旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2022年5月10日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

眠らない街・すすきので、おひとり女子の夜遊び体験 ~OMOホッピングの旅 #01「OMO3(おもすりー)札幌すすきの」~

すすきのの夜更かしを盛り上げる電飾看板と、OMOレンジャーが集めてきた情報満載の「ご近所マップ」が設置されたOMOベース。zoom
すすきのの夜更かしを盛り上げる電飾看板と、OMOレンジャーが集めてきた情報満載の「ご近所マップ」が設置されたOMOベース。
北海道随一の歓楽街・すすきのといえば、夜の街。
と聞くと、なにやら怪しげなイメージもありますが、じつはとても健全に夜遊びを楽しめる街なのです。“夜のすすきの初心者”の私は、「OMO3札幌すすきの by 星野リゾート」をベースに、すすきのの夜遊びを楽しんできました。

まずは「すすきのアペロミーティング」で情報収集
現在、日本各地に12施設ある星野リゾートの都市ホテルブランド「OMO(おも)」。1月28日にグランドオープンした「OMO3札幌すすきの」のコンセプトは、“幸せな夜更かし”。すすきのには長い歴史を誇る料亭や個性的な居酒屋、ジンギスカン、ラーメン店など約3500軒がひしめき、その食の魅力を存分に楽しんでほしいとの想いが込められたものなのだそうです。

すすきのには飲食店の数が多すぎて、お店選びに迷うこともしばしば。そんな悩みを解消し、夜更かしを盛り上げるための仕掛けがこのホテルにはたくさん用意されています。全国各地の「OMO」で頼りになるのが、ホテル周辺の情報を知り尽くし、宿泊客の旅のサポートをしてくれる「ご近所ガイドOMOレンジャー(以下、OMOレンジャー)」の存在。ここでは16時と17時の2回、すすきののお店の情報を発信するOMOレンジャーによる約15分間の「すすきのアペロミーティング」が催されています。
毎日、夕刻に開催される「すすきのアペロミーティング」は、OMOレンジャーならではの切り口によるおしゃべりが楽しい。zoom
毎日、夕刻に開催される「すすきのアペロミーティング」は、OMOレンジャーならではの切り口によるおしゃべりが楽しい。
内容は、ジンギスカン、ラーメンなど、すすきのを代表する食についてクイズやおすすめのお店の情報を交えて紹介するもの。たとえばジンギスカンの場合、お店の歴史や特徴、使っているお肉へのこだわりまで教えてくれるので、自分の好みに合ったお店を選ぶのに役立ちます。札幌を訪れるたび、「ディープな本場のジンギスカンを食べてみたい」と思いつつお店選びに難航し、いまだ実現できていない私は、今回のアペロミーティングで行ってみたいお店をリストアップできました。

おひとり女子も安心。老舗料亭からスタートする「すすきのはしご酒ツアー」
そのジンギスカンに後ろ髪をひかれつつ参加したのは、OMOレンジャーが案内してくれる「すすきのはしご酒ツアー」。夜のすすきの、安全な街とはいえ女性ひとりではしご酒をするには少々不安もあります。でもこのツアーならお店までOMOレンジャーが同行してくれるうえ、北海道ならではの美味しいものをちょこっとずつ食べられるのも魅力なのです。
「杉ノ目」の店内にはアイヌ民族の家屋を再現した個室も。一人でも利用しやすいカウンター席で、料理長・芦沢一弘さんの仕込み風景を眺めながら一品料理を味わう。zoom
「杉ノ目」の店内にはアイヌ民族の家屋を再現した個室も。一人でも利用しやすいカウンター席で、料理長・芦沢一弘さんの仕込み風景を眺めながら一品料理を味わう。
1軒目に訪れた「杉ノ目」は、1963(昭和38)年創業の老舗料亭。1915(大正4)年に建てられた石蔵をそのまま利用した店内で、旬の食材を使った料理を味わえるお店です。ここでは地酒と季節の海鮮を使った日替わりの一品料理がカウンター席で振る舞われます。

敷居が高いイメージがあり、ましてや女性ひとりではなかなか訪れることが難しい料亭で、料理長の包丁さばきを間近に眺めながら過ごせるとは、なんと贅沢なこと。旬の食材や調理法、おすすめの食べ方なども教えていただきながら味わいました。

札幌最古の炉端焼き店で、豪快な炭火焼きを
2軒目は、パチパチと燃える炭火で北海道産の食材を焼く豪快な光景が評判の「炉ばた焼ウタリ」へ。樹齢1000年を超える巨大なエゾマツを使った大囲炉裏をカウンター席が囲み、シシャモ、ホッケ、イカなどの魚介や、ジャガイモ、タマネギなどを目の前で焼いて食べさせてくれます。囲炉裏場からは時々大きな炎が上がり、迫力満点。おひとり用、二人用など参加人数に合わせたメニューを用意してくれるので、オーダーに迷うことはありません。
1954(昭和29)年創業、札幌でいちばん古い炉端焼き店「炉ばた焼ウタリ」。ひとりでふらりを訪れるお客さんも少なくない。zoom
1954(昭和29)年創業、札幌でいちばん古い炉端焼き店「炉ばた焼ウタリ」。ひとりでふらりを訪れるお客さんも少なくない。
このツアーでしか食べられない「料亭〆パフェ」
近ごろ、東京でも知られるようになった「〆パフェ」。お酒を飲んだ後にラーメンやお茶漬けの代わりに甘いパフェを食べるスタイルは、このすすきのが発祥と言われています。3軒目は再び「杉ノ目」に戻り、ホテルが料理長とともに開発した「料亭〆パフェ」でツアーを締めくくります。パフェには、かぼちゃや柚子のアイス、レンコンやゴボウの素揚げなどを使用。熊の形をした最中には、トラ豆と求肥のこしあんを混ぜたあんが詰められています。ほろ酔いのからだに冷たいアイスと上品な甘さがじわじわ染みてきて、まさに“幸せな夜更かし”タイムを味わいました。
ホテルが「杉ノ目」の料理長とともに開発した「料亭〆パフェ」は「すすきのはしご酒ツアー」に参加しなければ食べられない。zoom
ホテルが「杉ノ目」の料理長とともに開発した「料亭〆パフェ」は「すすきのはしご酒ツアー」に参加しなければ食べられない。
ツアーはここでまでで終了ですが、すすきのの夜はまだ始まったばかり。OMOレンジャーにおすすめのバーやラーメン店などを教えてもらい、はしご酒を続けることもできます。旅先では必ず地元のパン屋をチェックすることにしている私は、夜にオープンし翌朝まで営業しているユニークなベーカリーがあると聞き、のぞきに行ってみました。

「ご近所ツアー」には、ほかにも原酒をブレンドして自分好みのウィスキーを作る「はじめてのBAR体験」(1名7,000円)や、6~8月の夏季限定で「すすきのアペロミーティング~クラフトビール編~」と、路面電車に乗ってクラフトビールとおつまみを楽しむ「札幌ビア市電」(1組25,000円)も開催されます。初夏の札幌の風を感じながら味わうビールの美味しさは、ビール好きなら想像するだけでも喉が鳴りますよね。

夜更かしの続きは、ホテルに帰ってまったりと深夜の部屋飲みタイム
夜食や部屋飲みに便利なのが、24時間キャッシュレスでドリンクや軽食を購入できるOMOベースの「OMO Food & Drink Station」。オリジナルのスイーツメニューのほか、ちょっとしたお土産にぴったりのスナック類もそろいます。ここでビールとワイン、おつまみを購入し、すすきののはしご酒は部屋飲みでフィニッシュしました。
タッチパネルのセルフレジを導入し、24時間キャッシュレスで利用できる「OMO Food &Drink Station」で部屋飲み用メニューを調達。zoom
タッチパネルのセルフレジを導入し、24時間キャッシュレスで利用できる「OMO Food &Drink Station」で部屋飲み用メニューを調達。
すすきののはしご酒の楽しさを知ると、札幌の旅の楽しみが倍増します。ジンギスカン、ラーメンまでたどり着かなかったのがちょっと残念ですが、次回にとっておくこととしました。「OMO3札幌すすきの」を拠点にすすきのの夜を満喫するには、胃袋をしっかり整えて出掛けることをお忘れなく。

●OMO3札幌すすきの by 星野リゾート
北海道札幌市中央区南5条西6-14-1
1泊1室10,000円~(税込み・食事別)
TEL 0570-073-099(OMO予約センター)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo3sapporosusukino/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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