旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2020年11月29日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

魅力度市町村ランキング1位の函館でワーケーションしてみた

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ワーケーションしていても函館山観光は外せない

ツアー概要
コロナ禍においてテレワークを一歩進めた、ワーク(働く)とバケーション(休暇)を同時に行う「ワーケーション」はトレンドになっています。今回、株式会社日本旅行が函館市とともに実施したのは、「函館ワーケーションモニタリングツアー」です。

10月から11月かけて設定され、出発地は、東京・大阪・名古屋があり、最大8泊まで市の支援(助成)対象です。GO TO トラベルと併用することにより、参加者の支払いは2泊3日で1万円台からと格安になっていました。

今回、このモニタリングツアーに参加することができましたので、函館がワーケーションに適している理由とともに紹介していきたいと思います。

宿泊先は、3つから選ぶことができます。函館駅前のビジネスホテル「ユニゾインエキスプレス函館駅前」のスタンダードタイプに加え、追加料金でウォーターフロントの温泉ホテル「函館国際ホテル」や湯の川の温泉ホテル「イマジンホテル&リゾート函館」の選択が可能です。今回は、ユニゾインに泊まりました。

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ユニゾインエキスプレスから函館駅前方面の眺め

モニタリングツアーに出発
函館空港に到着すると、飛行機の到着時間に合わせて駅前に向かうバスが発車します。函館の魅力にコンパクトシティが挙げられますが、函館に到着してすぐにそれを実感します。湯の川温泉は、バスで5分。函館駅前でも20分と至近です。

函館駅から徒歩5分のユニゾインエキスプレス函館駅前ホテルに入ると、函館駅側の部屋は、駅ターミナルや函館湾が見渡せます。Wi-Fiは完備されており、ベッド幅100㎝で11㎡の部屋は一般的なビジネスホテルの広さです。部屋での作業もできますが、モニタリングツアーの参加条件でもある外部のコワーキングスペース(共用オフィス)を利用してみました。

コワーキングスペースへ
市内で6か所用意されたコワーキングスペースのうち、市街西側地区の「函館大三坂オフィス」に向かいました。函館市電で函館駅前から3つ目、十字街から歩きます。函館市観光情報サイト「はこぶら」の中で函館の坂道が19か所紹介されており、そのうちのひとつが大三坂。昔ながらの建物と、石畳の景観から国土交通省の「日本の道100選」にも選ばれた美しい坂です。

函館大三坂オフィスの中には窓に向かうシングル席4席と楕円テーブルの6席で計10名が利用できるスペースがあります。窓側の2席は港側に面しており、船の行き交う様子や函館市電が通りを横切る様子も伺えて、気持ちのいい環境です。

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函館大三坂オフィスの外観と内部

もう1か所のコワーキングスペース、五稜郭に近い「ワークラボ函館」にも行ってみました。普段は、IT関連企業のオフィスのスペース。今回のワーケーションへの協力でオフィスを貸し出していました。働く空間から生まれるデータで、働き方を変える実験施設でもあります。効率よく仕事するための環境が整えられています。

函館市のプレゼンテーション
函館市経済部が主導で行った今回のワーケーション。ワークラボ函館でプレゼンテーションが行われ、函館で行うワーケーションがオススメな理由を明確に説明してくれました。函館は全国市町村魅力度ランキングにおいて2015年以降6年間で4度1位になっています。これは京都以上に魅力的であると全国の人が認めた街ということになります。

次に大都市圏からのアクセスです。東京・名古屋・大阪から航空機で80分。また新幹線でも4時間で東京から移動できます。更に空港から市内中心部までの移動が楽なことと、コンパクトシティであることも、魅力のひとつです。

冬場の北海道というと全域で雪に閉ざされるイメージですが、意外にも函館の積雪量は多くありません。気温の寒暖差が少なく、真夏日や真冬日の日数は道内主要都市で最小です。地震や台風被害の少ないことでも知られます。ワーケーションで街が気に入り永住の地にすると、掛かる不動産費用は東京の55万円/㎡に比較して3万円/㎡と段違いに安くなります。市からは雇用や賃料の助成もあり、長く住める環境が整っています。

ワークラボ函館で開かれた函館市のプレゼンテーションzoom
ワークラボ函館で開かれた函館市のプレゼンテーション

はこだて未来大学へ
最後に、IT企業の進出に役立つ教育機関「公立はこだて未来大学」の施設視察がありました。市の北側、亀田中野町にあるシステム情報学部の単科大学で情報アーキテクチャと複雑知能の2学科5コースから構成されています。

敷地面積15万㎡、延床面積3万㎡の広いキャンパスは、函館空港と新幹線新函館北斗駅双方から30分圏内とアクセスがいい位置にあります。実際に見学してみないとこの大学の建築意匠が伝わりません。教室という概念に固定されず、オープンなスペースに有機的に振り分けられた場所です。多くの施設が吹き抜けで、気持ちよく学ぶことのできる環境でした。

IT企業であれば、この大学との産学連携を考えたくなる校名の通りの未来志向の大学でした。

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はこだて未来大学の構内と外観

五稜郭タワーへ
ツアーの中には函館の代表的なランドマーク「五稜郭タワー」への観光も含まれていました。1964年に完成し、2006年に新タワーとしてオープンしました。タワーは展望塔が二層になっており、展望2階に函館の歴史がわかる五稜郭歴史回廊があります。北側に広がる洋式城郭の特別史跡五稜郭の星形公園が一望でき、函館山や遠くは津軽海峡をはさみ、青森県の下北半島、津軽半島が視野に入ります。

五稜郭タワーと展望階にある、函館とゆかりの深い土方歳三のブロンズ像zoom
五稜郭タワーと展望階にある、函館とゆかりの深い土方歳三のブロンズ像

多くのプログラムが選択できた
今回は、最短の2泊でしたが、3泊以上になると、はこだて未来大学に加え「北海道立工業技術センター」か「函館市国際水産・海洋総合研究センター」の視察を選ぶことができます。さらに、マインドフルネスプログラムや、オプションで農業・漁業体験まで用意されている充実の内容でした。

北海道でも本州に一番近く、気候も安定した函館は北海道でも特別な街のような気がします。労働集約型から知識集約型に転換した函館は、行くべき理由の多く見つかる場所でした。

取材協力日本旅行 東日本法人支店 ⇒ https://www.nta.co.jp/
函館市観光情報サイト「はこぶら」  ⇒ https://www.hakobura.jp/
ワーケーションin函館 ⇒ https://h-workation.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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