ハワイのお土産の定番と言えば「マカデミアナッツチョコレート」。ミルクチョコレートの甘さとマカデミアナッツの香ばしい食感が絶妙な美味しさのハーモニーを生み出している。日本に居ながらどうしても食べたくなると、インターネットで注文したり、輸入菓子を扱うお店に買いに行ってしまったりすることもしばしばある。数多くのメーカーがマカデミアナッツチョコレートを製造しているが、どのようにしてチョコレートとマカデミアナッツのコラボレーションが生まれたのか、そして今から53年前、世界で初めてマカデミアナッツチョコレートを考案したハワイの日系3世マモル・タキタニ（ハワイアンホースト創業者）には、1粒のマカデミアナッツチョコレートに込めた熱意とアロハスピットの物語があった。

米国ハワイ州のマウイ島に住んでいたタキタニは、ある日曜日の昼下がり、書斎でマカデミアナッツを食べながら読書をしていた。そのタキタニの口に、姪のカレンが「ネスレチョコレート」の板チョコの破片を放り込んだ。タキタニは、そのままチョコレートをマカデミアナッツと一緒に噛んだところ、今までに経験した事のない、何とも言えない美味しさに驚いた。このマカデミアナッツとチョコレートを一緒に食べるという新しいナッツの食べ方を家族に話したところ、マウイ島のタキタニ一族とその友人の間に瞬く間に広がった。

いつも新しい事に挑戦してきたタキタニは、この偶然から生まれた経験を何とか商品化できないものかと日夜自宅で密かに研究を始めた。幾日にも及ぶ試行錯誤の結果、商品化を実現するために、愛妻（アイコ・タキタニ）をマウイ島に残し単身ホノルルへと移住した。ホノルルで工場を立ち上げるべく東奔西走していたタキタニは、自分のアイディアとは多少違うものの"マカデミアナッツ入りチョコレート"をすでに販売している「エレン・ダイ・キャンディーズ」を知り、自分のアイディアをいち早く具現化するためにこの会社を買い取って社名を新たに「ハワイアンホースト」とした。

起業当初、タキタニの思惑とは異なり、彼のマカデミアナッツチョコレートは思うようには売れず苦労を重ねた。そこで彼は「マカデミアナッツ特有の味と食感を生かすチョコレート」を作れないかと考え、さらにハワイのイメージを感じるオリジナルチョコレートを作るべく、アメリカ本土の「ネスレチョコレート」に直訴しに行った。当然のことながら、最初から巨大メーカーには相手にされなかったが、ハワイから長時間飛行機に乗って何度も陳情にくるタキタニの熱意に負けたネスレの担当者は、彼の将来性を見込み全面協力を約束して一人の専任技術者をハワイに派遣させた。タキタニは、この技術者との二人三脚で試行錯誤を繰り返し、5年の歳月が過ぎたある日、タキタニの求めるハワイのオリジナルチョコレートが完成した。それは、「甘さを抑えたチョコレートでお菓子のような食感」、「マカデミアナッツ独特の味を最大限に生かす」、「常夏のワイキキを持ち歩いても溶けにくい」、「食べる人すべてをとろけさせるチョコレートの魅力を備え持つ」という理想のチョコレートが生まれた瞬間だった。

ハワイアンホーストのマカデミアナッツチョコレートは、50年以上も経った今でも引き継がれている独自の秘伝レシピで作られている。その独特の味は、地元ハワイの人々から米国本土や日本の観光客に至るまで、絶大な人気を得ることになった。現在も美味しいハワイのマカデミアナッツチョコレートを作りたいというタキタニの熱意・敬愛・助け合いの意思は社員と家族に引き継がれて、ハワイでずっと変わらないマカデミアナツチョコレートが作り続けられている。

ハワイアンホーストのチョコレート工場案内を見てみよう！
http://www.hawaiianhost.co.jp/about/chocolate.html