旅の扉
- 【連載コラム】地球に優しい旅しよう!
- 2014年10月15日更新
- 自然と動物好きなトラベルジャーナリストの旅コラム
- travel journalist:平野 美紀
南半球のオーストラリアに春がやってきた!~カウラ桜まつり
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- カウラ桜まつり
- 日本が秋へと向かうこの季節、南半球のオーストラリアは春を迎えます。
先月末、シドニーの西、約320kmのところにあるカウラで、春の到来を告げるお祭り「桜まつり」開かれました。(ちょっと遅くなってしまいましたが)その様子をレポート!
北半球の日本へ、オーストラリアから春の香りをお届けします♪
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- カウラの町のあちこちで、満開になった桜
- ■25回目を迎えた「桜まつり」
以前は、英語でCherry Blossom Festival と呼ばれていたこともあった「桜まつり」。今年で25回目を迎え、もうすっかりSakura Matsuri(桜まつり)の名称のほうが定着、地元の人気ファミリー・イベントのひとつとして、大勢の家族連れで賑わっていました。
会場となった「カウラ日本庭園」では、日本舞踊や雅楽の演奏、和太鼓や地元の空手クラブのパフォーマンス、習字や折り紙の講習会、盆栽の展示と手入れのパフォーマンスなど、日本の伝統文化に触れるイベントも数多く催され、皆、日本文化に夢中の様子でした。
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- カウラ日本庭園には、見事な枝垂桜も!
- ■やきとり、焼きそば…日本食が大人気
園内には、やきとりや焼きそばといった日本食の屋台もでており、地元の人たちに大人気!お昼時には、あっという間に長蛇の列です。
普段は、ソーセージやステーキなどをバーベキューグリルで焼いているであろう地元のおじいさんたちも、この日ばかりは、焼きとりの“ネギま”を 汗を流しながらせっせと焼いていて、なんだか微笑ましい限りでした。
芝生の上に座って、日本庭園と桜を愛でながら、やきとりや焼きそばを食べている地元の人たちの姿は、日本人のお花見そのもの!
そこがオーストラリアであることを忘れてしまうような、ひとときでした。
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- (左)せっせと焼きとりを焼く、地元のおじいさんたち、(右)袴姿で来場していた地元のおじさん
- ■本格的な回遊式日本庭園 カウラ日本庭園
「カウラ日本庭園」は、カウラの中心部から車で5分ほどのところにあります。
第二次世界大戦時下に、このカウラの町に連合軍の捕虜収容所が造られ、そこに収容されていた日本兵500人以上が脱走したことで知られる 「カウラ事件=カウラ日本兵集団脱走事件(カウラ・ブレイクアウト)」が起きました。
捕虜収容所の脱走事件としては、史上最多と言われ、日本人231名、オーストラリア人4名の死者と、多数の負傷者を出したカウラ事件。
その時の犠牲者への追悼と平和なの祈りを込め、捕虜収容所跡近くに「カウラ日本庭園」が造られたのだそうです。
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- 本格的な回遊式日本庭園のカウラ日本庭園
- ■平和へと続く道、桜アベニュー
カウラ日本庭園と捕虜収容所跡を結ぶ一本道は、「桜アベニュー」と名付けられ、その辺りから約5kmに渡って、約2000本もの日本桜が植えられた並木道となっています。また、近くには、事件での犠牲者および収容所に収監された抑留者など、この地で亡くなった日本人が眠る「日本人墓地」があります。
日本人墓地は、1963年にオーストラリア政府によって日本に譲渡され、現在は、日本国の領土となっており、オーストラリア戦争墓地委員会の管理の下で、カウラの人々が手入れをしてくれています。
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- カウラ捕虜収容所跡に残された監視塔
- 二度とあのような悲しい事件が起きて欲しくないとの思いから、町を挙げて「平和」を提唱していくことを誓ったカウラ。
近年は、ワインの産地としても注目の的となっています。近郊では、数多くの農産物も作られてているため、地元グルメも魅力のひとつ!
また、カウラはオーストラリア内陸部に位置しているため、沿岸部とはまた違ったカラフルなインコやオウムなど、珍しい野鳥をたくさん見ることができます。知られざるバードウォッチング・スポットとしてもおすすめです。
日本ではあまり語られることのない歴史を辿りながら、カラフルな野鳥たちを追いかけ、地元の人たちと上質なローカルワインと多彩なグルメに舌鼓――
そんな、他では味わえない魅力あふれる町「カウラ」。行き方などの詳細は、以下の記事でどうぞ♪
▼カウラ桜まつり ~日本との縁深きオーストラリア内陸部の町でお花見