トラベルコラム

  • 【連載コラム】イッツ・ア・スモール・ワールド/行ってみたいなヨソの国
  • 2014年12月25日更新
夢想の旅人=マックロマンスが想い募らず、知らない国、まだ見ぬ土地。
プースカフェオーナー/DJ:マックロマンス

メリークリスマス

牛飼座のアークトゥルスと乙女座のスピカ Photo by Atsushi Shikitazoom
牛飼座のアークトゥルスと乙女座のスピカ Photo by Atsushi Shikita
もうクリスマス。どんなクリスマスイブをすごしましたか?

僕が子供だった頃はクリスマスは確かファミリーのものだったはずなんだけど、いつのまにかカップルのものという感じになっちゃって、何人もガールフレンドがいる男子なんかは大変だなあ。なんて毎年このシーズンになるといらぬ心配をしてしまいます。うん。最近はどうやらクリスマスは家族とゆっくり過ごすというムードに戻ってきているらしいですね。僕もイブは家族と一緒でした。我が家のクリスマスイブは毎年なぜか魚のパイとカボチャのニョッキいうことになっています。今年はバターが手に入らないってんでヤキモキしましたけど、ちゃんとパイとニョッキにありつくことができました。

僕の妹夫婦のところではクリスマスはスモークサーモン。ターキーでもチキンでも、ローストビーフでもなく、ひたすらスモークサーモンをぱくぱく食べます。妹の夫がリヒテンシュタインというヨーロッパの小さな国の出身で、てっきりそちらの慣わしなのかと思っていたら、そうではなくて妹夫婦オリジナルな習慣のようです。

僕の実家ではそのような「我が家だけ」の食習慣がけっこうあって、例えば弟の誕生日は決まってミートパンでした。それからお正月に、焼いた餅を生卵にお醤油入れたのに絡ませて食べるのですけど、これをやるのが我が家だけと知った時はちょっとショックでした。キモチワルイ?だってほら卵かけごはんとか、みんな大好きじゃんね。その感覚なんだけどなあ。
Photo by Satoko Konnozoom
Photo by Satoko Konno
アメリカはミズーリ州のセントルイスでクリスマスを過ごしたことがあります。このお話は他でも何度もしたことがあるんですけど、友達の家に何週間か居候させてもらっていて、そこのお父さんが戦争の経験者でね。まさに日本の兵士相手にドンパチやったらしく、今でも日本人には偏見があるんだと。「気分悪くすることがあるかもだけどゴメンね。」と友達には言われてたけど、実際会ってみたら会話どころか目も見てくれませんでした。クリスマスの日には、子も孫も、みんな帰ってきて、よくアメリカの映画で観るようなクリスマスのイメージそのもの。僕も仲間に入れてもらって本当に楽しかった。でもお父さんは相変わらず僕のことはシカトでした。うむ。それで、宴が終わって、僕は自分の部屋(ちゃんとゲストルームがあるのです。)でうとうとしていたんだけど、突然、お父さんがやってきて、何と、クリスマスプレゼントを手渡してくれたのです。少し恥ずかしそうに「メリークリスマス」。彼が僕に話しかけた最初の言葉です。けっこうなサプライズでしたが僕よりもお母さんたちの方がびっくりしてたみたい。
2014年12月24日ロンドンの空 Photo by MIKAzoom
2014年12月24日ロンドンの空 Photo by MIKA
ロンドンにいた頃のクリスマスは静かなものでした。パーティーもなし、夜遊びもなし、だいたいにして人の温度を近くに感じた記憶がありません。今にして思えばたぶん友達はみんな実家に帰っちゃってたのでしょう。お店なんか全部閉まっちゃってますしね。煙草屋からスーパー、デパートまで本当に何もかも全部休みなのには困りました。アラブ人が経営する店だけが普通に営業していて、昼も夜もテイクアウエー(イギリスでは持ち帰りをTAKE OUTではなくTAKEAWAYと言います。)のアラブ料理って何だかクリスマスらしくないよなあって思ったのおぼえています。

18歳。通っていた高校を追い出され、大失恋を経験して、何もかもが嫌になって、投げやりな日々を過ごしていた僕を見かねた両親に、半ば強制的にヨーロッパ行きの飛行機(最初の行き先はスイスでした。)に乗せられたのですけど、たまたま行き着いたスペインの小さな港町で、実はヨーロッパでは僕はまあまあモテるじゃんということを知り、日本脱出を決意したあの時もクリスマスのシーズンでした。公式には僕はバンドマンになるために渡英したとあるのですけど、実は女の子にちやほやされたかった。というのが本当です。ま、動機はどうあれバンドマンになれたんだから結果オーライ。スティービーワンダーの"I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU”が大ヒットしてた年でした。古いね。
Photo by Yoko Iwabuchizoom
Photo by Yoko Iwabuchi
旅行にあまり関係の内容でごめんなさいね。クリスマスの妄想してやれと思ってたんだけど、いざ書き始めたらこんな脈絡のない(いつもですけど)古いお話ばかりになりました。

今日はまさに12月25日。リアルなクリスマスタイムでこれを書いています。今、何を考えているかって?うーん。「ラブ&ピース」かなあ。

そうそう。マックロマンスから世界中の女の子たちにプレゼント。クリスマスのシャンパンをごちそうしちゃいます。今日(2014年12月25日)プースカフェに来て下さい。カウンターで「リスヴェルでマックロマンスに誘われた。」と言ってくれれば、最初のシャンパンを1杯サービスさせていただきます。女の子限定ね。年齢は関係なし、おばあちゃんでも女の子は女の子なんだ。(未成年の女の子には何かノンアルコールで。)ややこしいけど女の子な男子もマックロマンス的には女の子です。

んなわけでメリークリスマス。ラブリーなクリスマスを。ラブ&ピース。

*今回はお友達がきのうと今日に撮影したあちこちのクリスマスの空の写真を使わせてもらいました。みなさんありがとう。
プースカフェオーナー/DJ:マックロマンス
マックロマンス:プースカフェ自由が丘(東京目黒区)オーナー。1965年東京生まれ。19歳で単身ロンドンに渡りプロミュージシャンとして活動。帰国後バーテンダーに転身し「酒と酒場と音楽」を軸に幅広いフィールドで多様なワークに携わる。現在はバービジネスの一線から退き、DJとして活動するほか、東京近郊で農園作りに着手するなど変幻自在に生活を謳歌している。近況はマックロマンスオフィシャルサイトで。
マックロマンスオフィシャルサイト http://macromance.com
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