旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年9月23日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

ターキッシュ エアラインズ ビジネスクラスで上級な夜間飛行を体験した

成田線に就航するボーイング777‐300ER型機zoom
成田線に就航するボーイング777‐300ER型機

SKYTRAX社「ベスト エアライン ヨーロッパ」アワードを6年連続で受賞したターキッシュ エアラインズ。
これまでの幾度かのエコノミークラスの利用で、その実力は経験済み。
待望のビジネスクラスへの搭乗の機会がありました。

成田空港の第四サテライト47番ゲートから出発です。
すぐ横にはANAのビジネスクラスラウンジがあり、スターアライアンスのターキッシュ エアラインズ顧客もここを利用できます。

出発は22時半。ラウンジ内には、仕事を終えて出発する人にはシャワーの用意があり、機内で早く休みたい人には、先に食事を摂っておくこともできます。状況に合わせて利用できるので、非常に便利です。

TK53便はボーイング777-300ERが使われます。この機体は、同社のフラッグシップ機。多くの欧州エアラインが運航する昼間便ではなく、乗継ぎ旅客を重視する夜に成田空港を出発し、翌朝イスタンブールに到着する設定にしています。時間帯は、関西空港発着も同じです。

仕事後に、この便でイスタンブールへ。そのまま仕事に直行できることになります。日本の忙しいビジネスマンにとっては、非常に便利な選択です。

実際に機内で話を聞いたメーカーのビジネスマンは、時間最優先で考えるので、欧州各都市経由の日系を含む他社便よりもターキッシュ エアラインズを選ぶと話していました。

ビジネスクラスは、前方コンパートメントに2-3-2の座席が4列あり、28席が並びます。乗降ドアから後ろのプレミアム・エコノミークラスのあった場所にも3列21人が座り、49人が搭乗できる空間になっています。

ビジネスクラス ゆとりの空間ですzoom
ビジネスクラス ゆとりの空間です

今回のフライトは8割が埋まっている様子。テロでの旅行客の減少を予想していましたが、それほど影響も感じられず、ホッとしました。

ヘリンボーンで座席を斜めに配置して、座席数を稼ぐ手法も出て来ているのですが、ターキッシュ エアラインズの身体が真っ直ぐ前を向くスタイルでは、空間に余裕が生まれています。
隣席に人が居てもパーテションを引けば、気にならない自分だけの空間が出来ます。

担当の客室乗務員が近付いて来て、自己紹介の後に名前を呼んで挨拶してくれました。

夜間のフライトに相応しく、シートにはベッドメイキングの説明カードが置いてあり、客室乗務員に声を掛ければセッティングをしてくれると書かれていました。寝具サービスには「BOHCA」ボッカと名前が付けられており、専用枕、腰枕、敷布、掛け布団で構成され、快適な睡眠へ誘ってくれます。
座席は、フルフラットとなるもので、腰の部分にマッサージ機能があるのも快適です。

ウェルカムドリンクは、トルコで良く飲まれるホームメイド レモネードにしてみました。
離陸した機体は夜の闇をついて、日本海へ向けて進路を取ります。

布のおしぼりでひと心地ついていると、食前酒のオーダーを聞きにきてくれました。
ワインリストを見ると、シャンペンはテタンジェブリュット・レゼルブに白ワイン2種、赤ワインはトルコの代表的なプレミアムワインのドルジャカルマなど3種、ローズワイン1種、ポートワイン1種というラインナップ。
ビール派には、トルコのエフェスピルゼンにカールスバーグ。日本酒も月桂冠大吟醸が揃う充実の品揃えでした。

ビジネスクラス担当の4名の客室乗務員さんzoom
ビジネスクラス担当の4名の客室乗務員さん

深夜ですが、機内食を楽しみにしていました。フライングシェフからサービスを受けるのも初めての経験です。

今までのフライト経験から考えると、どんな時間でも食事を摂ってから眠ると熟睡できるので、しっかり飲んで食べます。

夕食のメニューとともに朝食のチョイスのできるホテルのルームサービス風のカードが用意されています。
好きな朝食に印を付けて名前とシート番号を書いて乗務員に渡します。

メニューが立派で、更に期待感が高まります。
夕食は、まず握り寿司3種が出て来ました。

前菜は海老のグリルとミックス野菜か、鶏むね肉のグリルから。
更にズッキーニのスープも加えることができます。
この段階で、電池式の揺らめくキャンドルが各テーブルに配られました。
ターキッシュエアラインズのロゴの入った紙のケースが、ほんのりと周囲を照らします。
照明が落とされているので、テーブルに明かりが灯り、いい雰囲気になっています。ケースの横には「Candlelight dinner high above the clouds」と書かれています。
粋ですねえ。窓の外に顔を向けると夜間なので闇ですが、目を凝らすと雲や星の瞬きが見えます。そんな雲上のレストランの演出に気分が高揚します。

テーブルのサイドには、パン皿、マーガリン、塩・コショウ、ドレッシングの載ったカスターセットが置かれます。
よく見てみると、塩・コショウの入れ物はモスクのミナレット(尖塔)の形になっています。小さな物へのこだわりも楽しいです。

メインは、和食でブリの照り焼きか、焼肉の醤油ソース、または洋食でリガトーニのトマトソースの3種類から選びます。

夕食のメニューとフライングシェフのサービスの様子zoom
夕食のメニューとフライングシェフのサービスの様子

食事は、客室乗務員によって運ばれますが、皿を並べ調味料の使い方を教えてくれるのは、フライングシェフの役目です。ワインの選択に迷ったら、選んだメニューに合うワインをシェフが勧めてくれます。

食後はデザートのワゴンサービスになります。
バクラヴァやカダイフなどのトルコデザート。クレープ、ティラミスにフルーツ添えのバニラアイスクリーム。
これらがテーブルに並べられると、フライングシェフが近付いてきてコーヒーを注いでくれました。

食事は全て陶器に盛られているのはもちろんのこと、コーヒーカップは独特のホルダーがあり、機内での食事とは思えないような豪華さです。

メニューをよく見ると、番号がふってあります。その品を数えると、11種類。選択肢はかなり多いです。
機内食をエンターテイメントと言うDO&CO社監修の素晴らしい食事を堪能することができました。 

デザートとコーヒーのサービス キャンドルサービス(左下)に和みますzoom
デザートとコーヒーのサービス キャンドルサービス(左下)に和みます

さすがに深夜の時間帯、すぐに客室乗務員がベッドの用意をしてくれ、優雅な気分で横になります。
低反発の素材を使った腰枕がフィットして、熟睡することができました。

目覚めると、座席の前の小物入れに、先に紹介したキャンドルが2つに増えてまたたいていました。客室乗務員が眠りの環境演出にセットしてくれていたようです。昔、キャンプ場でキャンドルの光の中で友人と過ごした楽しい時間を想い出してしまうような心地良さを経験しました。

すっきりしたあとは、機内エンターテイメントでくつろぎます。
多くのプログラムの中から、邦画の「64-ロクヨン」前編を見ました。
座席をゆったりモードのリクライニングにすると、どんな映画館よりも贅沢な視聴環境ができあがります。

小腹が空いているならば、すぐ後ろのギャレー脇のスペースに、スナック類とドリンクが用意されています。

映画が終る頃には、朝食の時間で到着の2時間前であることを知らせてくれました。

日本語の話せるトルコ人客室乗務員のAhmetさんと話しました。
日本語ガイドをしていたものの、旅行者の激減で職を失い客室乗務員になったという変わり種。岡山で4年間陶芸をしていたとのことで、話し方も関西風です。日本線をリクエストして、成田と関西ばかりを飛んでいるという日本通。
旅行客の減った日本人に、もっとトルコに来てほしいと話していました。

日本語担当はAhmetさん(上)zoom
日本語担当はAhmetさん(上)

ターキッシュ エアラインズは「ベスト エアライン ヨーロッパ」以外のカテゴリーでも、ビジネスクラスアワードで、5部門のうち機内食とラウンジダイニングの2部門で世界一。

その一端を垣間見ることができました。フライト時間は11時間15分。
非常に充実したサービスで、機内で過ごした半日が短く感じられたいいフライトでした。

ターキッシュエアラインズHPはこちら
 https://p.turkishairlines.com/

エコノミークラス搭乗記①はこちら

エコノミークラス搭乗記②はこちら

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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