パリエアショーは航空機メーカーがエアラインから受注を得る場でもあり、ビジネストレードショーです。それゆえに、定期便では見ることのできない性能を誇示するショーならではの飛行展示の場が用意されています。ル・ブルジェ空港での開催ですので、地上展示のスペースから短い移動を経て滑走路へたどり着きます。今回は、38機の飛行展示が行なわれました。現在は定期旅客便の就航が無いこの空港。パリで最も古い空港として有名ですが、その座を隣接するシャルル・ド・ゴール空港に譲っています。滑走路は3,000mを含む3本の大空港です。
旅客機部門では、地元エアバスが3機種で最多を飛行させました。A321neo、A350-1000、A380。普段見ることのできない機動力の高さを見せ付けます。
A350‐1000は昨年11月に初飛行したA350の最新で最大の機体。
最大で440席を誇る中・大型機です。主脚が6輪になったことが特徴です。A321neoは、初号機が4月にヴァージン・アメリカに引き渡されたばかり。会場では欧州初としてアイスランドのWOWエアヘのデリバリーセレモニーを行なっています。単通路機最大のモノクラス236席クラスはワイドボディー機との微妙な立ち位置の機体です。
初日にはA380とパトルイユ・ド・フランスのフォーメーションフライトが行なわれました。戦闘機の編隊飛行を追いかけるようにA380が優雅に飛びます。親鴨の前を悠然と泳ぐコガモの様子。
欧州の威信を賭けたエアバス社の意地が美しい飛行形態を作りました。
超望遠レンズを装着しており、最小焦点距離の150mmでも画面からあふれて全体像が残せなかったのが不覚です。会場での撮影がわかる様にエアバルチック向けのCS300型の尾翼が写っています。
ボーイングは737Max9を用意しました。ボーイング機はテイクオフが過激で常に話題になります。ロケットテイクオフとも言われる通常の倍の30度で急角度離陸を行ないます。
上下に分かれた「アドバンスト・テクノロジー・ウィングレット」の美しさが映えます。
MRJ最大のライバル機、エンブラエルはE195-E2を用意しました。今年3月29日に初飛行したばかり。2015年11月に初飛行して会場では地上展示のみのMRJとは違います。
地上で見るワシの顔は強烈な印象を持って迎えてくれますが、空にあがると違和感の無いのが不思議。空がもたらすマジックなのでしょうか。
旋回角度60度を超えるスティープターンを軽々とこなしています。3ヶ月前に初飛行したばかりだとは思えないスムーズさです。
ビジネスが主体の欧州エアショー。軍用機の飛行展示が中心の魅せるエアショーは米国開催。何れも航空先進国はワクワクする内容で迫ってきます。
日本での国際航空宇宙展はどうでしょう。1971年に小牧基地で開催の折は、ブルーエンゼルスのファントム機の編隊が飛び、大迫力の飛行を披露しました。入間基地開催もあり、近年では2012年にセントレアで行われましたが、今では空港とは関係の無い東京ビッグサイトが会場です。
航空機は飛んでこそ、その性能と美しさがわかります。最大限の能力を発揮して飛ぶ航空機は何と美しいことでしょう。屋内で済ませてしまう日本の航空機産業の展示に寂しさを覚えるのは私だけでは無いでしょう。
来年はイギリスのファーンボローでの開催。旅の計画と共に普段目にすることのできない、飛ぶ美しさを堪能しにいってみたい。
ファーンボロー・インターナショナル・エアショー2018
2018年7月16日~22日