旅の扉

  • 【連載コラム】ちょっとこだわり、少し贅沢
  • 2015年10月17日更新
トラベルソムリエの旅コラム
Travel sommeliere:小野アムスデン道子

大人の社会見学は面白い!輝いている日本のものづくりの現場、新潟県燕三条「工場の祭典」へ

玉川堂(燕市):鎚起銅器の美しい急須にため息。製造の工程を見学やワークショップに参加も。zoom
玉川堂(燕市):鎚起銅器の美しい急須にため息。製造の工程を見学やワークショップに参加も。
 新潟県の中央にある三条市と燕市は、刃物や洋食器などのモノづくりで知られたところ。その歴史は、江戸時代の和釘づくりに始まり、匠の技を伝えながら時代にあわせて鎚起銅器(銅を鎚で打って作る金属工芸)や工具はじめ、高い加工技術を誇るモノづくりへと続いてきたようです。そんな燕三条で2015年10月1日(木)〜4日(日)の4日間にわたり、モノづくりの企業が工場を一般開放するという「燕三条 工場の祭典」に行って来ました。普段はなかなか覗けない工場の内部を見学するだけでなく、実際に体験をしてみるワークショップなどのイベントも多数で、興味深い“大人の見学”イベントでした。
スノーピーク(三条市):こだわりあるアウトドア用品は海外でも高評価。zoom
スノーピーク(三条市):こだわりあるアウトドア用品は海外でも高評価。
 今年で3回目となる「工場の祭典」には、過去最多の68社・団体が参加。ワークショップには、包丁研ぎ直し教室や箸作り体験、金属研磨体験などもあって、どこから回るか迷います。まずは、上越新幹線「燕三条」駅を出てすぐの観光物産センター「燕三条Wing」に立ち寄ると、燕三条の生産品がまとめて展示されていて、全体が分かりやすく、観光コンシェルジュも相談に乗ってくれて便利。午後に到着したので、初日は、2015年度グッドデザイン賞を6点もの商品が受賞した新潟発のアウトドア用品を造るスノーピーク(三条市)へ。海外進出も果たす企業の本社は、屋外に5万坪のキャンプフィールド、先進的なオフィスを備えて、こだわり会社の中を見学しました。
タダフサ(三条市):ベストセラーの一つ、パン切り包丁。美しい包装にも注目。zoom
タダフサ(三条市):ベストセラーの一つ、パン切り包丁。美しい包装にも注目。
 2日目、まずは燕エリアで鎚起銅器の玉川堂と柳宗理デザインのキッチンウェアを作っている日本洋食器へ。1816年創業、社屋は国の登録有形文化財、人間国宝はじめ300人以上の職人が腕をふるってきた玉川堂の現場には、銅器を叩く音が響きます。叩くと銅は硬くなるため、銅を火の中に入れて柔らかくする焼き鈍しを完成までに20回は繰り返すそうで、手仕事の見事さが光ります。次に見学した日本洋食器では、たくさんの食器を出荷していますが、磨きや検品などの細かい作業にはやはり人間の手が入っています。三条市に移動して、包丁工房というべき、本職用、家庭用そして蕎麦切りやパン切りなどの専門包丁も手掛けるタダフサを見学。時代のニーズに合わせていくこだわりのモノづくりは数々の受賞歴を誇るそう。
諏訪田製作所(三条市):スタイリッシュな爪切りの製品展示。zoom
諏訪田製作所(三条市):スタイリッシュな爪切りの製品展示。
 燕三条のこうした製造品の中には、その分野で世界的に有名になっている商品も少なくありません。諏訪田製作所(三条市)は、1926年創業で、喰切り(針金などを切る工具)、瓢箪型爪切り、植木盆栽用の刃物などを手掛けて来ましたが、近年、特にその爪切りのデザイン性と性能の高さで国内外に有名になった会社です。今や黒を基調にした工場はとてもスタイリッシュで、ガラス越しに製造工程が分かりやすく見学できます。製品の販売コーナーには、カフェまであってまるでギャラリーのよう。将来に打ってでるという姿勢が伺えました。
マルナオ(三条市):大工道具の製造の技術が、今は高級箸を生み出す。zoom
マルナオ(三条市):大工道具の製造の技術が、今は高級箸を生み出す。
 創業からの技を時代に合わせた製造へ、別の形で生かしていった会社もありました。美しい箸作りで有名なマルナオ(三条市)は、1939年の創業で、元は墨坪車という、彫刻を施した糸車で、墨を含んだ糸を利用して材木に線を引いたり、建築現場に地墨という基準線を引くための大工道具などを製作していた会社。今は、その職人の技を「食する道具」である箸やスプーン、万年筆などのステーショナリーの製造に生かしています。黒檀や紫檀など素材の質の高さや細かい象眼細工など、お値段も張りますが、価値のある極上箸を作っています。
田中衡機工業所(三条市):バネ式体重計や規格台はかりの製造は国内でここだけ。zoom
田中衡機工業所(三条市):バネ式体重計や規格台はかりの製造は国内でここだけ。
 68社、どの会社もモノづくりへの情熱は人一倍。出来上がった製品しか見たことがないので、機械で出来上がっていると思っていたものにも人の手がかかっていたり、製造工程のたいへんさや職人の技に驚かされます。パン生地用のハカリ、風呂屋や保健室に昔あった体重計、空港のチェックインカウンターの手荷物ハカリ、大型トラックや動物園の象の重さを量るハカリなどハカリの工場である田中衡機工業所。その精密さを極める最後の調整は、やはり一つ一つ人の手で行なわれています。
 工場という製造現場がこんなに面白いものだとは。発見に満ちたイベントは、燕三条の魅力を大いに発信する場でもありました。
 
Travel sommeliere:小野アムスデン道子
ロンリープラネット日本語版編集を経て、ローカルグルメやお酒、非日常の体験などちょっとこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ジャーナリストへ。
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