベーグル店ですzoom
モントリオールを代表するベーグル店です
話は変わりまして、モントリオールはベーグルで有名な町だって知っていますか?

最近は日本でも普通に食卓に上るベーグルですが、大きく分けて2種類あります。ニューヨーク風は外側がかためで、もちもちした食感。モントリオールで食べられているのは、もっと食感の軽いものです。

どちらが本物というのでもないと思うのですが、モントリオールのベーグルはなかなか評価が高いです。

私が地元の方に勧められて行ったStviateur Bagelは、ポーランドのクラコフ近郊出身の Myer Lewkowiczさんがモントリオールに渡り、1957年に開店して以来、ずっと人気の店です。東欧のユダヤ系の人たちが好んで食べたベーグルの味が、この店で今でも引き継がれています。
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ベーグルはかまどで焼くのですね
モントリオールはユダヤ人も多く住んでいる都市です。この店の周りも多分コミュニティがあるのでしょう。それだけにソウルフードのベーグルの味へのこだわりは、生産者も顧客も厳しいに違いない。

店には次から次に客がやってきます。小麦粉の袋が無造作に積み上げられた店内では、職人が一つずつ手で小麦粉の生地を細長く伸ばした後、両端を合わせてリング状に形作っていたり、発酵させ、茹でた後の生地を細長い板に並べて、独特の薪の釜で焼いていたり。製造工程を見ていたら、お腹が空いてきます。
ゴマの香りが香ばしい出来立てを受け取って、その場でかぶりついてしまいました。うーん、ほのかに温かく、表面はカリカリ。軽くシンプルな味わいで、いくつでもはいってしまいそう。「ベーグルはバターも卵も牛乳も使っていないから、たくさん食べても大丈夫!」と、ベーグルが誘っているような気がしました。危険、危険。


St-Viateur Bagel (La Maison du Bagel)
https://www.stviateurbagel.com/en/
Address: 263 rue Saint-Viateur Ouest (entre Jeanne-Mance & du Parc),
モントリオール子の食を支えるジャンタロンマーケットzoom
モントリオール子の食を支えるジャンタロンマーケット
さぁ、グルメの締めくくりは、市民の胃袋を支え、観光客にも人気のJean-Talon Marketへ。

1933年からある公設市場。地下鉄にジャンタロン駅があるくらい有名なマーケットです。中は広くて、様々なお店があります。

市場と言うと「活気がある」とよく表現されますが、モントリオールの市場の人たちは、他のケべコワ(ケベックの人たちのことです)同様、何故か頑張っているという感じがあまりしません。押し付けられることのない、どこかゆったりした空気感が心地良いです。

果物、花、肉類などに加えて、サラミ、チーズ、アイスクリーム、お茶などの専門店が並んでいました。どれも買って帰りたいほど美味しい。食物検疫や残りの旅程を考えると、欲望はなかなか叶わないので、せめていろいろ試食させていただきました。
市場内の試食だけでおなかがいっぱいになりそうですzoom
市場内の試食だけでおなかがいっぱいになりそうです
代表的な特産物のメープルシロップも、優雅に試食をさせてくれます。
「缶は同じでも、中身が異なります。表示をよく見て買ってくださいね。ここでは味は3種類あります。私は真ん中のマイルドなメープルシロップが好みですけれど、どれがよいかしら?」と優しく聞いてくれます。
メープルキャンディも、町中や空港と比べて相当割安感がありました。

ぜひ立ち寄ってみてください!

Jean-Talon Market
https://www.marchespublics-mtl.com/en/marches/jean-talon-market/
address:7070 Avenue Henri Julien Montreal

取材協力:Tourisme Montréal 
フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。