トラベルコラム

  • 【連載コラム】ちょっとこだわり、少し贅沢
  • 2014年2月26日更新
トラベルソムリエの旅コラム
Travel sommeliere:小野アムスデン道子

名作との思わぬ出会い、ロサンゼルスはアートの穴場

ノートン・サイモン美術館:ボッチチェリとラファエロのマドンナ像が同じ部屋に飾られているという贅沢zoom
ノートン・サイモン美術館:ボッチチェリとラファエロのマドンナ像が同じ部屋に飾られているという贅沢
 ロサンゼルス(LA)といえば、ハリウッドにダウンタウンのスターの手形、ユニバーサル・スタジオやディズニーランドといったテーマパークを思い浮かべる人が多いと思うが、気候温暖なこの地には、珠玉のミュージアムからアートの殿堂まで、驚きの芸術作品と出会える場がある。
 どこかで見かけたことのある有名な芸術作品、ヨーロッパにあると思っていたら、なんとLAにあった!とびっくりさせられ、またその多くはガラスなしで間近に見ることができて、フラッシュを使わなければ、写真もOKという所がほとんど。LAのミュージアムは、じっくりと名作に向かい合える穴場だ。(こちらは郊外の町パサディナにある「ノートン・サイモン美術館」にて、対面したボッチチェリのマドンナ。)
ゲテイ・センター:ゴッホのアイリスがある西館。名作を至近で鑑賞zoom
ゲテイ・センター:ゴッホのアイリスがある西館。名作を至近で鑑賞
石油王が作ったアートの別世界「ゲティ・センター」
 まず、LAでは必ず訪れてほしいのが「ゲティ・センター」。モノレールで丘を登って行くというアプローチからして、アート別世界に行くという感じ。東西南北4つの館に分かれ、年代別の展示がされていて、最も人気はゴッホの「アイリス」を含む1800〜1900年のアートが入る西館だろう。モネの「ルーアン大聖堂」や「日の出」、ルノワールやピサロなど印象派の名作がずらりと並ぶ。収蔵作品は、絵画、彫刻、写真、美術品の名品ばかり。これらが、ゲティ氏の個人コレクションで、今でも入場料は無料。アメリカの石油王はスケールが違う。ミュージアムショップに置かれた『How to be rich』という本がありがたく見える。
ゲティ・センター:この美しい文様はバラzoom
ゲティ・センター:この美しい文様はバラ
 総工費1000億円を費やした美術館は、建物や庭園も素晴らしい。モダニズムの建築家として著名なリチャード・マイヤーの設計で、白い大理石を使った建物には自然光が降り注ぎ、バルコニーから一望のLAの眺めも素晴らしい。彫刻が点在し、バラが文様を描く庭園など、全体がアートがアートそのもの。エントランスで日本語のオーディオガイド(貸し出しに身分証明書が必要)やパンフレットもある。時間をかけてゆっくり回りたい、いや過ごしたい場所である。
全米日系人博物館:90代の日系2世のボランティアガイドさんzoom
全米日系人博物館:90代の日系2世のボランティアガイドさん
先人の忍耐と努力に思いをはせる全米日系人博物館
 LAダウンタウンのリトル・トーキョーに、全米でここだけという全米日系人博物館がある。アメリカに初めて移り住んだジョン万次郎やハワイへの移民、そして西海岸に渡った日系1世のパイオニア達。そんな日系人達が夢と希望を詰めて海を渡ったトランクが入り口にうず高く積まれている。この博物館でいろいろと考えさせられのは第2次大戦中の日系人についての展示。志願して兵役についた日系人兵士の部隊、西海岸の強制収容所に入っていた人々。ボランティアガイドである90代の日系2世の方が、静かにそして丁寧に語ってくださった。日系人の忍耐強さと頑張りに頭が下がる思い。
ハンティントン・ライブラリー:リンカーン大統領の手紙zoom
ハンティントン・ライブラリー:リンカーン大統領の手紙
アメリカ、鉄道王・不動産王の図書館は半端ない
 ゲティに続いて、アメリカのお金持ちにまたまた驚かされるハンティントン・ライブラリー。ここには、広大な敷地に鉄道と不動産で財を成したヘンリー・E・ハンティントンが設立した図書館や美術館、庭園などがある。図書館には世界で初めての活版印刷「グーテンベルグ聖書」やリンカーンの手紙など貴重な収蔵品も展示されている。美術館は、英国好きだったハンティントン氏が集めた19世紀の英国の肖像画と美術品がほとんどで個人的嗜好が強いが、英国式、日本式、中国式と3つの庭園は、なかなか楽しめる。
ノートン・サイモン美術館:ため息の西洋美術、地下の東洋美術もかなりのものzoom
ノートン・サイモン美術館:ため息の西洋美術、地下の東洋美術もかなりのもの
目利きの収集、展示の質の高さに驚く珠玉の美術館
 ロサンゼルスの郊外パサディナにあるノートン・サイモン美術館は、今回、最も心引かれた珠玉の美術館。実業家ノートン・サイモン氏が約30年にわたって集めた14世紀から20世紀までの西洋美術、および地下には1世紀頃からの東洋美術が展示されている。レンブラントの自画像、ボッチチェリやラファエロのマドンナ像。ゴッホやルソー、ルノワール。まるでドガ部屋という感のドガの彫刻と絵画の数々。ドガの14歳の小さな踊り子像もちゃんとチュチュとリボンを付けて鎮座していた。趣あるパサディナの町と併せて、ぜひ訪れてみてほしい。これらのLAアートの旅の詳細情報は ロサンゼルス観光局ウェブサイトも参考に。http://jp.discoverlosangeles.com/
Travel sommeliere:小野アムスデン道子
ロンリープラネット日本語版編集を経て、ローカルグルメやお酒、非日常の体験などちょっとこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ジャーナリストへ。
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