旅の扉

  • 【連載コラム】「“鉄分”サプリの旅」
  • 2026年5月4日更新
共同通信社 経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎

「安・近・短」が広がる大型連休旅行、うってつけな首都圏地区最大級のシバザクラ

△シバザクラが咲き誇る富士芝桜まつりの会場と富士山(プライバシー保護のため画像を一部加工しています。ワンちゃんは飼い主の許可を取って大塚圭一郎撮影)zoom
△シバザクラが咲き誇る富士芝桜まつりの会場と富士山(プライバシー保護のため画像を一部加工しています。ワンちゃんは飼い主の許可を取って大塚圭一郎撮影)

 物価高による節約志向を背景に、2026年のゴールデンウイーク(大型連休)は「安・近・短」がトレンドの一つになっている。首都圏から出かけるのにうってつけなのが、富士五湖の一つである本栖湖(もとすこ)の近くにある富士急行傘下の施設「富士本栖湖リゾート」(山梨県富士河口湖町)で2026年のゴールデンウイーク期間中に色とりどりのシバザクラを楽しめる「富士芝桜まつり」だ。

首都圏地区で最大級となる約50万株のシバザクラが咲き誇る「花のじゅうたん」と、日本一高い富士山(標高3776メートル)の“共演”を楽しめる。期間は2026年5月24日まで。

△河口湖駅と富士芝桜まつりの会場を結ぶシャトルバス「富士芝桜ライナー」(大塚圭一郎撮影)zoom
△河口湖駅と富士芝桜まつりの会場を結ぶシャトルバス「富士芝桜ライナー」(大塚圭一郎撮影)

  【シバザクラ】ハナシノブ科の植物で、北アメリカ原産の多年草。花の形がサクラに似ており、まるでシバ(芝)のように地面をはって広がるため「シバザクラ(芝桜)」と呼ばれる。寒さに強いのが特色で、日当たりと水はけが良い場所に咲きやすい。ハナシバ、ハナツメクサとも呼ばれる。

△富士山の形をした小さな丘にシバザクラを敷き詰めた「ミニ芝桜富士」(右)と、本物の富士山(プライバシー保護のため画像を一部加工しています。大塚圭一郎撮影)zoom
△富士山の形をした小さな丘にシバザクラを敷き詰めた「ミニ芝桜富士」(右)と、本物の富士山(プライバシー保護のため画像を一部加工しています。大塚圭一郎撮影)

 ▽物価高で「安・近・短」がトレンドに
 大手旅行会社のJTBによると、2026年のゴールデンウイーク期間中の4月25日~5月7日の国内旅行者数は2390万人となり、前年同期より1・7%増える見通しだ。一方、平均旅行予定費用は2・1%減って4万6000円と予想し、物価高などが響いて財布のひもが固くなることで「安・近・短」の旅行が広がることが見込まれている。
 富士芝桜まつり(営業時間は原則午前8時~午後4時)の入園料は時期によって変動するが、大人(中学生以上)が1000~1300円、子ども(3歳以上)が500~700円にとどまる。
 期間中は、会場となる富士本栖湖リゾートまでJR東日本新宿駅新南改札直結の「バスタ新宿」から高速バスに乗れば約2時間25分で直行できる。また、JR東日本の特急「富士回遊」が直通運転する富士山麓電気鉄道富士急行線の終点、河口湖駅からはシャトルバス「富士芝桜ライナー」が約40分で結んでいる。

△着物の貸し出しコーナーに用意された甲冑(大塚圭一郎撮影)zoom
△着物の貸し出しコーナーに用意された甲冑(大塚圭一郎撮影)

 ▽甲冑姿で記念撮影も!

 今年で19回目の富士芝桜まつりは、約1万5千平方メートルの敷地にピンク色の「マックダニエルクッション」や白色の「モンブラン」、紫色の「オーキントン・ブルーアイ」など6品種のシバザクラが敷き詰められている。

 園内には交流サイト(SNS)などに「映える」画像を撮れるようにフォトスポットを用意しており、富士山の形をした小さな丘にシバザクラを敷き詰めた「ミニ芝桜富士」は晴れていれば本物の富士山との「ダブル富士」を撮影できる。開いた扉をくぐるような構図で撮れる「幸せへ続く扉」、富士山をバックに記念撮影できる「Mt.FUJI」の文字のオブジェ」なども、シバザクラを引き立てるように設置されている。

 私がゴールデンウイーク前に訪れると、早くも家族連れやカップル、インバウンド(訪日客)らでにぎわっていた。着物姿で園内を闊歩して記念撮影にいそしむ外国人旅行者もいた。富士本栖湖リゾートの中村州宏総支配人は「来場するお客様に日本の和を感じていただける場所も作っており、(追加料金で)着物の貸し出しや、抹茶を楽しめるコーナーも設けています」と説明。着物の貸し出しコーナーには、戦国時代に着用されていたような甲冑(かっちゅう)も用意されており「甲冑を着て記念撮影をした外国人のお客さまもいらっしゃいました」とか。

△シバザクラとの“共演”が「絵になる」3匹のワンちゃん(飼い主の許可を取って大塚圭一郎撮影)zoom
△シバザクラとの“共演”が「絵になる」3匹のワンちゃん(飼い主の許可を取って大塚圭一郎撮影)

 ▽「映える」ワンちゃんにも照準

 「映える」姿を撮る対象は人だけではなく、ワンちゃんにも照準を合わせている。園内には愛犬の記念撮影向けのフォトスポットやドッグランも設けている。

3匹の愛犬を連れた飼い主さんがいらっしゃり、シバザクラとの“共演”が「絵になる」とてもかわいいワンちゃんなので私も許可を取って撮影させていただいた。

 富士芝桜まつりは体高50センチ以下の中・小型犬ならば入場でき、今回からは飼い主と同行する犬の入場規制を緩和して「ゴールデンウイークなどの混雑時以外にはワンちゃんにリードを付ければ入場が可能になりました」(富士本栖湖リゾート)。ゴールデンウイークなどの混雑時も、ペットケージまたはペットカートなどに入れれば入園できる。

△揚げたてのパンにソフトクリームを挟んだデザート「揚げパンソフト」(大塚圭一郎撮影)zoom
△揚げたてのパンにソフトクリームを挟んだデザート「揚げパンソフト」(大塚圭一郎撮影)

 ▽ウサギの人気キャラクターの世界観も

 敷地内にはウサギの人気キャラクター「ピーターラビットTM」の世界観を堪能できる「ピーターラビットTMイングリッシュガーデン」もあり、レンギョウの黄色い花などが咲いた散歩道に絵本の場面が再現されている。

 園内の店舗ではローストビーフと富士山型のライスを盛りつけた「彩りローストビーフプレート」(2800円)や、パンの切り込みの間にソフトクリームを挟んだデザート「ソフトドッグ」(650円)などのオリジナルメニューを販売。近隣の山梨県富士吉田市の名物「吉田のうどん」や、静岡県富士宮市の「富士宮やきそば」といったご当地グルメを味わえるキッチンカーも多く出店している。

 「安・近・短」のトレンドに乗り、満開のシバザクラと富士山が織りなすハーモニーに癒やされたいという来場者も、「花より団子」というニーズにも合致した訪問先と言えそうだ。
(連載コラム「“鉄分”サプリの旅」の次の旅をどうぞお楽しみに!)

共同通信社 経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎
1973年4月、東京都杉並区生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。1997年4月に社団法人(現一般社団法人)共同通信社に記者職で入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。2024年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を積極的に執筆しており、英語やフランス語で取材する機会も多い。

日本一の鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。東海道・山陽新幹線の100系と300系の引退、500系の東海道区間からの営業運転終了、旧日本国有鉄道の花形特急用車両485系の完全引退、JR東日本の中央線特急「富士回遊」運行開始とE351系退役、横須賀・総武線快速のE235系導入、JR九州のYC1系営業運転開始、九州新幹線長崎ルートのN700Sと列車名「かもめ」の採用、しなの鉄道(長野県)の初の新型車両導入など最初に報じた記事も多い。

共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載「鉄道なにコレ!?」と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。

本コラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)、カナダ・バンクーバーに拠点を置くニュースサイト「日加トゥデイ」で毎月第1木曜日掲載の「カナダ“乗り鉄”の旅」(https://www.japancanadatoday.ca/category/column/noritetsu/)も執筆している。

共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。
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