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- 海を一望するカカオファーム・ツアーでチョコレートを食べ比べ ~ハワイの離島へ マウイ島の旅⑤
旅の扉
- 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
- 2025年3月23日更新
- よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子
海を一望するカカオファーム・ツアーでチョコレートを食べ比べ ~ハワイの離島へ マウイ島の旅⑤
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- 約4,000本のカカオツリーを育てるファーム内を散策したあとは、ツリーハウスでチョコレートのテイスティングを。
- ハワイは全米で唯一のカカオ生産地。マウイ島ラハイナに農園とファクトリーをもつ「マウイ・クイア・エステート・チョコレート(Maui Kuia Estate Chocolate」では、カカオの栽培から収穫、チョコレートの製造までを行っています。マウイ島の旅 第5回では、そのカカオファームを訪れ、9種類のチョコレートをテイスティングできるツアーをご紹介します。
世界的なアワードで高評価を得たメイド・イン・マウイのチョコレート
「クイア(KUIA)」は、世界的アワードで金賞受賞の実績をもち、メイド・イン・マウイとして人気の高級チョコレート。オアフ島のショップでも扱う店は多く、ハワイを訪れたことがある人ならロゴに見覚えがある人も多いことでしょう。創業者でありCEOを務めるグナース・ヴァルキルス博士は、カカオに適した栽培条件を特定するため、研究の一環としてカパルアの自宅で試験的に栽培を始めました。その後、現在のファームがある場所に農地を借り入れ、本格的なカカオ栽培に着手。農園の経済的な自立を目指し、ビーン・トゥ・バーのチョコレート製造を手掛けるようになったのだそうです。
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- 出発前にシューズの裏を念入りに消毒。ファームまではショップから車で10分ほど。
- カカオの赤ちゃんの可愛さと、カカオパルプの美味しさに感動!
ツアーは、チョコレート工場を併設するショップからスタート。ファームでは有機栽培でカカオツリーを育てているため、害虫を持ち込まないようシューズの裏をしっかりと消毒してからツアーの車に乗り込みます。広さ20エーカー、約4,000本のカカオツリーを育てるファームにはウッドチップが敷き詰められ、歩くとふかふかとした感触が気持ちいい。カカオの実は幹から直接ぶら下がっているのが特徴で、小さな実はオクラくらいの大きさ。ここから約半年かけて15cm以上まで育ち、赤く色づいたところで一つひとつ手摘みで収穫するのだそうです。
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- 約4,000本のカカオツリーを育てるファーム内をスタッフが案内。結実したばかりの実(右上)と、収穫後の実(右下)。
- カカオはとても繊細な植物。一年中花を咲かせ1本の木に5,000~1万個の花をつけるものの、結実するのはわずか数パーセント。さらに、収穫できるまで育つのは20パーセントくらいとのこと。スタッフの説明を聞いていると、小さな白い花や実がとてもいとおしく思えてきて、ビーン・トゥ・バーのチョコレートが高価であることにも納得です。
ファーム内を散策した後は、ファームの一番高い場所にあるツリーハウスでテイスティングタイム。ラグビーボールのような形をした実を手に取って触らせてもらうと、ずっしりと重く外側はとても固いことに驚きます。カカオシェルと呼ばれる殻の中に、ぎっしり詰まっている白い果肉がカカオパルプ。プルンとした食感とほのかな甘みはライチに似てなかなか美味。最近ではジャムやシロップに加工して販売されているそうですが、生の果肉をそのまま食べられる貴重な体験です。その果肉に包まれた種子が、カカオ豆。取り出して乾燥、発酵させ、焙煎を経て、ようやくチョコレートの原料のカカオニブになります。
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- チョコレートのテイスティングができるツリーハウスからの眺め。正面に見えるのは、ラナイ島。
- 9種類のチョコレートをじっくり味わって食べ比べ
カカオニブに甘みはありません。ミルクや砂糖を加え、甘く薫り高いチョコレートになります。
テイスティングでは、カカオの含有率、カカオ豆の産地、グアバ、マンゴーなどのフルーツフレーバーをそれぞれ変えて3種類ずつ、合計9種類のチョコレートを食べ比べられます。この日、産地別ではマウイ産、ウガンダ産、アマゾン産のカカオ豆から作られたチョコレートを食べ比べました。口のなかでゆっくりと溶かしていると、マウイ産はベリーのような風味が特徴。ウガンダ産はやや酸味があり、アマゾン産は後味がすっきりして、明らかに違いがあることが分かりました。1枚数グラムの小さなチョコレートとはいえ、9枚全部食べるとけっこうお腹がいっぱいになります。少しずつ、ゆっくり味わうのがポイントです。
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- 左上/カカオ豆を包むカカオパルプも味える。左下/乾燥させたカカオ豆。右/9種類のチョコレートを3種類ずつテイスティング。
- ツアーは約90分。テイスティングが終わったら、ファクトリーとカフェがあるショップに戻り、ショッピングタイム。ツアー参加の前と後では、チョコレートを選ぶ視点が明らかに変わり、カカオの産地や含有率、フレーバーなどに注目し、好みのものを見つけるのが楽しくなります。カフェではチョコレートドリンクやジェラート、コーヒー、スナックなどを提供しているので、ひと休みしてから帰るのがいいですね。また、チョコレートの製造工程を見学できるファクトリーツアーも実施しています。チョコレートの甘~い香りにまみれてみたい人には、こちらがおすすめです。
ファームがあるのは、西マウイの丘陵地帯。一昨年、ラハイナの地を襲った山火事の被災地に近い場所にありますが、幸いにも大きな被害はなかったとのこと。それまでも純利益を地域の非営利団体に還元する活動を行っていた同社は、山火事の復興支援にも大きな役割を果たしています。
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- チョコレートファクトリーとカフェを併設するショップが、ツアーの集合場所。
- ところで、最近はパッケージに「〇〇%」とカカオ含有率を記したチョコレートが増えていることにお気づきでしょう。一般的なチョコレートのカカオ含有率は、30~50%。70%以上のものを「高カカオチョコ」と呼び、その健康効果も注目されています。カカオポリフェノールには、美肌、整腸、肝機能改善、アンチエイジング効果を期待できるのだとか。そう聞くと、チョコレートの原料になるカカオを育てるファームツアーに、ますます興味が湧いてきませんか。
●マウイ・クイア・チョコレート・エステート
(Maui KUIA Estate Chocolate)
カカオ・ファームツアー(Cacao Farm Tour):所要約90分、80ドル(2025年3月現在)
https://mauichocolate.com
◆協力:ハワイ州観光局 Hawaiʻi Tourism Japan
https://www.allhawaii.jp/