旅の扉

  • 【連載コラム】地球に優しい旅しよう!
  • 2015年10月21日更新
自然と動物好きなトラベルジャーナリストの旅コラム
travel journalist:平野 美紀

世界一長い地底川を探検!~プエルト・プリンセサ地下河川国立公園

南シナ海に面した美しいビーチが広がるパラワン島西部zoom
南シナ海に面した美しいビーチが広がるパラワン島西部
“フィリピン最後の秘境”と呼ばれるパラワン島。

そこには、幻の原始猿人バーゴン……じゃなくて、地底を流れる世界一長い川がある!?
※バーゴンって何?という人は、「パラワン島」「バーゴン」で検索!(笑)

「世界最長の地底河川」とは、何とも冒険心を掻きたてられるじゃありませんか!
これは実際行って、見てくるしかないしょう♪ というわけで、早速、パラワン島へ潜入!
国立公園の入り口では、野生の猿の親子がお出迎えzoom
国立公園の入り口では、野生の猿の親子がお出迎え
フィリピンの世界遺産

南の島が集まって国を形成するフィリピンには、現在、6つの世界遺産があります。そのうちの3つが自然遺産に指定されたもので、その3つの自然遺産のうち2つが、“フィリピン最後の秘境”と呼ばれるパラワン島にあります。

1つは「トゥバタハ岩礁海中公園」、そして、もうひとつが、この「プエルト・プリンセサ地下河川国立公園」です。
地底河川の入口となる洞窟へは小さな手漕ぎ船でzoom
地底河川の入口となる洞窟へは小さな手漕ぎ船で
新・世界七不思議にも選ばれた「プエルト・プリンセサ地下河川国立公園」

プエルト・プリンセサ地下河川国立公園は、パラワン島の首都プエルト・プリンセサから北西へ約80kmほどのところに位置し、島の西側の美しい南シナ海に面しています。そして、最大の見どころである地底を流れる河川は、全長約8.2km。地底にできた鍾乳洞を流れる航行可能な川としては、世界最長!

国立公園内は、手付かずの自然がそのまま残されており、様々な生物が生息するサンクチュアリとしても貴重な場所であることから、ユネスコの世界遺産に指定されました。また、「新世界七不思議財団」がインターネットを通じて投票を行った『新・世界七不思議 自然版』のひとつにも選ばれているそうです。
岩壁に巣を作る無数のツバメたちが飛び交う中、洞窟へ潜入!zoom
岩壁に巣を作る無数のツバメたちが飛び交う中、洞窟へ潜入!
世界最長の地底川探検へ出発!

名称に「プエルト・プリンセサ」とついていますが、実際は、プエルト・プリンセサ市内からは車で約2~2時間半ほど(交通状況による)。途中では、熱帯植物が生い茂るジャングルを抜け、ちょっとした山越えもあります。峠を下り始めて、青く輝く南シナ海が見えてきたら、あと少しで、地底川探検の基点となる町サバンに到着!

サバンで、国立公園入場の手続きをし、ボートに乗って、地底河川が流れる洞窟のある場所へ。地底河川の入り口で、再び小舟に乗り換えて、洞窟の中へ潜入!
手渡されたライトで洞窟を照らす任務を仰せつかってしまった…zoom
手渡されたライトで洞窟を照らす任務を仰せつかってしまった…
…となるわけですが、ここまでの道のりが案外長い(笑)。前々日に出会った(その数日前に行ってきたという)香港ガールの事前情報では、サバンに着いてからボートに乗るのに2時間、その先の小舟に乗るのにさらに2時間と、トータル4時間くらい待ったとのこと。相当待たされる覚悟で臨んだものの、案外すんなり小舟まで辿りつけて、おそらく待ち時間だけなら2時間弱程度と(たぶん)ラッキーでした。

もし、待つ時間が長かったとしても、この記事のトップ置いた写真のように、美しいビーチもありますし、熱帯雨林とマングローブの森をウォーキングするツアーなども催行されていますので、参加してみるのもいいかもしれません。

さて、いよいよ地底河川へ入るため小舟に乗りこもうというその時、私に手渡されたのは大きなライト。一番前の席に座らされ、真横に置かれたバッテリーに繋いで、船頭を兼ねるガイドの指示に従って、洞窟内を照らすように!という指令を受けてしまいました。よって、洞窟内の写真はありません…(泣)

しかし、地底を流れる川を手漕ぎ船で航行しながら、巨大な鍾乳洞を眺める体験は初めて!照りつける南国の暑い日差しが嘘のように、ひんやりとした洞窟内には、たくさんのコウモリが飛び交い、探検気分を盛り上げてくれました。

このプエルト・プリンセサ地下河川国立公園は、一日の入場者数に限りがあるそうですので、プエルト・プリンセサ市内から催行されているツアーに参加するのが、手軽でおすすめ。入場許可の手続きもガイドさんがやってくれます。
地底河川探検の後は、地元のフィリピン料理に舌鼓♪zoom
地底河川探検の後は、地元のフィリピン料理に舌鼓♪
日本人旅行者はまだ少ないパラワン島

パラワン島は、フィリピンの首都マニラから国内線で1時間ちょっと。日本からの直行便はありませんが、日本からの直行便がある日本人旅行者にもポピュラーなセブ島からのフライトもあります。

とはいえ、フィリピン国内での乗換えが必要なこともあってか、日本人旅行者はまだまだ少なめ。旅行者は主に、欧米からのバックパッカー的な若者や家族連れが多い印象で、私がパラワン島に滞在していた9日間、日本人旅行者には一人も出会いませんでした。(私がマイナーな場所ばかりに出没していたのかもしれませんが…)

今回、パラワン島に初めて上陸してみた感想は、島全体を通して観光開発がまだ途上であるということ。正直なところ、世界中から大勢の観光客を受入れるのは、設備などの面からも、まだ少し難しいところがあるように感じました。

しかしそれは、まだまだ手付かずの自然が残っているという証でもあります。ですから、自然が好きで、バードウォッチングやカヤック、シュノーケリングなど、アウトドア・アクティビティ好きな人には、魅力的な場所といえそうです。まだ訪れる人が少ない今が狙い目かも?!(ちなみに、島内はカワセミ天国でした!)

プエルト・プリンセサ地下河川国立公園 -ユネスコ・世界遺産サイト
travel journalist:平野 美紀
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。
トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆やラジオ出演などの傍ら、
旅行情報サイトも運営。目下の関心事は、野生動物とエコ。
個人ブログ:http://tabimag.com/blog/
海外旅行情報サイト「@-Waveたびまぐ」:http://www.tabimag.com/
オーストラリア旅行情報サイト「オーストラリアNOW!」:http://australia-now.info/
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