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  • 2016年10月27日更新
リスヴェル編集部トピックス
Editor:リスヴェル編集部

情熱!ハワイ在来種のサトウキビ栽培とラム酒作り

どことなく愛らしい ハワイ在来種のサトウキビzoom
どことなく愛らしい ハワイ在来種のサトウキビ
1778年、キャプテンクックがハワイを発見する以前、ハワイの人々は漁業やタロイモ栽培などの農業を中心とした完全な自給自足を行っていた。19世紀中頃から白人の台頭により、ハワイ各地に数多くのサトウキビ農場が設立され、アメリカ合衆国内で勃発した南北戦争以降、ハワイ王国は世界有数のサトウキビ輸出国となった。この頃、労働力を確保するために日本からの移民者がハワイへ渡っている。そう、現在ハワイに住む日系人の祖先である。日系人とも繋がりの深いハワイにおけるプランテーション時代は、その後100年以上続く事になる。そのサトウキビだが、西洋から持ち込まれたものだと思っていたが、実はハワイを含むポリネシアにはすでに存在しており、さまざまな用途で古代ハワイアンはサトウキビを活用していた。そのハワイ在来種のサトウキビを栽培し、ハワイ独自のラム酒造りを行っている「マヌレレ蒸留所(Manulele Distillers, LLC)」を訪れた。
ハワイ在来種のサトウキビは見た目で違いがすぐわかるzoom
ハワイ在来種のサトウキビは見た目で違いがすぐわかる
2008年、マヌレレ蒸留所の共同創設者のロバート・ドーソンさんがハワイへ移住した。ハワイに在来するサトウキビの栽培を行おうとしていたドーソンさんは、ハワイにおけるパイナップル産業の衰退の影響から、十数年前に撤退したオアフ島クニアにあるデルモンテ工場の跡地の建物(1959年に建設)に出会う。偶然にもその建物の前には「Hawaii Agriculture Resource Center」があり、この研究所の研究者やハワイ大学の研究者、ビショップ博物館の書物などから、古代ハワイから存在したハワイ在来種のサトウキビの研究の科学的な栽培法を学んでいく。

サトウキビは砂糖作りのために西洋から持ち込まれたと思っている人が多いと思うが、実際には、ポリネシア圏には少なくても50種のサトウキビが存在し、ドーソンさんの調査では現在36種のサトウキビがハワイで見つかり、その内の5種が絶滅危惧種になっている。ドーソンさんによると、古代ハワイアンは、サトウキビを様々な用途に使用していたようだ。1800年の初頭の書物からは、サトウキビの風味について細かく表記されていた。例えば、バナナの香りのするものや焼いたキャラメルのような味など、また薬として使われるサトウキビの種類もあったようだ。

ハワイでもサトウキビ栽培が盛んな60年代から70年代は、砂糖を作るために水分の少ない糖の含有量の多いハイブリッド種(交配種)を栽培していた。そのため、古代ハワイから現存していたサトウキビが忘れ去られてしまった。ドーソンさん達は、2010年の始めにハワイ在来種のサトウキビ栽培を開始し、その後サトウキビからラム酒を生産し、2015年6月からマヌレレ蒸留所内のショップで販売を開始した。
サトウキビ栽培からラム酒造りまで一貫して手作りzoom
サトウキビ栽培からラム酒造りまで一貫して手作り
マヌレレ蒸留所では、コハナ・ラム・テイスティング・ツアーを行っている(英語)。サトウキビ畑を一望するデッキでサトウキビの栽培についての説明や、ハワイ在来種のサトウキビの展示と説明、新鮮な搾り立てのサトウキビジュースの試飲、バーカウンターで数種類のラム酒の試飲(2杯)、お土産にラム酒のテイスティンググラスが付いて25米ドル。公式サイトから予約ができる。日程や時間はウェブサイトで確認!ツアーで飲める搾り立てのサトウキビジュースは、白濁色で爽やかな草の香りとしつこくない甘み、さらっとした喉越しの良さを感じた。酸化しやすい欠点があるので、白濁色からどんどん時間が経つほどに色が濃くなっていく。それだけフレッシュ、新鮮ということ。
ハワイ在来種のサトウキビの搾り立てジュースはまろやかな甘みがありとても美味しいzoom
ハワイ在来種のサトウキビの搾り立てジュースはまろやかな甘みがありとても美味しい
マヌレレ蒸留所のポリシーとして、ハワイの文化・歴史の継承としてサトウキビ栽培を行っている。単に商業的な販売目的ではない。そのため、ラム酒のブランド「コハナ・ハワイアン・アグリコール・ラム(KOHANA HAWAIIAN AGRICOLE RUM)」は、アラン・ウォンズやロイズなどのハワイで一流のレストランや一部のバーにしか卸していない。マヌレレ蒸留所のコンセプトに賛同するレストランにしか商品を卸していないのだ。

マヌレレ蒸留所のラム酒の製造方法はアグリコール・ラム製法。アグリコール・ラムの定義は、サトウキビの絞り汁から砂糖を精製せずに、絞り汁を直接原料として使用する。サトウキビを栽培するのに約12ヶ月。ラム酒作りは、サトウキビの収穫、洗浄、圧搾、発酵、蒸留などの工程を経て約3週間。ラムの種類によって異なるが、アメリカンオーク樽やフレンチオーク樽などに詰めて寝かせる。2016年は、3,000ケース(6,000本)のラム酒を作った。すべての行程を手作業で行っている。

直営ショップが2015年6月にオープン。ラム酒はここに来るか、またはオンラインショップでしか買えない。ラヒ種を使った熟成していないホワイトラムの「Kea」(30米ドル)、マハイウラ種を使ってオーク樽で熟成させた「Koho」(45米ドル)、カカオニブとマウイ産の蜂蜜をブレンドした「Kokoleka」(50米ドル)、「Koa」(75米ドル)を現在販売している。(売り切れの場合あり)
ラム酒のテイスティングzoom
ラム酒のテイスティング
マヌレレ蒸留所のラム酒を使った素敵なカクテルが飲めるレストランやバーをブランド・マネージャーのカイル・ロートナーさんに伺った。ロートナーさんは、ハワイの名だたるレストランやバーの起ち上げに携わった人。

ワイキキのサウスキング通りにあるバー「Pint + Jigger」の“Bright and Sunny”、ロイヤルハワイアンセンター内とダウンタウンにある大人のバー「Bar Leather Apron」の“ダイキリ(Daiquiri)”がオススメ!その他、「The Pig and The Lady」や「Alan Wong’s」、「Roy’s」などのレストランでもマヌレレ蒸留所のコハナ・ハワイアン・アグリコール・ラムを取り扱っている。
左から 共同創設者のドーソンさん、ブランドマネージャーのロートナーさん、共同創設者のブランドさんzoom
左から 共同創設者のドーソンさん、ブランドマネージャーのロートナーさん、共同創設者のブランドさん
KoHana Hawaiian Agricole Rum (Manulele Distillers, LLC)
コハナ・ハワイアン・アグリコール・ラム(マヌレレ蒸留所)


住所: 92-1770 Kunia Road, #227 Kunia, Hawaii 96759
    ワイキキからH1を経由して車で約45分
電話: 808-649-0830
営業: 午前10時〜午後3時(水曜日〜土曜日)
email: info@kohanarum.com
公式サイト: http://www.kohanarum.com/
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