旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2023年12月24日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

クリスマスマーケットで見つけたい、とっておきのドイツ

東京クリスマスマーケットの巨大なクリスマスピラミッドzoom
東京クリスマスマーケットの巨大なクリスマスピラミッド

今年もいよいよ押し詰まってきました。コロナ禍も過ぎ、すっかり人出が戻っています。日曜日はクリスマス・イブ。都内各地のクリスマスマーケットは12月25日まで。ヨーロッパではマーケットは24日には終了して、その後は家族などでクリスマスを祝うのが一般的のようですが、日本では、この2日間、楽しいイベントとして、最高の盛り上がりを見せるでしょう。
皆さんはどこかのクリスマスマーケットに行きましたか?

クリスマスマーケットは、ドイツやオーストリアが発祥と言われています。ドイツにはクリスマスマーケットの数が大都市だけでも2500もあるそうで、それぞれ規模も雰囲気も異なり、あちこち訪れるツアーも人気です。

基本的には広場の中心に巨大なクリスマスツリーやクリスマスピラミッド、キリスト生誕のシーンを表す「クリッペ」と呼ばれる人形が置かれ、周囲には屋根にクリスマスらしい飾りを施した出店が並び、オーナメントや土産物、近郊から持ち寄られた食品、お菓子などが売られ、簡単な食事もできます。メリーゴーランドや観覧車など小さな移動ゆうえんちが設置される地域もあります。夜間の華やかなライトアップと温かいグリューワインが、ロマンチックな特別感を醸し出します。

最近は東京でも、まるでドイツのクリスマスマーケットにいるかのような素敵な雰囲気を楽しめるようになりました。ドイツやオーストリアなどから現地直送で、本場の雑貨や食品が並ぶようになってきたからでしょうか。

シュヴィップボーゲンをかたどった屋根飾りは六本木ヒルズzoom
シュヴィップボーゲンをかたどった屋根飾りは六本木ヒルズ

明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前・総合球技場で開催中の「東京クリスマスマーケット2023 in 明治神宮外苑」。広大な会場に、ひときわ目を引くクリスマスピラミッドがそびえています。高さ8メートルを超える巨大なクリスマスピラミッド。ドイツ東部、ザクセン州エルツ山地から来たものです。
エルツ地方では14世紀頃に錫の鉱脈が発見され、鉱業が栄えました。炭鉱現場をきれいに飾ったのがクリスマスピラミッドの始まりだとか。この地方では、家庭でも小さなクリスマスピラミッドを飾るそうです。

エルツ山地地方は木彫り彫刻芸術の宝庫。ドイツの木製のクリスマスの装飾品やツリーのオーナメントのほとんどは、ドイツ東部エルツ山地方の職人の伝統的な手作り玩具と聞いています。兵隊やニコラウスをかたどったくるみ割り人形、良い香りの煙を出すスモーカー人形、「シュヴィップボーゲン」(木製のアーチ型をした伝統的なろうそく立て)なども、日本での認知度が高まってきました。

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きらびやかな麻布台ヒルズの電飾

さて、先日開業したばかりの麻布台ヒルズの中央広場のクリスマスマーケット。こちらも、入場整理券を出すほどのにぎわいです。物見遊山ででかけてみると、高層ビルの間に作られた緑豊かなオープンスペースのなかに17の物販・飲食店。麻布台ヒルズでしか買えない限定商品・メニューも多数登場。麻布台らしく、どこもおしゃれでした。世界的に有名なドイツのクリスマス用品専門店「ケーテ・ウォルファルト」も出店していて、「わー!」と喜びましたが、入店するまで40分待ちでした(汗)。

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六本木ヒルズのクリスマスマーケット

個人的には、六本木ヒルズの大屋根プラザのクリスマスマーケットが好きです。「ドイツのクリスマスマーケットの雰囲気を六本木で」というコンセプトの市は今年で17年目。雑貨店と食事が楽しめる計10店舗と小ぶりですが、大屋根プラザを降りたけやき坂の美しいイルミネーションが楽しめる雰囲気も最高です。
世界最大、各店の凝った屋根飾りで知られるシュトゥットガルト市のマーケットをイメージしたそうで、屋根を飾るドイツからやってきたトナカイやサンタ、夜空を彩る立体的な星の飾りは今年も健在でした。
でも、こちらにも出店している「ケーテ・ウォルファルト」は、まさかの2時間待ち!と言われて、今年は入店を断念。店の窓から、中のかわいらしい木製の人形やオーナメントをのぞいて我慢しました。

私のコレクションですzoom
私のコレクションです

ところで、毎年、お気に入りのオーナメントが少しずつ増えていますが、皆さんはそれらをどうしていますか?
「ケーテ・ウォルファルト」の店員さんが以前おっしゃるには、オーナメントは一生もの。家族で毎年ひとつずつクリスマスの飾りを購入したり、親から子へ伝えたりしている人が多いそうです。
私もコロナ前にシュトゥットガルト市のクリスマスマーケットで買った木製の人形を一年中、大切に飾っています。輝くばかりの表情の無邪気さと優雅さ、優しい陶器のような色使いに一目ぼれ! マリア様と幼子イエスの像とエンジェルを買いました。

それがWendt & Kühn(ヴェントアンドキューン)社製の人形だと知ったのは、今年の冬、東京のサントリーホールのコンサートでした。
ドイツでベルリンフィルと肩を並べる水準を誇る世界最古の市立交響楽団であるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が、この11月22日にアンドリス・ネルソン氏の指揮の下、来日公演を行いましたが、ヴェントアンドキューンが公演を協賛していました。会場にお人形のパネルが設置されているのを見て、「あれっ、私持っている」と調べて、恥ずかしながら初めて知ったのです。

ヴェントアンドキューンの天使のオーケストラのバナー@サントリーホール22/11/23zoom
ヴェントアンドキューンの天使のオーケストラのバナー@サントリーホール22/11/23

ヴェントアンドキューンは、Grete Wendt (グレーテ・ヴェント)と Margarete Kühn(マルガレーテ・キューン)によって、1915年に設立。ザクセン州のドレスデンから南に50kmのチェコとの国境近くにエルツ山岳地帯のグリュンハイニへンに本拠を構える歴史ある工房です。おもちゃの村、また保養地として知られるザイフェンに同社のショップギャラリーがあるそう。日本にもコアなファンがたくさんいらして、現在はオンラインショップでコレクションのいくつかを購入することもできます。

コンサートの協賛は、同社を代表する「イレブン・ドット・エンジェル」と呼ばれるエンジェルミュージシャンの人形たちが、グレーテによってデザインされてから100年経つのを祝って企画されたそうです。緑の翼と11の白い点を持つ天使は当時は3人でしたが、100年後の現在、メンバーは80人以上に増え、世界中に愛好家がいます。いつの日か、私も天使のオーケストラを集められたらなぁと思う愛らしさです。

来年は、ドイツのクリスマスマーケットに加えて、「ヴェントアンドキューン」のあるザイフェン村、「ケーテ・ウォルファルト」の本店があるロマンチック街道沿いのローテンブルグにぜひ行きたい!と、妄想しています。

では、どうぞ皆さん、楽しいクリスマスと新年をお迎えください。(了)

~クリスマスマーケット概要~
*「東京クリスマスマーケット2023 in 明治神宮外苑」
〜12月25日(月) 11:00~21:30(L.O.21:00)
※最終入場受付は20:00。※雨天時も開催
※イベント会場に駐車場・駐輪場なし。
※入場料
大人(中学生以上)2,000円 小人(小学生)1,000円
・事前予約で購入された方にはオリジナルマグカップノベルティ付き
 ※オリジナルマグカップノベルティは大人(中学生以上)のみ。
・5歳以下は入場無料
・チケットは「当日入場チケット受付口」でも購入可。
※当日入場券を購入の場合はオリジナルマグカップの入場特典はなし。

*「麻布台ヒルズ クリスマスマーケット2023」
期間:〜12月25日(月)11:00~21:00
場所:中央広場
入場無料
※商品(メニュー)、その他内容については変更する場合があります。
※表示されている価格は全て税込。
※混雑時は、入場規制および会場入り口にて整理券を配布。ご入場までに待ち時間が発生する場合あり。

*「六本木ヒルズクリスマスマーケット 2023」
期間:〜12月25日(月) 11:00~21:00
場所:大屋根プラザ
入場無料
※混雑時は、入場までに待ち時間が発生する場合あり。

フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。
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