旅の扉

  • 【連載コラム】旅行が大好きやか!
  • 2018年11月6日更新
亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科:小倉ゼミ生

海より川派必見!奇跡の清流仁淀川で仁淀ブルーを堪能!

沈下橋zoom
沈下橋
「日本列島は猛烈な暑さが続いています」
2018年夏、日本はこの話題で持ちきり。私が訪れている高知県も例外ではなく、この日の朝の天気予報では37度の予想が出ていました。今日は色々な意味で“アツい”日になりそうです。朝食を食べ終えると、今日共に旅をする二人の仲間とホテルを出発しました。まだ朝の9時だというのに汗が止まりません。足早にレンタカー屋へと向かいました。手続きを済ませるといよいよ出発。

今日の目的は主に二つ。一つは高知県を代表する日本酒の酒蔵を見学すること。もう一つは「奇跡の清流」と謳われる四国を代表する河川の一つ、仁淀川の「仁淀ブルー」を堪能すること。仁淀ブルーとは日本一の水質に何度も輝く仁淀川特有の透き通った川の青色を表す言葉。ここでは一眼レフを持ち、写真を趣味とする私がこれらの絶景を皆様にお届けします。
亀泉酒造zoom
亀泉酒造
レンタカー屋を出発すると、高知駅前に佇む土佐三志士の像を横目に高知の街を駆け抜けて、まず私たちが目指すは高知市のお隣、土佐市にある亀泉酒造の酒蔵です。お酒に詳しくない人はあまりピンと来ないかもしれませんが、「亀泉」とはお酒にかけるお金が日本一の高知県を代表する日本酒の銘柄。高知市を出てから30分。周りに建物が少なくなり田んぼが増えて、のどかな景色の中を進んでいくと住宅街の中に昔ながらの建物が突然現れました。そう、ここが亀泉酒造。

高知県を代表する酒造メーカーと聞いていたので今時の工場のような建物を想像していたのでとても驚きました。亀泉と書かれた大きな看板で記念撮影をして事務所のような場所へ向かうとすぐに中へと案内され、どうやらこの日見学をするのは私たち三人だけのよう。和モダンなカウンターテーブルに座ると、亀泉が製造するお酒の種類と使われている酵母や匂い、味をまとめた紙を配られ日本酒の試飲が始まりました。全部で16本の銘柄を細かく説明しながらグラスに注ぐ。ちなみに、運転手と未成年の私はお酒に使われている水を美味しくいただきました。

1時間以上にわたり熱い日本酒の説明を聞き終えると、続いて案内されたのは完成したお酒を保存する巨大な冷蔵庫。灼熱の屋外からは考えられないほど冷涼な冷蔵庫内は半袖ではいられないほどの気温。これだけ大量の日本酒をベストな状態で保存するための酒造の技を感じました。

すべての見学を終えると案内をしてくださった方にしっかりとお礼をして亀泉を後に。再び田園の中車を走らせるとついに仁淀川が見えてきました。まだそれほど上流に来たわけではないのに透き通る水に早くも感動。この後の予定がますます楽しみです。

高知絶景巡り次の目的地は「名越屋沈下橋」。沈下橋と聞くと同じ高知県を流れる四万十川をイメージする人が多いかもしれませんが、ここ仁淀川にもいくつかの沈下橋があります。名越屋沈下橋はその中でも高知市から一番近くアクセスしやすいのが特徴。沈下橋目指し進んでいくと、仁淀川は右左に大きく蛇行を始め雄大さを増していくのです。河原ではバーベキューをする人や水遊びを楽しむ人、カヌーを楽しむ人など暑い夏を満喫する人が沢山現れてきました。これも仁淀川の特徴の一つで、河原や川を使いアクティビティを楽しむ地元の人の川への「親水性」が日本一なのです。そうして小さい頃から川に育てられた人々のことを地元の言葉で「川ガキ」と言うそうです。程なくすると名越屋沈下橋の看板が!いよいよ仁淀ブルーとご対面。
仁淀川 透き通る水。圧倒的な青。美しすぎるzoom
仁淀川 透き通る水。圧倒的な青。美しすぎる
のどかな山々に囲まれた場所にあるこの橋は来るものを感動させます。先ほどまで見ていた仁淀川ももちろん美しかったのですが、ここは橋の風景も相まって一層美しい。と同時になんだか妙に落ち着きます。周囲を山々に囲まれた田舎出身の私にとってはなんだか故郷のような雰囲気も感じたのかもしれません。

名越屋沈下橋の姿は日本の原風景そのもの。私たちはこの川を眺めるだけではもったいないと思い靴を脱いで足をつけてみました。思っていたよりずっとひんやり。さすが川の水だと実感しながら私たちも川ガキとなりはしゃいでみました。

しばらく遊んではみたもののこの日は37度の予想が出ている猛暑日。暑さを思い出し車へと非難。ここまで亀泉と名越屋沈下橋を巡り、早くも時刻はお昼過ぎ。お腹がすいてきた私たちはレストランを探すもここは山に囲まれた場所。飲食店は見当たらないので、冷たい缶コーヒーを片手に作戦会議をした結果、お昼ご飯抜きの強行軍に決定。

次に目指す場所は仁淀川の支流、安居川の上流に広がる安居渓谷。事前調べによるとここにはさらに透き通った川を見ることができるらしいのです。期待に胸を膨らましながら仁淀川を登っていく。すると一軒のお店が…!「やりゆうよ」(土佐弁で営業中だよ)という暖簾が掲げてあり、その下に「高知アイス売店」と書いてありました。私たちはこの言葉に歓喜。高知アイスとは高知名物のアイスクリンや、高知発祥の駄菓子ミレービスケットとコラボしたアイスクリームを販売するなど高知県内ではポピュラーなアイスクリームメーカーなのです。

その高知アイスが経営するカフェともなれば行かないわけがない。すぐさまお店の中へ。まず目に入るのが正面に広がる巨大な窓。その窓からは雄大に流れる仁淀川を望めるのです。窓の左手には高知アイスの商品が沢山販売され、どうやらこのアイスクリームかカウンターで作るソフトクリームを店内で食べるシステム。私たちはここでしか食べられないソフトクリームを注文。味は土佐ジローという地元特産の鶏の卵を使用したミルクソフトクリームと高知の海でとれる塩を使った塩アイスの二種類。私は塩味を食べることに。このソフトクリームは猛暑で乾ききった私にとってまさしく至高の食べ物でした。

高知アイス売店
【場 所】高知県吾川郡いの町柳瀬上分807-1
【電 話】088-850-5288
【定休日】第2・第4月曜日(7.8月は除く)、年末年始、月曜日が祝日の場合は翌火曜日
【営 業】平日11:00~17:00(LO 16:30)
     土日祝日、GW、お盆10:30~18:00(LO 17:30)
     ※12月~2月まで土日祝日10:30~17:00(LO 16:30)
見返りの滝 見ているだけで涼しげな風景zoom
見返りの滝 見ているだけで涼しげな風景
少し涼しくなったところで再び安居渓谷を目指しました。しばらく並走していた仁淀川に別れを告げ、一層山深い道を進んでいきます。いくつものトンネルを越え、安居渓谷のある仁淀川町に突入。ここからは携帯の電波すら届かない “秘境”。ゆるやかに蛇行していた道も激しくなりクネクネと左右に暴れだすのです。どんどんと高度を上げ、手元のGPSでは標高300mに。ここまで来てやっと安居渓谷の標識を発見。さらに20分ほど進むと安居渓谷の玄関口となる見返りの滝が見えてきました。

見返りの滝は玄関口であり、同時に出口でもあります。安居渓谷から帰る際にその美しさからもう一度振り返り、この滝を見てしまうということからそう名づけられたそうです。実際は道路からかなり下にあるので、簡単に振り返ることはできませんが、その迫力のある姿は非常に美しい。安居渓谷の玄関口を越え山道を登るとついに渓谷が全貌を現しました。

激しく川に削られた岩壁の合間を縫って流れるエメラルドブルーの安居川。圧巻の風景。ここからは駐車場に車を止め安居渓谷の最深部「水晶淵」を目指しました。道は舗装すらされていない、周囲は木々に囲まれ、季節がら沢山のスズメバチも姿を現したので刺激しないよう注意して進み、川が運んだ大きな岩々を越え、ついに真の“仁淀ブルー”と対面。
水晶淵 見たことのない透き通った川にテンションも上がっていくzoom
水晶淵 見たことのない透き通った川にテンションも上がっていく
仁淀川水系で最も美しいと評価されるここ水晶淵。それは晴天の空でも、ハワイの海でも見ることができない独特の「青」を放っていました。これが仁淀ブルー。一眼レフが本領を発揮する時が…。しかし、この絶景、眺めて写真を撮るだけでだけでいいのでしょうか。

泳いでいる先客を見て私は思った「泳ぎたい。」
高知にきてすっかり川ガキとなってしまった私は迷うことなく川へと飛び込みました。勢いはよかったのですが、上から眺めているだけではわからないことがひとつありました。それは川の深さ。陸からでは透明度が高すぎて浅く見えていたのです。しかし実際には足は到底届かず、小学校の頃スイミングスクールに通っていた私は何とか態勢を整えて泳ぐことができたのです。

先ほどの名越屋沈下橋同様海とは異なりとても冷たかったのですが、気温37度の高知にはとても快適。結局私だけではなく三人のうち二人が川ガキとなり、飛び込んだり、押し合ったり20歳前後の大学生が小学生のようにはしゃいで楽しみました。まさしく青春そのもの。大人になっても童心を思いだす場所。とっても素敵な場所でした。
飛龍の滝 今まで沢山の滝を見てきたがこの滝の形は非常に珍しいzoom
飛龍の滝 今まで沢山の滝を見てきたがこの滝の形は非常に珍しい
水から上がり、木の陰で一応持ってきていた代えの服に着替え今度は安居渓谷にもう一つ存在する「飛龍の滝」を目指しました。時間を忘れ水晶淵で遊んでいたせいもあり、すっかり夕方に。日も傾き先ほどよりずっと暗くなった山道を15分ほど登ると二段に分かれた飛龍の滝が姿を現しました。この滝最大の魅力は滝が落ちる間際まで歩いて行けるということ。大迫力の滝を堪能し暗くなる前に足早に山を下りました。しかし私たちの歩む道にある生き物が立ちはだかっていた!蛇。田舎育ちの私はそれが毒蛇ではないとすぐに見分けることができましたが、そうはいっても相手は蛇。少したじろぐ。蛇が退散するまでちょっと待って、遊歩道をさらに進んで行きました。まるで何かの冒険ゲームのような気分に。

なんとか車に戻ると泳ぎ疲れた私はすぐに寝てしまいました。再び起きた時には山を下っていました。仁淀川に沈む夕日を眺めながら高知市を目指す車内は早くもこの日の思い出話に花が咲いていました。

高知市に戻った私たちは「安兵衛」という屋台で名物のギョーザに舌鼓を打ち、他の仲間と合流して花火をしました。高知最後の夜に輝いたあの花火を私は一生忘れることがないでしょう。ホテルに戻った私は、楽しかった思い出に浸りながらベッドへと潜り込み、楽しかった長い高知での一日に想いを馳せながら、いつの間にか眠りについたのです。

小倉ゼミ一期生 Yuri
亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科:小倉ゼミ生
亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科 小倉通孝ゼミ生による旅のコラム。ゼミの授業を通して訪れた国内外の観光地をフレッシュな学生の視点でレポートします。

亜細亜大学 経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科
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