旅の扉

  • 【連載コラム】「“鉄分”サプリの旅」
  • 2026年3月19日更新
共同通信社 経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎

横浜スタジアムの隣に大規模複合施設、トレインビュースポットに現れた著名経済人とは

△横浜スタジアム脇のJR根岸線を走るE233系(大塚圭一郎撮影)zoom
△横浜スタジアム脇のJR根岸線を走るE233系(大塚圭一郎撮影)

 JR東日本根岸線と横浜市営地下鉄ブルーラインが乗り入れる横浜市中心部の関内駅前に、大規模複合施設「BASEGATE(ベースゲート)横浜関内」が2026年3月19日開業。一足早く内覧したところ、格好のトレインビュースポットを見つけた。その場に居合わせたのは著名経済人だった―。

△BASEGATE横浜関内のタワー棟(大塚圭一郎撮影)zoom
△BASEGATE横浜関内のタワー棟(大塚圭一郎撮影)

 【BASEGATE横浜関内】旧横浜市庁舎の建物などがある約1万6500平方メートルの敷地を活用し、三井不動産と鹿島、京浜急行電鉄、第一生命保険、竹中工務店、ディー・エヌ・エー(DeNA)、東急、星野リゾートの8社が手がけた開発プロジェクト。
 「横浜市旧市庁舎街区活用事業」と呼ばれ、全体の延べ床面積は約12万8500平方メートル。ホテル「OMO7横浜」、商業施設やオフィスが入居する33階建ての複合タワー、ライブビューイングアリーナ「THE LIVE Supported by 大和地所」などが設けられている。

△堀口珈琲の新業態で提供されるホットコーヒーとジェラート(大塚圭一郎撮影)zoom
△堀口珈琲の新業態で提供されるホットコーヒーとジェラート(大塚圭一郎撮影)

 ▽「青一色」のワケとは
 向かい合った対面式プラットホームの高架駅になった関内で京浜東北・根岸線を降り、南口への階段を下ると壁が青一色で彩られている。京浜東北・根岸線のラインカラーはスカイブルーだが、それが理由ではない。
 南口の目と鼻の先にプロ野球セントラル・リーグ「横浜DeNAベイスターズ」の本拠地「横浜スタジアム」があり、球団カラーの「ベイスターブルー」と選手らのポスターなどで彩られているのだ。

△「OMO7横浜」の2階から見た館内。右奥が泰山タイル壁画(大塚圭一郎撮影)zoom
△「OMO7横浜」の2階から見た館内。右奥が泰山タイル壁画(大塚圭一郎撮影)

 ▽球場に入らなくてもスタジアム気分
 そんな関内駅と横浜スタジアムの間に誕生したのが「BASEGATE横浜関内」だ。商業エリアには飲食店を中心に55店舗が入居し、うち幅約18メートル、高さ約8メートルの大型画面を備えた屋内施設がライブビューイングアリーナ「THE LIVE Supported by 大和地所」だ。限定ビールを買い、画面に映し出されたベイスターズの試合中継を楽しむこともできる。
 34店の小型飲食店が集まるのが「スタジアム横バル街」だ。グルテンフリーでもちもちした食感のタピオカ麺を使ったベトナム麺料理「ベトナム屋台 チャオメン」などの初出店や、朝がゆや麻辣湯(マーラータン)を味わえる中華料理店「馬姐 麻辣湯」などの新業態もある。

△「OMO7横浜」の屋上から眺めた横浜スタジアム。広島カープとのオープン戦の最中だった(大塚圭一郎撮影)zoom
△「OMO7横浜」の屋上から眺めた横浜スタジアム。広島カープとのオープン戦の最中だった(大塚圭一郎撮影)

 ▽ユニークな元市庁舎
 また、「ザ レガシー」の名称で旧横浜市庁舎行政棟の建物を店舗やホテルに活用しているのもユニークだ。地元の書店「有隣堂(ゆうりんどう)」は書籍販売にとどまらず、食品や雑貨なども取り扱う。
 地下には洋食を現代版にアレンジしたメニューを用意した食堂「1909」や、有隣堂伊勢佐木町本店(横浜市)にかつて存在した喫茶食堂をコンセプトにした「有隣食堂」を設けている。
 オフィスなどが入居する33階建て超高層ビルのタワー棟と旧横浜市庁舎行政棟の間にある通路は「継承の道」と名付けられ、「横濱元町霧笛楼」などの菓子類の販売店が並ぶ。横浜市内にコーヒー豆の焙煎拠点「横浜ロースタリー」を持つ堀口珈琲の新業態はコーヒーの他にジェラートも提供しており、ホットコーヒーとジェラートを交互に味わうペアリングを体験できるのが面白い。ペアリングセットは1150円で用意している。
 若林恭史社長は「ロースタリーを造ってから、そばに店を持ちたいとずっと思ってきた」と述懐。新業態の店舗を通じて「コーヒーが大好きな人にとどまらず、ジェラートがあるのだったらコーヒーも手に取ろうかと思う顧客も呼び込みたい」と意気込んだ。

△「OMO7横浜」の屋上に立つ星野リゾートの星野佳路代表(大塚圭一郎撮影)zoom
△「OMO7横浜」の屋上に立つ星野リゾートの星野佳路代表(大塚圭一郎撮影)

 ▽築67年の建物を活用
 横浜市認定歴史的建造物になっている1959年に完成し、築67年の旧横浜市庁舎行政棟を生かし、レガシーホテルに生まれ変わらせたのが星野リゾートの「OMO7横浜」だ。手すりが滑らかな2階までの大階段を備え、2階の窓際に置いたいすは市議会本会議場にあった議員席を再利用した。
 2階には市庁舎に花を添えていた泰山タイル壁画も残り、温故知新と呼ぶのにふさわしい重厚感のある内装だ。
 客室は276室あり、2人利用時の1泊1室料金は3万6000円から。その1室である「かたりばルーム」を見学しようと係員にエレベーターの場所を尋ねると、「すみません、エレベーターは本日稼働していないんです」と申し訳なさそうに言われた。
それならばと階段を利用し、7階まで上がった。客室を見学後、せっかく上がったのでもう1フロア上の屋上「HAMAKAZEテラス」へ足を伸ばした。
 その名の通り横浜らしい海風を浴びていると、根岸線を電車E233系が行き来するトレインビュースポットなのに気づいた。
目の前の横浜スタジアムでは広島カープとのオープン戦が繰り広げられており、レガシーホテルにとどまらないベースボールホテルになっていた。横浜市庁舎時代も、ナイター開催時は窓際の“外野席”がさぞかしにぎわったに違いない。
 しばらく試合の行方を見守っていると、「よく見えますよね」と紳士から話しかけられた。一目で星野リゾートの星野佳路代表だと分かった。
 「星野さんはベイスターズのファンなのですか?」と質問すると、横浜DeNAベイスターズの南場智子オーナー(ディー・エヌ・エー会長)に誘われて後援会に入ったことを紹介して「私はアンチ・ジャイアンツ(読売巨人軍)でして」と教えてくれた。そして「ジャイアンツ戦ではベイスターズの応援に熱がこもります」と笑った。
 私もアンチ巨人軍の中日ドラゴンズファンなので、わが意を得たりだ。BASEGATE横浜関内で、あっさりと共通の「BASE」(土台)が見つかった。
(連載コラム「“鉄分”サプリの旅」の次の旅をどうぞお楽しみに!)

共同通信社 経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎
1973年4月、東京都杉並区生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。1997年4月に社団法人(現一般社団法人)共同通信社に記者職で入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。2024年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を積極的に執筆しており、英語やフランス語で取材する機会も多い。

日本一の鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。東海道・山陽新幹線の100系と300系の引退、500系の東海道区間からの営業運転終了、旧日本国有鉄道の花形特急用車両485系の完全引退、JR東日本の中央線特急「富士回遊」運行開始とE351系退役、横須賀・総武線快速のE235系導入、JR九州のYC1系営業運転開始、九州新幹線長崎ルートのN700Sと列車名「かもめ」の採用、しなの鉄道(長野県)の初の新型車両導入など最初に報じた記事も多い。

共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載「鉄道なにコレ!?」と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。

本コラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)、カナダ・バンクーバーに拠点を置くニュースサイト「日加トゥデイ」で毎月第1木曜日掲載の「カナダ“乗り鉄”の旅」(https://www.japancanadatoday.ca/category/column/noritetsu/)も執筆している。

共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。
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