ポーランドの国民的作曲家でピアニストのフレデリック・ショパンの名前を冠した「フレデリック・ショパン国際ピアノコンクール」は、5年に一度ワルシャワで開催されます。
チャイコフスキー、エリザベート王妃国際音楽コンクールと並ぶ「三大コンクール」と呼ばれ、演奏の技巧、表現力、音楽的な解釈が審査されます。
入賞者は世界で活躍。3月18日にも第18回を優勝したブルース・リウさんのコンサートが東京で行われていましたが、満員のホールを総立ちにする素晴らしい演奏で、ショパンコンクールのレベルの高さを示していたようにも感じました。
さて、ショパン・コンクールが始まったのは1927年。今日まで続いている中で最古の国際音楽コンクールだそう。今年は第19回の年で、先日、エリミネーション・ラウンド(予備予選)の出場者が発表されたところです。
世界28カ国642件という過去最高の応募者から171名のピアニストを選出。日本からは24人が残りました。すでに日本でも人気を博する亀井聖矢(かめいまさや)さんや中川優芽花(なかがわゆめか)さんなど有望なピアニストたちのさらなる高みへの挑戦に期待がかかります。
この予備予選審査を通過した約80名が、2025年10月に開催される本選に進出します。
第19回コンクールの予定はこちら
2025年
4月23日~5月4日:予備予選
10月2日(オープニング)
10月3日~7日:第1次予選
10月9日~12日:第2次予選
10月14日~16日:第3次予選
10月17日:ショパン没後176年セレモニー
10月18日~20日:本選
10月21日:優勝者ガラコンサート
10月22日:第2位受賞者ガラコンサート
10月23日:第3位受賞者ガラコンサート
コンクール詳細
https://storage.nifc.pl/web_files/_plik/file_manager/files/193529_regulamin_19_Konkurs_ENG.pdf
コンサートのチケットを自力で手に入れるのはなかなか難しいようですが、コンサート鑑賞が含まれる団体旅行がいくつも発表されています。
せっかくの機会、今年はポーランドへショパンを辿る旅はいかがでしょう。
若き日のショパンを辿る
1810年、フリデリック・ショパンはワルシャワ郊外のジェラゾヴァ・ヴォラで誕生しました。ショパン一家の居室はスカルベク伯爵家の屋敷の別館にありました。父ミコワイ・ショパンはフランスからの移民で、スカルベク家の子どもたちの家庭教師を務めていたそうです。一家はフレデリックが生後7か月の1810年の秋にワルシャワに引越しますが、その後もジェラゾヴァ・ヴォラは夏休みやクリスマスに訪れる田舎のような場所だったといいます。
一家が暮らした時の内装品は残っていませんが、広大な庭園を散歩しながらショパンに想いを馳せるのは、旅のすてきな思い出になることでしょう。
そして、ショパンが20歳まで過ごしたワルシャワの町を歩いてみましょう。
特に5月から9月の毎日曜日にピアノコンサートが開催される市民憩いの場所「ワジェンキ公園」から旧市街の南端にある「王宮広場」へと続く道は「ショパンの道」と呼ばれ、ショパンゆかりの場所が点在しています。
その音楽作品はもちろん、その生涯について7000点以上の関係資料により、ショパンのすべてがわかる「ショパン博物館」は必見でしょう。瀟洒なバロック様式のオストログスキ宮殿を博物館にしたもので、ショパンが作曲した全曲が聞けるオーディオプレイヤーがあったり、ホールでは、ショパンの曲を奏でるコンサートもしばしば開催しています。
クラクフ郊外通りには、ショパンの心臓を安置する「聖十字架教会」、ショパンが学生時代ミサの時にパイプオルガンを演奏したワルシャワ唯一の口ココか様式の教会である「ヴィジトキ教会」かあります。
ショパン一家が暮らしたカジミエシュ宮殿はワルシャワ大学の構内にあります。
さらに、クラシックファンの間で話題となっている「反田ベンチ」を探してみてください。
ショパンの音楽が流れるベンチが町のあちこちにありますが、第18回ショパンコンクールで第2位を獲得した反田恭平さんがコンクールで演奏した「ラルゴ」が流れるベンチがこの通りにあり、そんな風に呼ばれているのだそうです。
首都ワルシャワに泊まるなら
ワルシャワにはインターナショナル系の最高級ホテルからゲストハウスまで多彩な宿泊施設があります。ただショパン国際ピアノコンクールに限らず各種イベントが常時開催され、観光客も多いので、早めの予約がおすすめです。
一度は泊まってみたいのが、ホテルブリストル・ワルシャワです。
大統領宮殿に隣接していることもあり、各国の要人やセレブリティの常宿になっています。1階の入口付近の壁面には、同ホテルに宿泊した著名人の名前を刻んだ金属製の小さなノブ?がアーティスティックに飾られています。
さまざまなタイプの部屋がありますが、プレジデンシャルスイートルームには、グランドピアノが置かれていました。さすがショパンの国のホテルだと感動!
観光に便利なロケーションでもあり、レストランやバーだけでも訪れる価値があります。
上品でゆったりしており、優雅な時間を過ごせるはず。
Hotel Bristol, A Luxury Collection Hotel, Warsaw
Krakowskie Przedmiescie 42-44, Warsaw, Masovia, 00-325
カフェもオシャレなワルシャワ
散策に疲れたら、町のあちこちにあるカフェに入ってみましょう。コーヒーもスイーツもハズレなし。
ショパンが食べたかどうか、資料を探すことは出来ませんでしたが、ポーランドに行ったら一度は食べたいのは「ポンチキ」です。
ポーランドの揚げドーナツで、中にバラのジャムやクリームが入った素朴な味のお菓子。
しつこくない甘さが魅力です。
ポーランドの伝統的なスイーツを出す店なら、こちらはいかがですか。
A. Blikle(Nowy Świat 33)
URL: https://www.blikle.pl/
ワルシャワへは、直行便のLOT ポーランド航空が便利。
LOTは中・東欧を代表する航空会社で世界最大の航空連合「スターアライアンス」メンバーの一員。ショパンコンクールのオフィシャルエアラインです。
2025年上期スケジュールは、
成田発 22時50分→ワルシャワ着06時00分+1日。所要時間14時間10分。
ワルシャワ発 22時50分→成田着18時40分+1日。所要時間12時間50分
日本からの往路便は仕事を終えてから、ワルシャワからの復路便も1日遊んでから帰国の途につけるので、少し得した気分になれます。
ワルシャワショパン空港をハブ空港とし、ポーランド国内8都市、世界145都市へ就航していますので、ワルシャワからヨーロッパ各都市に移動したい時も、早朝からお昼頃迄に到着します。
ショパンコンクールの期間は、すでに混雑している模様ですので、ご予約はお早めに。
ただ来上期(4月~10月)のうち、6月以外はデイリーで運航する予定(6月のみ週5便)。これはかなりの増便になるので、東京-ワルシャワ間がますます使いやすくなるはずです。
LOTの機内は清潔で機内食もおいしく、何よりスタッフがフレンドリーで親切という印象があります。快適な空の旅になることは間違いありません。