旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2017年6月13日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

エア・サファリで至高のニュージーランド空旅 ダイナミックな自然景観を満喫!

Timさんが父親と共に家族経営するエアサファリzoom
Timさんが父親と共に家族経営するエアサファリ

ニュージーランド最高峰のアオラキ・マウントクックを含めサザンアルプスの雄姿を眺めるのに、どうしても上空からの景観を外せないと考えていました。

ホームページで探すと、丁寧な日本語の解説のある遊覧飛行の会社が見付かりました。星空で有名なテカポ湖近くのテカポ飛行場を拠点とするエア・サファリ社です。
ニュージーランドで品質認定のクォールマークを取得していることも選定の理由。安心して利用できます。

グランドトラバースと呼ばれる50分のコースを選びました。
テカポ湖南端の飛行場を北上し、マウントクックを周遊し戻って来るコースです。

テカポ湖に向かう途中に通るプカキ湖では、深い霧の中のドライブとなりました。天候を気にしながらでしたが、徐々に回復しテカポ飛行場が見えて来ました。
予約時間には3時間もありますが、フライトの様子を確認していこうと事務所に寄ってみることにしました。

エア・サファリが運営するテカポ空港zoom
エア・サファリが運営するテカポ空港

ダイレクターのTimさんが迎えてくれました。1970年にこの会社を創業したRaywardさんは父親です。
天候が悪化すると飛べなくなるので、時間の都合さえつけば今からでも飛べますよ、とのこと。但し、他の団体との同乗になるので、一度マウントクック近くのグレンタナーパークで着陸しますがいいでしょうか。との提案に、離発着が増えるのはいい経験なので是非にと快諾します。

オーストラリア製のギップランド・エアロノウティクス社GA8に乗込みました。一人での参加者は助手席に座れる可能性が高いそうです。
1-1配列の座席の機内は、7人乗り。 全席が窓側になっており、特別設計された高翼なので、どの席からも眺めが期待できそうです。
ガラスはピカピカに磨かれ、整備の状態のいいことを感じさせます。

Leonさん出発前の笑顔zoom
Leonさん出発前の笑顔

パイロットはLeonさん。Timさんは団体を乗せた13人乗りのセスナ208Bグランドキャラバンの操縦桿を握り追い掛けて来ます。

離陸した機体は、テカポ湖の中心を北上します。真上から見るテカポ湖は、太陽に反射して息を呑むほどに美しいターコイズブルーです。
西側には、星空ツアーの拠点となるマウントジョンが見えました。
テカポ湖の源流となるゴッドリー川をさかのぼり、この辺りからマウントクックを始めとしたサザンアルプスの山々と幾筋もの氷河が見えてきます。

パイロットのLeonさんが眼下に広がる景色や見どころなどを解説してくれます。受付で貰った日本語のパンフレットと照らし合わせ、場所を確認するとさらに楽しめます。
気流の関係で少し上下左右に機体が振れますが、想定範囲内。

そしてニュージーランドの最高峰マウントクックに迫ります。マウントクックでは機体は360度旋回をしてくれます。前日のトレッキング中に途中何度も見上げていた山頂付近を、山肌が鮮明に見える程近い上空から眺めることができるなんて、贅沢以外の何ものでもありません。

マウントクックを横に見て、ここから近付いていきますzoom
マウントクックを横に見て、ここから近付いていきます

次は真っ白な山々の間を抜けて、ニュージーランド最大のタスマン氷河へ。眼下に広がる氷河湖はまさに絶景です。陽の光を浴びた氷帽がキラキラ輝いています。氷河の迫る山肌からプカキ湖方面へ視界が開けます。

ここでグレンタナーパークへ着陸です。滑走路を外れると草地の誘導路を進み、マウントクックへ向かう団体を降ろします。

多くの搭乗客が機体やパイロットと名残惜しそうに記念撮影をしています。
パイロットのサインを入れた搭乗証明が配られ、皆が飛行の余韻を楽しんでいるようでした。ここからはTimさんの操縦するセスナグランドキャラバンに乗り換えてテカポ空港に戻ります。

Leonさんの操縦するGA8がゆっくりと近くを飛んでいます。
こんなところで雁行飛行の撮影ができるとは思いませんでした。
プカキ湖を南下すれば、テカポ湖はすぐそば。

山肌近くを飛ぶのは小型機だからこそ テカポ湖面とそばを飛ぶ航空機のコックピットで手を振るLeonさんzoom
山肌近くを飛ぶのは小型機だからこそ テカポ湖面とそばを飛ぶ航空機のコックピットで手を振るLeonさん

着陸してTimさんと話します。
飛行時間は、父親で創業者のRaywardさんは15,000時間。Timさんも8,000時間ほど。不定期便の航空機でこの数字は偉大なことです。お二人共、ヘリも含めた9機全てを操縦するそうです。
テカポ、マウントクックだけではく、クライストチャーチやクイーンズタウンといった都会へも出掛けることがあります。

テカポ飛行場は、エア・サファリ専用で運営も行なっているとのこと。北に位置するフランツ・ジョセフにも空港を持ち、お客様を迎えています。

エア・サファリではヘリコプターも所有しています。少し値段は高くなりますが、山頂や氷河にも着陸ができて機動性が高いこともあり、利用者は着実に増えているとのこと。
パイロットを入れて4人乗りなので、人数が合えば便利に使えます。
時間があれば乗ってみますかとの問い掛けに、断る理由があるはずも無く、すぐに機上の人となりました。

マウンヘイ山頂に着陸したヘリと操縦するTimさんzoom
マウンヘイ山頂に着陸したヘリと操縦するTimさん

シートベルトを締め、ヘッドセットをして出発です。
交信を聞くと30分ほどの飛行のようです。
離陸すると、すぐにテカポ湖のターコイズブルーの湖面が下に去っていきます。

前面が足元まで大きく視野が広がっている為、先程の飛行機とはまた違った見え方が楽しいです。

ヘッドセットをしているので、Timさんの話し声も良く聞こえます。
近くには小高い山が迫っています。誰も登る事のないようなはげ山はマウントヘイと呼ぶようで、風も受けながら近付いていき、着陸します。

山頂の平坦部は、50mプールほど。
360度開放された山の上です。下に見えるテカポ湖からの風が心地よく流れています。

エンジンを止めないで、一旦降機して記念撮影する時間がありました
まさにヘリでしか来られないこんな場所から神秘のテカポ湖を眺めることができるなんて思ってもいませんでした。山頂から見たテカポ湖は、湖面に空と雲が映し出され、えもいわれぬ美しさをたたえていました。
その後、マウントジョセフを見ながら旋回して、テカポ飛行場へ。

最後にはエア・サファリの事務所を上空から俯瞰しながら着陸です。
濃縮した時間はあっと言う間でした。

エア・サファリでの時間は、想像以上に感動の連続でした。
ニュージーランドの壮大な自然を、是非上空から眺めて見てください。
きっと人生観が変わるような体験になることでしょう。

エア・サファリHP(日本語)http://japanese.airsafaris.co.nz/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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