旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2022年7月12日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

美しい都会、初夏のシカゴを歩いてみる

街がアート展示場の様子! クルーズに出発 左はトランプホテルzoom
街がアート展示場の様子! クルーズに出発 左はトランプホテル

コロナ禍の渡航
コロナ禍収束に至らずとも海外渡航の機運は確実に高まっていると思われます。6月に入って、アメリカ政府は渡航者へのPCR事前検査を必要としないと発表しました。そのため、現在では日本政府の求める帰国前に渡航先で行う72時間前までのPCR検査証明が残されるのみとなりました。

6月下旬。日本は猛暑が始まろうとする時期、爽やかな気候のシカゴへ飛びました。イリノイ州ミシガン湖のゴールドコーストと言われるのがシカゴ。都会の観光は、食や文化に触れるのがいいですね。まずは、昼時からの半日観光モデルをご紹介します。

ピザランチ
シカゴと言えばピザを思い浮かべる人は多いことでしょう。200年近い歴史を誇る「ジョルダーノス」に向かいました。イタリア トリノ近郊の小さな街がこの店の発祥地です。ジョルダーノさんが作ったイタリアン イースターパイです。

1974年にシカゴにて最初の店がオープン。職人が作る伝統の生地の厚みがタルト以上でデコレーションケーキ未満ほどもあるディープディッシュピザにウィスコンシンの農場で作られる専用チーズがふんだんに使われています。

ノース・ラッシュ・ストリートとイースト・スーペリア・ストリートの角にある店は両サイドにテラスのある明るい店。テラスの赤いテントの下で赤い椅子と黒いテーブルがおしゃれです。入店し、ホストスタンドでテーブルを決めます。バーカウンターと大型TVもあり、スポーツバーのような雰囲気も持ち合わせます。

隣のテーブルでは、男性3人が大型ピザをほお張ります。その美味しそうなこと。食事は見た目も大事ですね。頼んだのは、小ぶりなディープディッシュピザとサイドメニューをチョイスできるランチコンボ。サイドをサラダにして、ボリュームのあるピザを堪能しました。

ジョルダーノスの大満足ピザzoom
ジョルダーノスの大満足ピザ

科学産業博物館へ
ミシガン湖畔ダウンタウン南のジャクソンパーク内にある「科学産業博物館」にUberで移動しました。1893年万国博覧会で美術館として活用された建物が、サイエンスとインダストリーの博物館として1933年にオープンしました。37,000㎡の広さは科学博物館としては世界最大級となります。

見学地として筆者が目指すボーイング727を含め宇宙や交通機関の展示物が多い場所です。地下の入り口に向かうと、流線形の美しい列車が目に入りました。1934年にシカゴからデンバーに走った「パイオニアゼファー」です。当時13時間で両都市を結んだ記録は、現在のAmtrakの走行時間よりも早い時間です。エレガントという名に相応しいシルバーの車体にほれぼれします。

エスカレーターに乗って3階のTake Flightのテーマ展示へ。本社のあるボーイングとユナイテッド航空によるサポートを受けた登録番号N7017Uのボーイング727-100型が宙に浮かんでおり、機内に入ることもできます。コックピットや一部客席も残され、床や外壁の構造がわかる展示になっています。ファシリテーターのスコットさんの持つリモコンを操作させてもらうと、車輪、フラップ、エルロン、ラダーが動き、機能を理解するのに役立ちます。

吹き抜け階下の2階では、727を見上げる場所にニューヨークセントラル鉄道によって1893年に製造された999機関車が構えています。当時の最速180㎞/hを誇り、1962年からこの博物館に展示されています。時間の余裕があれば、炭鉱の採掘現場やU-505潜水艦体験もぜひ見て欲しいです。アメリカを大国にのし上げた産業発展の歴史が垣間見えます。

それだけではなく、博物館の立つ場所はシカゴ有数の大公園の中にありますので、展示館の裏側に回れば庭園があり、美しい光景と出会うことができます。

999機関車と奥にはユナイテッド航空のボーイング727が飛んでいますzoom
999機関車と奥にはユナイテッド航空のボーイング727が飛んでいます

クルーズへ
運河のある街シカゴでは、リバークルーズがお勧めです。その中でも、「シカゴ・ファーストレディ・クルーズ」は、28年間評価の高いクルーズを提供しています。

川から街の散策をするのがシカゴを知る手っ取り早い方法です。そこには1900年代初頭からのアールデコ、ギリシャ復興、ポストモダン、ルネッサンスリバイバル様式など、街全体が50以上のビルを見ることができる青空の下のミュージアムの様相です。船の出航とともに、軽妙な司会者が乗船者に街のガイドツアーをしてくれます。

37万㎡もあるマーチャンダイズマートビルや間もなく移転するのですが、ボーイングの本社ビルなど、見るべき建物が目白押しです。クルーズの最後には暮れゆく太陽の下で輝くビル群が一つのアートとなって目の前に広がります。

クルーズのハイライト リバーウォークのクルーズ発着場近くzoom
クルーズのハイライト リバーウォークのクルーズ発着場近く

ステーキも忘れない
地下鉄路線脇でマーチャンダイズマート駅に近くの「ジーン&ジョーゼッティ」は1941年創立のシカゴステーキの店。アンティパストでベイクドクラム、メインでフィレミニオン8oz(約250g)を頼みました。ミディアムレアで頼む、シンプルなステーキは、ペッパーだけで食べるのが一番です。肉のうま味が詰まった極上の食体験でです。

目の前では高架になった地下鉄がゴトゴトと走り、タイムスリップしたような体験ができました。サーバーのユアンさんは、絶妙のタイミングでテーブルにすっと近付いてくれます。肉の加減が気になるようで、エクセレントと言うと、笑顔を返してくれました。お腹はいっぱいなものの、勧められたティラミスでディナーは素晴らしく完結します。ヘッドシェフのクリスチアーノ・バッサーニが造り出すアメリカンステーキを食べる為だけにシカゴを再訪するのも有りだと思わせます。

極上のステーキを落ち着いた雰囲気の店でzoom
極上のステーキを落ち着いた雰囲気の店で

シカゴの夜はエキサイトな展望台へ
360シカゴ/ティルトは、都会の摩天楼をエキサイトな仕掛けで見ることのできるひとつのアトラクション展望台です。

「360シカゴオブザベーションデッキ」は、旧名ジョンハンコックセンター94階にあります。全周の展望台の一角に、追加料金を払って体験する絶叫マシーンがあり、「ティルト」と呼ばれ上部が窓の外に張り出すもの。一回に8人が体験できます。

両サイドの手すりを持ち、ガラスがあると分かっていても、上半身が外にせり出ていき飛び出しそうな体験はスリル満点。どうしても下半身が下がって内側に引き戻される格好になる人が多いですね。

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高所アトラクションの360TILT

情報入手は
見どころの多いシカゴの羅針盤となるのは「Choose Chicago」です。充実したサイト内容で、行きたいところが必ず見付かります。少し長い滞在になるのであれば「City PASS」も有効です。9日間使えて、5つのアトラクションが無償になることに加えて半額になる施設もあり、アプリで管理できるので便利です。

宿泊はヒルトンホテル
シカゴでの滞在は、シカゴオヘア空港地区の2つのホテルでした。ヒルトン シカゴ オヘアエアポートとヒルトン ローズモント シカゴ オヘアです。

エアポートのヒルトンは空港内唯一のホテルで、目の前のターミナルビル2と地下で直結しているだけでなく、ターミナル1,3,5に加え、ダウンタウンへ向かうCTAトレイン・ブルーライン駅に向かう通路があります。空港内交通システムATSのターミナル2駅の目の前でとても便利です。

ヒルトン ローズモントは、ヒルトン エアポートの裏手にあるホテルシャトルバス乗り場から東へ10分の場所にあります。今回、筆者がシカゴへ来た目的である参加イベントAirliners Internationalの指定ホテルとなっており、快適な滞在をもたらしてくれました。

協力:Choose Chicago ⇒ https://www.choosechicago.com/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

ブログ「あびあんうぃんぐ」:http://blog.livedoor.jp/avianwing
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