クイーンズランド州で飛行機を見る
オーストラリア北東部に位置するクイーンズランド州には航空ファンをうならせる施設が多いことをご存知でしょうか。日本からは増便になったカンタス航空が、毎日成田空港からブリスベン空港に向けのフライトがあります。
空港ホテルはイビス
まずは、航空路線の基点となるブリスベン空港で滞在してみました。宿泊したのは国内線ターミナルビルから徒歩圏のイビスホテル・ブリスベンエアポート。「プレーン・スポッターズ・パッケージ」があり、航空ファンを歓迎してくれています。今回はこれを利用してみました。
チェックイン時に紙袋を渡され、中にはブリスベン空港の特徴が書かれた紙と組み立て式のオペラグラスが2つ入っているのがわかりました。さりげないプレゼントに航空ファンを歓迎してくれている気持ちが伝わります。
部屋から飛行機三昧
7階の部屋に向かうと、大きな窓の先に国内線の駐機場とその向こうに東側滑走路が伸びています。荷物をほどくのももどかしく、飛行機の動向を追ってみました。
カンタス航空の国内線、オーストラリア国内線を飛ぶ他のエアライン、国際線機材も行き来しています。ターミナルビルでの航空機の地上作業も間近に見え、楽しい時間が過ごせます。前方のボーディングブリッジに加え、後方タラップを使用して同時に乗降させている様子などを見ることができて、日本と違いのあるオペレーションにも感心してしまいます。これら全てが部屋窓側にデスクと椅子があって座ってゆっくり眺めることが出来るのです。
部屋を出ても飛行機は見えています。十字になった廊下の先に窓があって、近付いてみるとそれぞれの窓から空港の様子がわかります。
屋上で撮影できる
滞在のハイライトは、9階の建物の屋上スカイデッキの滞在を1時間貸切らせてくれること。時間を選んでフロントに伝えると、同行して鍵を開けてくれます。隣接のプルマンホテルの建物以外はブリスベン空港が360度見渡せる絶景の撮影ができます。国際線ターミナルビル方向には管制塔が建っており、自分が管制官になった気分が味わえます。
モートン湾が広がる目線の先には大海原が広がり、手前にはフィッシャーマン島のブリスベン港が見えており、コンテナ船や客船と絡めた撮影シーンが楽しめます。
夕刻の時間にこの場所に立つことができるのであれば、見事な夕陽の大きさに驚く事でしょう。今回は少し早い時間に利用しましたが、夕陽と飛行機と絡めたシーンの撮影にトライしてみたいですね。朝食も含まれた、「プレーン・スポッターズ・パッケージ」はおすすめです。
展示機を見る
国内線から無料のターミナルアクセスバスで国際線に向かいます。ターミナルビルから駐車場を抜けてエアポートドライブとナンシー・バード・ウェイがクロスする場所に「サー・チャールズ・キングスフォードスミス・メモリアル」があります。
緑の柵で囲まれた中に白い建物が見えています。中に入ると、ガラスに囲まれた展示スペースには丁重に一機の航空機が収められています。フォッカーF.Ⅶ/3M サザンクロス号です。この一機の為にここまでの立派な建物が建てられたことに、ファンとしても快い気持ちになります。
1928年にチャールズ・キングスフォードスミスによって11,670㎞の太平洋を横断、またオーストラリア本土の初の無着陸横断、そしてオーストラリアとニュージーランド間の初の飛行を成功させたことで最もよく知られている機体。機体デザインと崇高なブルーの配色が美しく心に刻まれます。
クイーンズランド航空博物館へ
レンタカーを用意し、北90kmのサンシャイン・コーストを目指すと、M1道路を走れば1時間程でカラウンドラ飛行場が現れます。ここに目的の「クイーンズランド航空博物館」はあります。
1974年にキャンベラ爆撃機1機の展示で始まった歴史は、今では敷地が広がり80機を超える機体が来場者を迎えてくれます。入場すると、目に入るのはジェネラルダイナミクスのF111で、囲まれるように展示物が並ぶエリアになります。中庭には、メトロライナーや、P3Cオライオンなどが置かれており展示格納庫には「Airlines of N.S.W.」と描かれたDC-3が顔を見せています。
博物館CEOのGarryさんは、「お陰様で来年は50周年を迎えることが出来ますので、イベントの準備で忙しくしています。今後は80機以上の全ての展示航空機が屋根の下に入れることができるようにと考えています」と展示機に優しい目を向けていました。
思わぬ観光地巡りへ
往路のブリスベンからの道すがら「Look out」の看板を見付けており、日没までの時間があったので、思い切ってハンドルを切ってみました。目指すは、「ワイルドホース・マウンテン・ルックアウト」です。グーグルマップでは、博物館から26kmで21分の表示の出る距離しかありません。M1道路のすぐ脇のような場所です。
目的地に着いてみると駐車場から息を切らせて登り道を700m進んだ甲斐がありました。360度の素晴らしいパノラマを見ることが出来る展望台が現れました。周囲にはグラスハウス・マウンテンなど特異な形状の山々がいくつも並んでおり、映画のロケにでも使われそうな場所です。古い映画ですが、「未知との遭遇」が撮影された米国のデビルス・タワーを思い起させるような景色でした。
思わぬレベルの高い観光地の出現に、嬉しくなって更に展望台を探してみます。「グラスハウス・マウンテンズ・ルックアウト」が見付かり、マップでは15kmで19分と容易に到達できました。こちらは車で展望台まで行くことが出来ます。別の角度からの山容は、夕陽を受けて緑が映えて美しく光っていました。
内陸のカンタス航空創業地へ
クイーンズランド州にはもうひとつ忘れてはならない航空博物館があります。ブリスベン空港から毎日1往復のカンタスリンク便が飛ぶ国内線で1100km北西方向に2時間ほどのロングリーチに、1920年にカンタス航空が創業した地を博物館にした「カンタス・ファウンダーズ・ミュージアム」はあります。カンタスリンクのDHC-8-400で、途中ブラッコール空港を経由して向かいます。豪州の大きな大陸を実感できるどこまでも続く緑の大地の様子を上空から眺めながらの空旅は楽しいものです。ロングリーチ空港に着けば、機窓には屋根に覆われたジャンボジェットが見えますので、隣接地だとわかります。
ここは展示棟、ヘリテージ棟、航空機展示棟の3施設から出来ています。展示航空機はボーイング747-238、ボーイング707-138、ロッキードスーパーコンステレーション、DC-3が屋根の下で強烈な光線から機体を護られて大事に保管されています。
展示棟では、ジャンボジェットのアッパーデッキに造られていた、キャプテンクックラウンジのレプリカや、ジャンボジェットに搭載されたロールスロイスRB211エンジンなどがあり、客室乗務員の制服や、バービー人形のコレクションも必見です。
売店やレストランも併設されていて、一日楽しめました。
ブリスベンから、ローカル線の旅を楽しみながら、1泊2日のロングリーチ訪問でカンタス航空の歴史に触れるのも航空ファンにとっては楽しめる時間になると思います。
取材協力:クイーンズランド州政府観光局
https://www.queensland.com/jp/ja/home
カンタス航空