旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2015年7月16日更新
アムステルダムカフェより
カフェエッセイスト:安齋 千尋

Coffee x Grexit? Amsterdam DIY

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Amsterdamの好きなところ
Light&DIY
私は朝派なので、朝、光がいっぱいなところにCoffeeとパンの焼ける香りのする場所が大好きです。オランダの光というと、どこかで聞いたような使い回しの言葉のようですが、フェルメール、レンブラント、住んでみて自転車で走ってみて光と風この澱みのない空気の中で、あー今日も幸せだなーとすかっと思えるところが好きです。
そしておうちが好き。オランダの住居はその昔入り口と窓の大きさで税金がかけられていたそうで、古いCanal houseは窓が小さいのですが、近代建築になって窓が大きくて光がいっぱい入るおうちが多くなっているようです。海よりも低い土地にながーい堤防を建てた国の人たちはでこぼこしていてもシンプルに自分たちの手で塗り替えたり組み立てたりするのがとても得意です。さて私は9月にまた(!)引っ越さなければいけないので壁やらドリルやらどうしようかなと悶々と考え中です。

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さてそんな中、今日は新しくできたお花屋さんのCafe, WILDERNISで新聞とcoffee。
室内で育てるプラントの専門のお店です。
私はLondonでAromatherapyのトレーニングを修了しているのですが、植物や光からエネルギーをもらえるような気がしています。小さいエスプレッソマシーンとクッキーしかなく、とくにCafeですって書いていないので新聞だけ読んで帰るのですが、ジブリ映画のアリエッティになった気分。こそっとうれしい朝Cafe。
私はAromatherapistの資格を修了したこと、また大学では国際政治学を勉強したのですがキャリアにつなげることができませんでした。でもいつも思うことは学ぶことで世界をみるフィルターを持つことができます。何も知らなくても世界はそのままで美しいと思うし、新聞にはいろんな情報が毎日何となく書かれているけど、学ぶことでなんとなくな世界を見るとき私は国際政治の力の動きやバランスが崩れる瞬間という枠で切り取って見ています。
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2015年の夏のハイライトはきっとギリシアのこと。きっとこの先の世界史でもこの選挙、ギリシアの動きは歴史や経済、政治の授業で続いていくのだなー学者ではないからぽかんと思っています。
仕事でパスポートを見ることが多いのですが、ギリシアのパスポートは世界一美しいのです。各ページに神殿や遺跡がデザインされていてギリシア神話の女神の透かし絵が印刷されています。GreeceではなくHellasと書かれたパスポート。古代ギリシア人は自らを神話上の美女ヘレネの子孫だと信じていたことに由来するそうでロマンチックすぎて見とれてしまいます。ロマンチックはお金にはならないのかしら、神話も海も美しいし、食べ物もおいしいのに。(http://www.passport.gov.gr/en/passport-presentation-en.html
Grexit? ギリシアのユーロ圏離脱を意味する造語ですが、仮説を眺めながらユーロから出たらいいような気がしています。私のポイントは、ユーロであることとEUであることは別なこと。イギリスだってまだポンドだし、デンマークだってクローナだけど国境の隔てなく働くことができるし保険証みたいなカードもEU全体で使うことができるし、軍隊はもたなくても結局EU圏の恩恵をうけるのだから。もちろん一時的にほかのEUの国はショックを受けるだろうけど。この危機を受けて新しいギリシアの首相がロシアにコンタクトをとったというニュースを読んでは世界は未だにゲームをするのだなと思っていました。だいたい経済って不思議。先端科学や医療の開発、エネルギーが国を豊かにすることはわかるようなきがするけれど、どこの国だってとくにヨーロッパはちょっと田舎に行けばなにが経済の支えになっているのかちょっとよくわからないと思うような放牧地に壊れそうな家と教会。。土地の利用がその国の資産になるのなら、ギリシアはヨーロッパの真ん中にあって海があって歴史があって、むしろ『ギリシア神話』の利用に特許つけたらそれだけで美しすぎる財産なのに。摩天楼のビルの中だけでお金が増えていく謎のアニメーションみたいなゲーム世界に住んでいることを、飛行機が飛ぶ不思議みたいに足がすくむ感じになることがあります。
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GrexitをWikipediaの日本語のページで検索してみると、ギリシアの経済衰退の”神話”が載っていて、国民が怠惰で労働時間が短いからという仮説は当てはまらないのだそうです。一人当たりの平均労働時間はアメリカよりも長いそう。経済が安定しているオランダよりも全然長く働いているはず!労働時間というか営業時間ですが、私のAmsterdamの苦手なところはいいCoffeeが飲めるカフェが6時に閉まることなのです。最後の砦のはずのスターバックスでさえ7時に閉まります。いまからカフェに寄りたいのに。そんなときに立ち寄るのはDe Pijp地区にあるCT Coffee & Coconuts。
まさにDIYの成功例で戦前からあったCeintuur Theaterという映画館を改装した3階建て吹き抜けのカフェ。BreakfastからDeliな感じのDinnerまで、Coffeeやお酒だけでも居心地のいい空間なのです。いつも行くカフェとは違ってここでは名前を覚えてくれる人たちはいないけど、何かに集中したい遅くなってしまった仕事の帰りやお買い物のあと私にはこの場所が必要です。ちょっとだけさみしいなと思ってこのカフェに向かっていた帰り道、向かいからちょっと見慣れたくるんくるんの髪の男の子。chihiro? 10歳も年下だけど気の合う優しいお友達で、3ヶ月の旅をしてすっかり日焼けして髪の色まで海で灼けた彼は、私が学生時代冒険したGabriola Island(Canada)のあとのよう。新鮮に話してくれる様子にすっかり笑顔になりました。Aromatherapyを学ぶ前からそういえば有機栽培という点にはとても興味があって、カナダの小さい島で有機農業の手伝いをしたり、NYのHigh lineに植えられた緑地化感動してここに住みたいと思ったり(いまでもHighLineは世界でいちばん好きなcoffeeの似合う場所)洗練されたBioのコンセプトが好きなんだなーと語ってみるのでした。チョコレートブラウニーにラテの泡をつけて嬉しくなるから写真をとってみる。
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WILDERNIS
web : http://wildernisamsterdam.nl
Address : Bilderdijkstraat 165F 1053 KP Amsterdam




CT Coffee & Coconuts
web : http://www.ctamsterdam.nl
Ceintuurbaan 282-284, Amsterdam
Opening hours:
Mon - Fri:
7:00 - 23:00
Sat - Sun:
8:00 - 23:00
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カフェエッセイスト:安齋 千尋
Amsterdamに住んでいます。外国で暮らすため、京都で仲居をしながら学んだ日本、Londonでの宝物の出会いがありヨーロッパにきて10年以上が経ちました。世界中どこにいてもいいカフェに出会うことがとても楽しみです。入った瞬間の香り、音、新聞、いつものバリスタと目が合うこと、私の日々の幸せな瞬間はカフェにあります。
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