旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2017年2月24日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

チャイナ エアライン A350で体験するプレミアムエコノミークラスの実力

夕陽に落ちる美しい風景の中スキポール空港を出発します zoom
夕陽に落ちる美しい風景の中スキポール空港を出発します 

アムステルダムから台北桃園空港へ向かうチャイナ エアラインCI074便は、スキポール空港を午後3時50分に出発します。
午前中はアムステルダム市内でビジネスや観光で過ごし、ランチを済ませてからゆっくり空港に向かえる余裕のある時間帯の出発になります。

F8ゲートからスムーズな優先搭乗でプレミアムエコノミークラスキャビンに向かいます。
機内に入ると、往路の機内で利用したスカイラウンジのあるL2ドアから後方に向かって2-3-2の座席が5列(窓側は4列)並ぶのが見え、全体で31席の一区画になります。
エコノミークラスの座席3-3-3の配列に比べ、2席分余裕のある造りです。シートピッチは39インチ(99cm)あり、一般的な31インチの座席に比べて20cm強も広いことになります。
これであれば、通路側の隣席を気にすることなく立ち上がることができます。

129度のリクライニングは、後方席に倒れないスライド式。
全席にレッグレストと最前方席を除きフットレストも装備され、快適さを追求しています。座席のヘッドレスト横には、可動式のLEDライトがあるので、好みで天井のライトとの使い分けが可能。肘掛けも幅の広い造りになっています。

プレミアムエコノミークラスの機能的なシートとコックピットのヘッドアップディスプレーで外を見ているような機内エンターテイメント画面zoom
プレミアムエコノミークラスの機能的なシートとコックピットのヘッドアップディスプレーで外を見ているような機内エンターテイメント画面

最前方シートをアサインしたのは、翼の付け根でエンジンとウィングレットが良く見えるから。
冬には早く陽の沈むオランダのちょうど夕焼けの綺麗な時間帯に離陸となりました。窓から見ていると、陽の落ちる高さに枯れた樹々がシルエットに見えて実に綺麗でした。離陸時に見える街並みは黄金色に輝いています。

ビジネスクラスの物よりも幾分小さめですが、同じくハードケースのアメニティーキットが用意されていました。インスティテュートカリテのハンドクリームとリップバームはビジネスクラスと同じ物が入っています。A350のステッカーも入っていて、すっかり嬉しくなりました。
スリッパもあり、ヘッドフォンはビジネスクラスと同じノイズキャンセリングの物でした。機内エンターテイメントは12.1インチのスクリーンでシートバック収納ですが、最前方では壁に固定されています。

ウェルカムドリンクとナッツのサービスがあり、一息つきます。
シートポケットにはメニューも用意されていました。
メニューが用意されているだけで嬉しくなるのは機内食がサービスの重要な要素だから。眺めていると、熱いおしぼりが配られました。

熱いおしぼりにホッとさせられますzoom
熱いおしぼりにホッとさせられます

機内食は、前菜はスモークサーモンとチキンのサラダ、メインはジンジャーポークライスかチキンフィレのチョイスとなります。フレッシュフルーツとチーズスティック、その後ハーゲンダッツアイスクリームがサーブされました。前菜がしっかり豪華だと、満足度が高いです。

ドリンクもスピリッツ、カクテル、ワインなど豊富な品揃え。
ハーゲンダッツアイスクリームは、普段日本で見かけるよりも大きなサイズの物でしたので、最後はコーヒーを掛けてアフォガードにして楽しみました。

満足度の高い機内食zoom
満足度の高い機内食

プレミアムエコノミークラスとエコノミークラスの客室責任者はパーサーです。
このフライトでは、18年の経歴を持つNicole Chenさんが搭乗していました。A350の乗務を楽しみにしていたとのことで、クルーにとっても働きやすい機材のようです。
機内の特徴として「柿」をデザインしたカーペットが使われていると話してくれました。台湾での柿は縁起物として親しまれています。チャイナ エアラインでは、これをたゆまぬ繁栄をもたらすものとして最新鋭機のインテリアに据えました。

アムステルダムでのお勧めの過ごし方を聞いてみると、ヒートホールンの観光とのこと。2時間程度かかる郊外ですが、風車もあってのどかな田舎の風景を堪能できる場所だそうです。お客様と話をしながらお世話するのが好きなので、これからも長くクルーを続けていきたいと話してくれました。

男性クルーKevin Rinさんも楽しそうに仕事をしていました。
社内では約10%の比率の男性クルーの1人。チャイナエアラインではずっと働くのを前提に、将来は社内の配置転換を利用してIT系の部署で働いてみたいと話してくれました。

Wi-Fiサービスをお勧めするニコールさん(左上)とギャレーでのケビンさん(右下)zoom
Wi-Fiサービスをお勧めするニコールさん(左上)とギャレーでのケビンさん(右下)

往路は夜間便のため試さなかったWi-Fiサービスを使ってみます。時間による3段階の課金制度です。機内でNetが使えるという環境は、ちょっとした仕事もできるのでストレスフリーです。AC電源とUSB端子は全クラスに装備されています。

免税品の販売カートが機内を廻るのを待ち構えていました。
往路で選んでいた、1/500スケールのB777-300ERボーイング特別塗装機が地球儀のスタンドの上を飛ぶモデルを購入。飛行機好きの気持ちの解る商品選定です。

ギャレーでは母親が手洗いの間、ぐずっている赤ちゃんを3人のクルーがあやしている姿を見かけました。その場面だけ取り出してみると普通の光景です。それでもクルーの笑顔が何とも自然でついカメラを向けていました。
このご家族はニュージーランドへの長旅の途中で、家族に優しいチャイナ エアラインが大好きだとのこと。クルーのお客様に向き合う態度が暖かく、心地よく感じるに違いありません。

客室乗務員のとびっきりの笑顔で赤ちゃんもごきげんにzoom
客室乗務員のとびっきりの笑顔で赤ちゃんもごきげんに

話をしているうちに機体はどんどん東に進んで行きます。
機内エンターテイメントの3Dマップを見ると、往路のロシアを通る北極圏と全く違う南ルートを取っています。東欧から中東、インドから中国に入って、昆明、広州、厦門の各都市上空を通るルート。

A350のプレミアムエコノミーの広々としたシートは、適度なリクライニングにレッグレストの角度も良く、ビジネスクラスほどではないにせよ、非常にゆっくりと休むことができます。全身をシートに預けてしまえば自然な姿勢となるので長旅にはうってつけ。ぐっすりと眠れること、起きた時の爽快さに改めてその快適さを感じることができました。

到着2時間前の朝食は、オムレツかビーフンをチョイスできます。
往路は夜中のフライトで外が見えなかった分、シェードを開けてエンジンとウィングレットの様子を楽しみました。

プレミアムエコノミークラスのサービスは、ここ近年の新しいサービスである為、航空各社によってばらつきがあるように思います。
そのような中で、チャイナ エアラインのプレミアムエコノミークラスは、乗務員の笑顔と行き届いたサービス、最新鋭機の設備でトップクラスのサービスだと感じました。
フライトの余韻に浸るなか、疲れが残っていないことをはっきりと意識しながら、充実した気持ちで台湾の海岸線を眺めることができました。
まもなく12時間半のフライトが終ります。


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航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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