食事を好きなだけ食べられるブッフェには何度か足を運んだことがあるが、「ケーキなどの甘い菓子のブッフェだと一体いくつ食べられるのか?」という疑問を抱き続けていた。今年で誕生20年を迎えたキャラクター「コリラックマ」とのコラボレーション(協業)により、私鉄大手、京王電鉄子会社で東京・西新宿にある京王プラザホテルが2024年10月1日に始めたスイーツブッフェでその答えを探った―。
【コリラックマ】サンエックス(東京)が2004年に導入した白いクマ風のキャラクター。性格はいたずらが大好きな、元気でやんちゃな子だという。03年に登場した着ぐるみのクマのキャラクター「リラックマ」、黄色の鳥「キイロイトリ」と一緒に暮らしているという設定。サンエックスによると、リラックマ関連のライセンス商品やキャンペーンなどを含めた市場規模は年間約340億円に達する。
▽世界観をパティシエが表現
ホテルの2階にあるレストラン「樹林(じゅりん)」で始まったのはフェア「スイーツブッフェwithコリラックマ~お空のくるりんわたあめ~」。コリラックマの世界観をホテルのパティシエが表現した菓子などを好きなだけ味わうことができる。
利用できる時間は午後2時半~4時半、午後3~5時のそれぞれ2時間で、通常の大人料金は平日が5500円、土日と休日は6千円となっている。期間は2024年末まで。
▽最初に選んだ「まさかのメニュー」
「スイーツブッフェ」と名乗っているだけに、コリラックマなどのぬいぐるみが飾られたブッフェ台にはケーキやプリンといった菓子類だけが並んでいると想像していた。ところが、スタート時間の午後2時半を過ぎてブッフェ台の出だしで見つけたのはまさかのサラダだった。このブッフェは「昼食も兼ねられるように軽食も用意している」(ホテルのスタッフ)というのだ。
この日昼食を抜いていた私には実に魅惑的で、サラダをさらっと無視するわけにはいかない。その先には小ぶりのハンバーガーも、アジフライバーガーもあり、これらも食欲をそそる。すると、大皿はたちまち料理だけでいっぱいになってしまった。スイーツを何個食べられるのかという試み自体、まるでキイロイトリの羽の色のような黄信号が灯った…。
▽大皿にケーキを次々と盛り付け
とはいえ、スイーツブッフェなのを無視して「ひたすら食事を味わう」という企てはあまりにも失礼だろう。そこで「スイーツは別腹だ」と信じ込み、別の大皿に次々とスイーツを盛り付けた。
最初に味わった料理は有名ホテルにふさわしい折り紙付きの味で、中でもアジフライバーガーはおかわりをしたいほどの美味だった。
コリラックマはイチゴが好きだという設定だけに、イチゴをあしらった菓子はいずれも素晴らしい。イチゴのショートケーキ、イチゴのタルト、イチゴのソースをかけて食べるレアチーズケーキをいずれもおいしくいただいた。
意表を突かれたのは、外見が明らかに普通のクリームブリュレに見えたスイーツだ。スプーンで一口味わうと、何とカボチャの味がするではないか。これはキイロイトリに着想を得たカボチャブリュレだった。
▽食べたスイーツの数は…
今回のテーマである青空をイメージし、ドーナツやモンブランなどは鮮やかな青色に着色していた。目を引くスイーツの写真を撮影できるようにすることで、交流サイト(SNS)などでの「インスタ映え」も狙っているようだ。
一方、これは個人の意見だが「必ずしもスイーツを着色しなくてもいいのではないか」と受け止めた。イチゴのショートケーキ、イチゴのタルトといったスイーツは見た目こそ奇をてらっていないものの、宴会などでも味わってきた京王プラザホテルが提供する美味で「これこそホテルらしい味だ」と満足感を得られた。
フェアで提供されたスイーツの名前には、「コリラックマの好きな」などと冠していたが、例えば「コリラックマの好きな京王プラザホテルの味」といった一言を付け足せばホテルで普段提供しているようなスイーツをもっと多く並べることができるのではないだろうか。そうすれば、顧客が求める上質なホテルの味をさらに堪能でき、顧客満足度も高まるのではないか。
入場してから1時間後、満腹になったのでいくつのスイーツを食したのかを確かめると12個だった。もしもサラダとハンバーガー、アジフライバーガーをスキップし、一意専心でスイーツを平らげた場合には15個に到達できただろう。エスプレッソなどの飲み物もスマートフォンから自由に注文できるため、2時間たっぷり粘れば5500円の元は十分取れそうだ。
「これはかなりお買い得だ!」。そんな甘口の言葉が口をついて出たのはスイーツをたっぷり味わったためもあるかもしれないが、決して甘言を弄しているわけではない。
(連載コラム「“鉄分”サプリの旅」の次の旅をどうぞお楽しみに!)