冬のウィーンは寒く、長い夜が続きます。
でも、 オペラやコンサート、クリスマス前の待降節「アドベント」の時期に各地で開かれるクリスマスマーケット、クリスマス後の舞踏会などなど、ウィーンならではのイベントが目白押しです。
ヨーロッパの人から見ても「キラキラまぶしい」街で、ウィーンの人々は厳しい冬を最高に楽しく過ごすエキスパート。
冬のウィーンの楽しみ方を習いに行ってきました。
クリスマスマーケットは、ちょっとお洒落に
「ウィーンには20か所もWeihnachtsmarkt(クリスマスマーケット)があるのですよ」
まだ夕方4時だというのに、すでに夕闇がせまるウィーンの冬。道路沿い、シェーンブルン宮殿の庭園に並んだ店から漏れるオレンジ色の灯りを見ながら、タクシーの運転手さんが教えてくれました。
クリスマスマーケットは、一般的にアドベントの期間、つまり、クリスマス前の4週間に開催されます。でも、ウィーンはその点、あまり厳密ではないように思えます。今年2017年のクリスマスマーケットのパンフレットに紹介されているのは市内16カ所。場所によって開催期間はさまざまで、早いところではスタートが11月9日から。終了日もま
ちまちでRiesenradplatzは 2018年1月7日まで開催します。年末まで開催している市はMaria-Theresien PlatzやMahlerstrasseなど。
「だって、皆、クリスマスを楽しみにしているのだから、マーケットを長く楽しめることは良い事でしょう」と、ウィーン在住の友人が言ってました。確かに!
年末ウィーンにお出かけ予定の方は、事前にチェックされると旅の楽しみがひとつ増えます事請け合いです。
プンシュをお試しあれ
クリスマスマーケットと言えば、ホットワインの「グリューワイン」が思い浮かびませんか?
でも、ウィーンでは、ひと味ひねったホットカクテル「プンシュ」が人気です。
作り方は各家庭に伝統のレシピがあるそうですが、基本の材料はブランデーにフルーツティー、リンゴジュースやピーチジュースなどのフルーツジュース。これらを加熱して、シナモンやクローブ、バニラビーンズなどのスパイスを加えて、味と香りに深みを出します。アルコールを入れないお子様むけプンシュもあります。グリューワイン同様、スパイスの香りがきいた身体があたたまる冬に欠かせない飲み物ですね。それぞれのマーケットオリジナルのカップは持ち帰る事ができますので、良いお土産になります。飲んでいない綺麗なカップに交換して欲しいと言ったら、気軽に応じてくれました。
そして、シャンパンを出している店もありました!一緒に手作りケーキも売っていて、「やはりウィーンのクリスマスマーケットは一味違う」と感心しました。
どのクリスマスマーケットに行く?
ウィーン市内の16も20もあるマーケットのどこに行ったらいいかは迷うところ。制覇するのもありでしょうが。何しろ会場は王宮だったり、市庁舎広場だったり、観光しながらお店を見るというのもありでしょう。重厚な歴史的建造物込みのクリスマスマーケットの写真はとにかく雰囲気が違います。屋外の特設スケート場もあったりして、家族連れで楽しそうな風景にも出会います。
仕事帰りに1杯!というのは、地元の人たちの楽しみ方。そんな彼らはリッツカールトンホテルの屋上にあるウィーン一高い場所にある小さなクリスマスマーケットがお気に入りのよう。わずか3店舗が酒やスナックを出していますが、プンシュを飲みながら、きらめく町の夜景を見下ろすのが人気で、ぎゅうぎゅうのにぎわいでした。
「あまり教えたくないけれど」と前置きして友人が連れていってくれたのは、MuseumsQuartier からほど近いSpitterbergという小さくてロマンチックな通りのマーケット。この辺りは洗練されたとてもおしゃれで、少しボヘミアン風な香りも残す芸術家の集まる通りのようです。クリスマスマーケットの店ももちろん素敵ですが、小屋の奥にあるアートっぽい店にもつい足が向いてしまいます。
クリスマスマーケットで買えるもの
キリスト教に関連したイベントですが、たまたまだったのか、ウィーンでは宗教色はあまり強く感じません。観光客が多いせいなのでしょうか。わいわいと寒い冬を楽しんでいる気がします。店もバラエティに富んでいます。ものすごく可愛いクラフトを置いてある店や、ザルツブルクから期間限定で出店しているチョコレートの店も見つけました。市も店も数が多いので、よく見ないと見逃してしまいそうですが、「出会ってしまった!」と思えるものを見つけたときのうれしさは格別です。
私はやっぱりクリスマスっぽいものがほしくて、金属に手描きで絵がかいてあるオーナメントを買いました。友人はハンガリーの陶芸家が自ら販売していたマグカップを買っていました。家に持って帰ってご主人に見せたところ、クリスマスプレゼントだと思われてしまい、また後日自分の分を買いに来たとか。
ウィーンのクリスマスマーケットは、クリスマスのワクワク感をさらに増幅してくれる装置のようです。 (了)