「シチリアの物語を一皿に ─ Netflix『山猫』とドンナフガータが紡ぐワインメーカーズディナー」
上質な空間でクリエイティブな体験を提供するモダンラグジュアリーホテル『メズム東京、オートグラフ コレクション』にあるフレンチダイニング「シェフズ シアター」(16階)にて、シチリアの名門ワイナリー『Donnafugata〈ドンナフガータ〉』のワインメイカーズディナーが開かれました。
この特別な夜のためにシチリアから来日したのは、ドンナフガータ家の6代目代表のガブリエッラ・ファヴァーラさん。洗練された空間に集まったゲストたちは、彼女の言葉に耳を傾けながら、ドンナフガータの5種類のワインと料理のマリアージュを心ゆくまで堪能しました。
至福の夜会のテーマは「Wines from the Land of the Leopard(意訳:山猫が駆けた大地から、至福のワインたち)」。イタリアの名作『山猫(Il Gattopardo)』に登場する土地「ドンナフガータ」にちなみ、Netflixのドラマシリーズとのコラボレーションのワインのお披露目も含め、まるでシチリアという島を旅しているかのような時間の中で、五感で味わう文化と歴史がワインを通じて私たちのもとに届けられました。
シチリアと文学が結んだワインの物語
『山猫』は、イタリア・シチリア貴族の盛衰を描いた歴史小説で、ヨーロッパでも長く読み継がれている名作。その中でドンナフガータは主人公の領地として登場します。この地にルーツを持つワイナリー自らの名前が土地名と同じことは、ブランドに込められた想いがより深く感じられるようになります。
今回披露された「Mille e Una Notte 2021 Special Edition (ミッレ エ ウナ ノッテ 2021 スペシャルエディション)」は、Netflixドラマ版『山猫』とのコラボワイン。豊かな果実味と深みのある余韻、そしてラベルに描かれた“ドンナフガータ(逃げた貴婦人)”のイラストが、物語とワインの世界をつなぎます。文化の香りをまとったワインをひと口含むたびに、どこか懐かしくも新しいシチリアの風景が広がっていくのです。
この日のディナーは、全6皿の料理にそれぞれ異なるワインがペアリングされる贅沢な構成。乾杯に登場した「ドンナフガータ ブリュット2020(Donnafugata Brut 2020) 」は、泡が繊細に弾ける爽やかなスプマンテ。アミューズの水茄子と帆立貝のアンサンブル、子持ち昆布のフリットや百合根、そしてオードブルの鮮魚とシリアルのタブレ香草風味と絶妙に寄り添い、最初の一口から期待が高まりました。
続くのは、柑橘香るエレガントな白ワイン「ヴィニャ ディ ガブリ(Vigna di Gabri 2022 Sicilia DOC Bianco)」。シチリアらしい陽気さと、その大地と女性のしなやかな強さを感じさせる味わいです。赤ワインの「ドルチェ&ガッバーナ タンクレディ(Tancredi 2021 Dolce&Gabbana Donnafugata Terre Siciliane IGT Rosso)」は、ドルチェ&ガッバーナとのコラボボトル。力強く深みのある洗練されたこのワインは、フルーティでスパイシーな余韻が長く続き、京鴨のローストと好相性でした。
そしてメインの仔羊リガトーニには、本日の主役の「ミッレ エ ウナ ノッテ 2021 スペシャルエディション」。まるで映画のワンシーンのような余韻に誰もが酔いしれました。ミッレ エ ウナ ノッテは、ドンナフガータの創業者であるラッロ夫妻(ジャコモさんとガブリエッラさん)の夢から生まれたワイン。シチリアワインの国際的な評価を塗り替え、ドンナフガータのこだわりを象徴する一本としてシチリアの姿とも重なります。Netflix シリーズ『山猫』の中で繰り広げられるドラマと同じように、このワインにはシチリアの風景や歴史が息づいており、一口ごとにその魅力を感じることができました。
ラベルに描かれた宮殿は、ナポリから逃れたマリア・カロリーナ王妃が身を寄せた場所であり、作家ランペドゥーサが愛したサンタ・マルゲリータ・ベリーチェの邸宅でもあります。ドンナフガータの創業者であるガブリエッラ・アンカ・ラッロ氏は、この象徴的な建物を、満天の星が広がる『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』の空に重ね合わせ、ガブリエッラの想いをラベルに描き出しました。千夜一夜物語がそうであるように、このワインもまた、無限の想像力と情熱に満ちた文学へのオマージュです。
ディナーの締めくくりは、世界に称賛されるデザートワインの「ベン リエ(Ben Ryé 2022 Passito di Pantelleria DOC)」。シチリア島とアフリカ大陸チュニジアとの間の海峡に浮かぶ小さな島パンテッレリア島産で、この地でのみ栽培される「ジビッボ」と言われるマスカットを使い、丹念に陰干しを繰り返して作られています。
深い琥珀色が美しく、濃密な香りと優しい甘さが、ゴルゴンゾーラチーズのクレームブリュレチョコレートのグラス添えとも相性抜群で、忘れられない余韻を残しました。
ガブリエッラさんの想いと、テーブルを囲む喜び
代表のガブリエッラ・ファヴァーラさんは28歳。世界を旅し、イタリアで名高い企業でマーケティングを学び、家族のワイナリーに戻ってきた新世代の担い手です。「ワインは、土地の文化を語るもの。シチリアの美しさや女性の力強さを、このボトルに込めました」と語る姿は、自信と情熱に満ちていました。イベント中は、ワインの背景にあるストーリーや、エチケット(ラベル)に描かれたアートについても紹介。
ゲストはただ味を楽しむだけでなく、その奥にある物語や哲学に触れるひとときを体験しました。料理とワインの相性をじっくり確かめるたびに、テーブルから笑顔と会話が生まれ、会場は温かな空気に包まれていました。まさに、ワインは人と人とをつなぐ「文化の架け橋」なのだと実感できる夜でした。
グラスの向こうに広がるシチリアへの旅
この夜の体験は、美味しいワインを飲んで、美味しい料理を食べる、そしてそのペアリングを楽しむこともできましたが、それ以上に、ワイングラスの中に広がるシチリアの景色、歴史、そして情熱を、丁寧にひと皿ごとに味わうことができました。
ドンナフガータのワインは、家族の物語、自然との共生、そしてアートとの対話から生まれる一本一本が人生に彩りを添えてくれる存在です。そして、シチリアの大地から生まれるワインから感じた感動が、より深い記憶となって心に残るはずです。今回のワインメーカーズディナーを通して、初めてワインで旅行をすることができたと実感しています。是非、ドンナフガータのワインと共に、シチリアの旅に出かけてみませんか?
ドンナフガータのワインは、有名百貨店やワイン専門店、Amazonや楽天などのオンライン通販サイトでも販売しています。
ドンナフガータ公式サイト
https://www.donnafugata.it/en/
メズム東京、オートグラフ コレクション
https://www.mesm.jp
取材協力:Donnafugata