旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2016年3月9日更新
アムステルダムカフェより
カフェエッセイスト:安齋 千尋

Coffee x easy

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Easy.
私の目の前にいるひとは、おおきな身体で色もくしゃくしゃ具合もライオンのような髪の寝ぐせも気にせず、決して慌てたり時間にもビジネスにも追われることなく、私にマシーンでコーヒーをいれてくれて、自分のカップとmacbookを持ってベッドの反対側に座っています。いつも自分に自信があり”Chihiro, easy relax”とそしてジョークをたやさない人。見とれているとこっちを見て笑っています。
I’m in love with the world through the eye of a girl who’s still around the morning after. Elliot SmithのSay yes, 失恋ではなく、大切な人とCoffeeを飲んだあとの朝のバイバイの余韻がこのメロディに合って幸せな気分です。
今年も楽しみにしていたバースデー月February、私はバルセロナにいました。
バルセロナにしたことに理由はなくて、お誕生日はどこに行きましょうかと思っていて、私は自分がcity tripが好きなこと、泊まってみたいboutique hotelがある街で名前もなんだかひらめいたバルセロナへ♡
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City Trip & Hotel Brummel
すこし前に旅のオンラインマガジンで記事を見つけて泊まってみたいリストにあったThe Hotel Brummel。シティの中心にありながら可愛いピンクのホテルとオリーブの植栽のエントランス。シンプルな内装なのにパステルなきれいな色遣いが優しくて、上質のリネン、小さな中庭にプールと綺麗に整ったサウナ、Yoga room、Bioにこだわるとってもいい香りのアメニティと新鮮な食材を使う朝食、卵を焼いてくれるスタッフのシンプルな黒いセーター、エスプレッソマシーン。心地の良い物と時間に囲まれる幸せ。雑誌に載っていたのはここのオーナーがこのホテルを開くストーリーでした。カフェを見て育ち、バルセロナという街に恋して3年前にUrban Oasis by friendsというコンセプトのもとにホテルができました。写真家としてスリランカやバリを旅した想いが伝わる自然な光と風が良く通る空間デザイン。コンシェルジュと堅苦しい名前がなくてもどのスタッフも自分のお気に入りの場所を教えてくれてセンスのいいローカルなお店はどこもかわいらしく温かいところばかりでした。
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旅館で働いていたとき、2階の中庭が見える小さな部屋にひとりで泊まられる常連の女性のお客様がいました。彼女もまた京都の老舗の店主で徒歩15分くらいのところに住んでいるにもかかわらずたまには一人でお酒と懐石料理を食べてここに泊まりたいと。思い返してもドキドキする素敵な女性です。旅の方法には自然、探検、観光名所めぐり、美術館、いろいろあります。私はふうっと深呼吸できる少し上質でチャーミングな時間を過ごす旅が好きです。Hotel Brummelは、こんなふうに出会ってきた大切な人、これからで会う素敵な人を迎える空間を作りたいなと改めて思う場所でした。何がしたい、夢とか本当はもっとばりばりキャリアウーマンになれるのではないかとか、思うことってありますが、私はEasy,と時間と空間を質のいいものたちで提供できる形を探しているのだと思います。いい映画、絵、coffee、NYのHighline、ハーブや季節の植物が咲く庭、料理をする香り、音楽、そして一緒にいたい人。好きな物たちだけが頭をめぐるいい時間を過ごしました。
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Nomad Coffee
誕生日が明けたの次の日の朝。新しい1日目、眩しい良い天気のバルセロナを散歩しながらAmsterdamのcafe Scandinavian Embassyのバリスタが教えてくれたカフェへ。大好きな人が教えてくれた素敵な場所でした。小さな路にある隠れた入り口と10席ちょっとしかない石造りの店内にコーヒーを焙煎する香り。ショーケースにはペイストリーが1種類だけ、薄くスライスされたChocolate cakeとCoffeeー。洗練された手触りの机、照明、温度、コーヒーを買いに立ち寄る人の生活の距離感がとても好きでバルセロナに来て良かったなと思うのでした。

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コンテンポラリー美術館MACBA、Joan Miró財団の美術館、ビーチに建つrebbeca hornのアートL'Estel Ferit=傷を負った彗星、もちろんガウディのsagrada famíliaを初めとする建築を見て回り、柔らかい自然な光が入る”家”やJoan Miróが好んで作品に取り入れたwoman・bird・starのモチーフが印象的でした。Miróの美術館ににPotatoという題名の絵があります。空に手を広げているかのような乳房がある女性のライン、ジャガイモはEarthを象徴してしているという説明をみながらちょっと笑っちゃいながらもなるほどなと。Sagrada familiaにあった石盤にはgive us this day our daily breadと50の言語で書かれています。これらのアートと共通してこの旅の中でなんとなく感じていることに重なるのですが、やはり女性には家や大切な人を守る力が本来あるのだということです。世の光、地の塩であれ、キリスト教ではなくてもこの節はいつも心に留めて強くありたいと新鮮に思いながらも、ぽろんぽろんとドーナツ屋さん、スタンドのコーヒー、タパス、パエリア、サングリア、美味しいものに心ひかれて歩き、また実は旅のはんぶんは東京から友人が来て一緒にいたので笑いが絶えず何をしても楽しいポジティブな気持ちを充電したバルセロナでした。
Easy。あんまりイライラしないで、素直に自分の気持ちを伝えようと思います。手をつないで自転車をこぎながら、ひとりよりふたりが幸せだなと思ったり、お誕生日おめでとうって言ってほしい人にそうメールをしたらAmsterdamからBarcelonaに電話がかかってくるディナータイムのハッピーあり、思いがけない友人からの抱えきれない花束、CinemaなおともだちからのゴダールのDVDのプレゼントを頂いたり、旅から帰ったら部屋中キャンドルをつけて待っていてくれる人がなにか歌いながらシャワーを浴びている音がすること。今年も誕生日の旅は大好きな人たちの温かさに囲まれてとても幸せで、明日からもcoffeeを入れる朝が楽しみでありますように。
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Hotel Brummel 
http://www.hotelbrummell.com
Nomad Coffee

http://shop.nomadcoffee.es
Joan Miró財団の美術館(Fundacio Joan Miro)
http://www.fmirobcn.org/en/
カフェエッセイスト:安齋 千尋
Amsterdamに住んでいます。外国で暮らすため、京都で仲居をしながら学んだ日本、Londonでの宝物の出会いがありヨーロッパにきて10年以上が経ちました。世界中どこにいてもいいカフェに出会うことがとても楽しみです。入った瞬間の香り、音、新聞、いつものバリスタと目が合うこと、私の日々の幸せな瞬間はカフェにあります。
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