旅の扉

  • 【連載コラム】地球に優しい旅しよう!
  • 2013年11月12日更新
自然と動物好きなトラベルジャーナリストの旅コラム
travel journalist:平野 美紀

国が止まる瞬間を目撃する、メルボルンカップ

メルボルンカップ・レースの始まる直前、国歌斉唱などが行われるzoom
メルボルンカップ・レースの始まる直前、国歌斉唱などが行われる
オーストラリア最高峰かつ南半球最大の競馬レースとして知られる、メルボルンカップ。開催地となるメルボルンは、ちょうどこの時期、色とりどりの花々が咲き、一年で最も美しい季節を迎えます。そんなことから、毎年、春先の約2カ月間に渡る競馬レース開催期間を「スプリングレース・カーニバル」と呼び、街はお祭りムード一色に染まります。その頂点となるのが「メルボルンカップ」です。

日本の競馬とはまったく異なる華やかな雰囲気で、女性たちが最も美しく輝く競馬レース「メルボルンカップ」。開催地フレミントン競馬場へ潜入してきました!
メルボルンカップ前日には、華やかなパレードが行われるzoom
メルボルンカップ前日には、華やかなパレードが行われる
競馬レースでお祭りムード?

なぜ、競馬レースでお祭りムードに染まるのか?というと、メルボルンカップが単なる競馬レースではなく、着飾った紳士淑女の一大イベントだからなのです!

春を迎え、街を彩るのは、咲き誇る色とりどりの花々だけではありません。メルボルンの街中に並ぶブティックのショーウィンドーは、華やかなドレスやカラフルな帽子、アクセサリーなどなど……女性たちの美意識をくすぐるものでいっぱい!この時期、オーストラリア女性にとっては、メルボルンカップに何を着るか?ということが、最大の関心事と言われるほどなのです。
競馬場は、着飾った女性でいっぱい!ディータ・ヴォン・ティースさんの姿も…zoom
競馬場は、着飾った女性でいっぱい!ディータ・ヴォン・ティースさんの姿も…
メルボルン市内のレストランやカフェでは、特別メニューを用意したり、市内では、ファッショナブルなイベントなども開催。素敵なドレスやスーツに身を包み、おいしい食事やワインと共に競馬を楽しむ……そんな、古き良き英国の紳士淑女気分を満喫できるのが、メルボルンカップ最大の魅力なのです。また、レースの前日は、市内中心部を通行止めにして、華やかなパレードが行われ、お祭りムードを一層盛り上げてくれます。
グルメとファッションが主役のメルボルンカップzoom
グルメとファッションが主役のメルボルンカップ
レースが始まると国が止まる?

メルボルンカップ当日、メルボルン周辺は祝日となり、お祭りは最高潮を迎えます。そして、フレミントン競馬場は着飾った人々であふれ、世界のセレブ達もこの日に合わせてメルボルン入りし、場内ではファッションショーが開かれるなど、華やかな雰囲気に包まれます。

また、この日は、開催地から遠く離れた他の都市でもイベントやパーティーが開かれ、メルボルンカップ開催を祝います。競馬で祝日になるのは、世界中でもオーストラリアだけだそうで、「The race that stops a nation. レースが国(の機能)をストップさせる」といわれるほど。
とはいえ、伝統ある競馬レース…というか、馬がやっぱり主役zoom
とはいえ、伝統ある競馬レース…というか、馬がやっぱり主役
これは、オーストラリアにおいて、メルボルンカップが、単なる競馬のギャンブルとしてではなく、社交場であり、文化のひとつとしての位置づけが高いことに加え、戦時中でもこのレースだけは中止せず、開催し続けてきたことを国民が誇りにしているからなのです。

レースが始まる前には、国歌斉唱が行われ、神聖な雰囲気に包まれます。そして、出場馬と騎手が披露され、順番にゲートへ。ファンファーレが高らかに鳴り、馬が一斉に馬場へ飛び出すと、怒涛のような歓声があがります。そして、しばらくすると、それまで聞えていた観衆のざわめきはぴたりと止み、シーンと静まり返るのです。そう、皆、レースに釘付け!そして、ゴールが近づいてくると、再び、ざわざわとざわめきが聞え始め、そして、それがどよめきに変わり、ゴールの瞬間は絶叫へ!!熱気と興奮は最高潮に!!!

「国が止まる」と言われるけれど、本当にそれくらい皆が真剣に競馬レースに魅入っているのが、現地にいると肌で実感でき、まさに、その「止まった瞬間」を目撃したのでした(笑)
メルボルンカップは、着飾った紳士淑女の一大イベントzoom
メルボルンカップは、着飾った紳士淑女の一大イベント
一度は味わいたい!メルボルンカップ独特の雰囲気

翌日、オーストラリア国内の新聞一面は、メルボルンカップ一色!それほど、このレースが注目されている、というわけです。メルボルンカップのように歴史ある競馬レースは、普段ギャンブルをしない人でも賭けてしまうほどの国民的行事であり、その熱狂ぶりは日本じゃとても考えられません。そして、そのレースを現地で観戦する人々の熱の入れようは、ハンパではありません(笑)。

素敵なドレスに身を包んだ女性、キリッとタキシードで決めた男性、明らかにウケ狙いのユニークな格好のグループなどなど、皆ここぞとばかりに着飾っていて、ピープルウォッチングには最高の場所。また、本気で賭けてみたいと言う人でも、メルボルンカップでは、日本語の記入用紙を用意していますので安心です。

競馬場全体が異常なほどの熱気と興奮に包まれる独特の雰囲気は、本当に鳥肌が立つほどでした。メルボルンカップは、春を迎えた美しいメルボルンの街と共に、お祭りとしても十分楽しめますので、競馬ファンならずとも一度は足を運んでみてはいかがでしょうか?

★次回からは、メルボルンのカフェやレストラン、見どころなどをご紹介していきますので、お楽しみに♪

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Special Thanks to: Tourism Victoria.
travel journalist:平野 美紀
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。
トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆やラジオ出演などの傍ら、
旅行情報サイトも運営。目下の関心事は、野生動物とエコ。
個人ブログ:http://tabimag.com/blog/
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