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- 標高3,055mのハレアカラ山頂で宇宙の神秘に触れる ~ハワイの離島へ マウイ島の旅④
旅の扉
- 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
- 2025年3月15日更新
- よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子
標高3,055mのハレアカラ山頂で宇宙の神秘に触れる ~ハワイの離島へ マウイ島の旅④
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- ハレアカラはハワイ語で“太陽の家”の意味をもつ休火山。Hawaii Tourism Authority(HTA)/Tor Johnson
- マウイ島最高峰が、標高3,055mのハレアカラ山。麓の町からドライブして辿り着くのは、絶景が待ち受ける雲上の地。マウイ島の旅 第4回は、ハレアカラ山頂で神秘的な光景と、空からこぼれ落ちてくるような星空を楽しむ、サンセットツアーをご紹介します。
“太陽の家”は、車で楽々アクセスできるマウイ島最大の絶景スポット
ハワイ語で“太陽の家”を意味するハレアカラ山。一帯は海岸線まで、ハレアカラ国立公園に指定されています。大きなポイントは、標高3,000mを超える高山でありながら、山頂まで車でアクセスできること。麓からは、小さな町に立ち寄りながら休憩を含めても、2~3時間で到着できます。
ハレアカラのツアーは、深夜出発して山頂でサンライズを見るものと、午後から出発してサンセットを見るツアーの2種類があります。どちらを選ぶかはお好み次第ですが、体に負担が少ないのはサンセットツアーのほう。今回は、「マウイ島の星空のことは、この人に聞け!」と言われているほど天体観測に精通したYAMAPEE(ヤマピー)さんが主催する、「Maui All Stars Tour(マウイ・オールスターズ・ツアー)」のサンセット&スターゲイジングツアーを利用しました。
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- 上/途中で立ち寄るマカワオの町。スーパーのデリで夕食用の食材を調達。下/休憩に立ち寄るクラロッジではお土産ショッピングも。
- ツアーは午後2時ごろホテル(または指定の集合場所)でピックアップ。途中、ハワイアン・カウボーイの町マカワオのローカルスーパーや、“マウイ島の軽井沢”とも呼べる高原の町クラなどに立ち寄りながら山頂を目指します。
下界から見るハレアカラ山頂は雲に覆われていることが多く、国立公園のゲート付近も霧が立ち込めて前方がよく見えません。
「本当に星空が見えるのかしら・・・」と心配していると、
「山頂は雲の上だから、心配ないよ!」とYAMAPEEさん。
その言葉を信じビジターセンターの近くまで行くと・・・。
間近に迫るトレイルの迫力は原始の地球!?
YAMAPEEさんの言葉通り、山頂付近は快晴の青空。赤茶色の土に覆われたクレーターが目の前に迫ります。クレーター内を歩けるトレイルがあり、宇宙映画の一場面のような光景に思わず駆け出すと、息切れとめまいが・・・。そう、空気が薄いんです! 車で上ってきたためすっかり忘れていましたが、ここは3,000mを超える高地。行動はあくまでもゆっくりと、慎重に、が鉄則。山頂から駐車場までのトレイルを散策したり、ハワイ大学を中心に各国の観測施設が設置されているハレアカラ天文台の建物を眺めたりしながら夕刻を待ちます。以前、訪れたときには、雲に自分の姿が大きく映る、“ブロッケン現象”を見たことを思い出しました。もし眼下に雲海が広がっていたら、太陽を背にして立ってみてください。モンスターのように大きな自分の影を見られるかもしれませんよ。
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- 上左/霧に覆われた国立公園のゲート。上右/山頂付近で見られる銀剣草はハワイ固有種の高山植物。下左/日本の東北大学の観測施設も設置されているハレアカラ天文台。下右/トレイルルートを歩くときは息切れに気をつけてゆっくりと。
- 地球の影の美しさに見とれるマジックアワー
夕刻が近付くと少しだけ下山して、YAMAPEEさんの“秘密のスポット”に場所を移します。ここで、途中のスーパーで買ってきたポケやサラダ、スナックを広げてディナータイム。ここは、すぐ近くにトイレもあるので安心。360度、遮るものがない観測スポットからは、雲海の切れ間からちらほらともり始めた街の灯りとともに、ハワイ島のマウナケアの山影まで見えました。
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- 左/日没を待つ間にピクニック気分のディナータイム。右/ツアーを主催するYAMAPEEさん。ドライブテクニックと豊富な天体の知識で知られ、何度もリピートしているお客さんも。
- 茜色に染まり始めた空にうっすらと弧を描くのは、“ビーナスベルト”と呼ばれる地球の影。日没直後や日の出前に見られる大気現象のひとつで、低い位置からの太陽の光が地球の影を空に映し出すことで現れるのだそう。自分がいる地球の影が見えるなんて、不思議だと思いませんか。神秘的な美しさに見とれるとともに、スケールの大きさを感じずにはいられません。
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- 白っぽく薄紫色の弧を描くのが地球の影。静寂に包まれ、これまで体験したことがない感動の瞬間を味わえます。
- 視界に入りきらないほどの星空! 縦横に走る流れ星に願いを込めて・・・
刻々と色を変えていく空を時間を忘れて見入っている間に、YAMAPEEさんご自慢の天体望遠鏡のセッティングが終わっていました。ここからは、YAMAPEEさんによる名解説のはじまり。漆黒の空には天の川がくっきりと架かり、無数の星が散らばります。GPS搭載の大型天体望遠鏡からは、月面のクレーターや土星のリングもはっきり見えました。時折、閃光を放つのが流れ星。流れ星って、上から下へ流れると思っていたのですが、標高が高い場所では左右に、ときには下から斜め上方へ尾を引いて流れることを知りました。条件がいいとけっこうたくさん見えるので、願い事をいくつか準備しておくといいですね。
季節によって見える星座と観測できる星の位置が変わります。宇宙の神秘を感じる特別な時間が一度体験すると病みつきになり、マウイ島を訪れるたびにリピートしているお客さんもいるそうです。
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- YAMAPEEさんの星空解説に耳を傾けながら天体観測を。流れ星を見逃さないように!(写真提供:Maui All Stars Tour)
- ツアー参加は、歩きやすいシューズで。冬の時期、山頂付近には雪が積もることもあり、積雪に覆われた銀剣草を見られることがあります。これからは暖かくなる季節ですが、日没後は氷点下近くになることも珍しくありません。防寒着の貸し出しはありますが、フリースか薄手のダウン、パーカーなどを持参するといいでしょう。寒いのが苦手な人は、使い捨てカイロがあると安心です。
●Maui All Stars Tour(マウイ・オールスターズ・ツアー)
ハレアカラ サンセット&スターゲイジングツアー
所要約8時間、大人(12歳以上)235ドル、子ども(5~11歳)175ドル ※2025年2月末現在
https://www.mauiallstars.com/
◆協力:ハワイ州観光局 Hawaiʻi Tourism Japan
https://www.allhawaii.jp/