世界最大級の航空イベント「第55回パリエアショー」が、2025年6月16日、フランス・パリ郊外のル・ブルジェ空港で開幕となります。毎年英仏交互に行われる欧州航空ショーでは、エアラインが航空機メーカーに機材発注をする大型商談が目立ちます。一年の発注のセレモニーがこのショーに集中するからです。
航空機材の変更は、海外へ渡航する人たちの快適性、利便性にダイレクトに影響することから、旅行者にとって切実な問題です。
エアアジア、次なる一手はA220か
現地で大きな話題となっているのが、エアアジアによるエアバスA220の大量発注の動きです。関係者の間では「契約はほぼ確定」との声もあり、発注規模は100機を超える可能性も。A220はコンパクトながら航続距離が長く、地域間の直行便や柔軟な路線設計に向いた機材。エアアジアの次世代ネットワーク構想が、ここから大きく動き出しそうです。
この機材の発注は、日本からマレーシアやタイに飛んだ国内線や近距離国際線の接続で利用する可能性のあることから、気になる情報です。
注目の新興エアライン、リヤド・エアが存在感
今回のショーで特に注目を集めているのが、サウジアラビアの新しい航空会社「リヤド・エア」です。エアバスのA321XLRデモ機には同社のカラーリングが施され、さらにボーイング787の実機展示も実現。今後はエアバスA350-1000を25機以上導入する見通しとされ、今後の国際路線展開を見据えた本格的な動きを感じさせます。
旅行業界では、リヤド・エアの日本就航も期待される中、サウジアラビアへの観光渡航の動きが出てきており、新たな中東のデスティネーションとして脚光を浴びそうです。
ANAも存在感を発揮
ANAは、世界3大航空機メーカーに対し、77機の発注を発表します。日本国内では既に2月に発表済ですが、パリでの発注セレモニーで改めて注目を浴びることは間違いないでしょう。
エミレーツ航空、A350で次世代の主力へ
老舗キャリアの中で機材面での存在感を発揮しているのがエミレーツ航空。展示されたA350-900は、近くドバイ~リヨン線などに投入される予定です。白い機体に金色のロゴが映える洗練されたデザインは、多くの来場者の注目を集め、同社が本格的に次世代機材の導入フェーズに入ったことを印象づけました。
エアバスA350-900の65機、ボーイング787の30機はこれから納入になり、ボーイング777とエアバスA380の機材更新に充てられます。従来の機材以上に静粛性、経済性が高く、機内の快適性が高まるなど、同社の機材更新が新たなステージに入ったと言えるでしょう。
派手さよりも実利重視。変化するエアショーの姿
今回のパリエアショーでは、かつてのようにボーイングとエアバスが発注を競いあう状況から米国の関税対策への反発から中国を中心としたエアバスへの傾注や直近のエアインディアのボーイング機の墜落など、航空機製造の流れが欧州に向かっていることを感じることでしょう。
新たな空の時代へ、静かに動き出すパリ
旅行者にとっても、航空業界の未来には興味がある人が多いことと思います。パリエアショーは新しい空の流れを感じ取れる、見逃せない一大イベントとなります。
現地取材:そらオヤジ組 https://www.youtube.com/@middleagedaviationotaku7213