チャイナ エアラインが2016年9月に新規導入したエアバスA350-900は、香港と台北を結ぶ路線で慣熟飛行をこなしてきました。日本でも昨年12月には関西空港への就航を果たしています。本来の性能を発揮することのできる長距離路線に投入したのは今年1月9日のこと。
欧州路線で台北桃園空港からアムステルダムとウィーン路線に乗り入れを開始させました。
欧州行きは深夜に出発となるため日本からの接続も良く、成田空港を17:55に出発すれば、3時間の接続で乗り継ぐことができます。
日本の13空港から台北経由で飛ぶことができ、そのうち8空港は3時間程度の乗継ぎなのでストレスがありません。
台北桃園空港のターミナル1でCI073便のA350は、B-18902が待っていました。あいにくゲート付近では、機体をまぢかで見ることはできませんでしたが、ボーディングブリッジの窓から機体が見えると、搭乗への期待が高まります。
ビジネスクラスの機内は、1-2-1のリバースヘリンボーンのフルフラットシートが8列並ぶ計32席の空間。窓側に向かって斜めになるので、自然に外を見ることができます。
シートベルトは安全への気遣いを感じる3点式。離着陸時には肩ベルトも装着が指示されます。
主要な欧米路線にはボーイング777-300ERを先に就航させており、この機体と共に一歩上のサービスを提供するという「プレミアムビジネスクラス」という設定になっています。
2席が並ぶ中間席の頭上にはストウェージの無い構造。従来の機内の白い壁ではなく、木目調の壁面は落ち着きます。
シートに実際に座ってみると、ゆったりと身体が納まり視線が気にならないのと同時に、頭上が抜けていることで適度な開放感が加わり非常に居心地のいい空間になっています。
着席した乗客には、トレーに載せられた布製おしぼりがすぐに用意されます。 続けてウェルカムドリンクのサービスが行われたあと、クルーが改めて挨拶に座席の横に来ます。腰を落として乗客の名前を呼び、ワインリストを手渡しながら自己紹介してくれます。一通り座席周りの装備の説明をしてくれるのもさすがはビジネスクラスのパーソナルなサービスであると同時に、チャイナ エアラインの質の高さを感じます。
通路側の肘掛は小物入れになっていて上下に稼動します。
ここにはアメニティキットとミネラルウォーターがセットされています。アメニティはハードケースで、モロッカンオイルのトリートメントやインスティテュートカリテのリップバームとハンドクリームが入っています。ケースの内側はイラストが描かれており、飛行機のデザインがあるのは秀逸です。
窓とのスペースにはタッチ式機内エンターテイメントのコントローラーが収納されており、USBなどの電源もここから取ります。ふたの内側は大きなミラーになっていました。その横にも小物入れがあり、スマホやメガネなどを収納するのに使えます。座席横シートコントロールは光るタッチ式のもので、夜間でも操作性が良くなっています。
座席周りの特筆すべき点はテーブルランプでしょう。
シェードのついたランプは2段階の温かい光で包んでくれます。
収納式LEDもあり、今までの頭上のライトと共に3か所からの光を使い分けることで夜間飛行の環境を好みで演出できます。
物入れも壁面と同じ木目調になっており、まるで自宅の書斎にいるようなゆったりと落ち着く空間でした。
Panasonic Avionics製機内エンターテインメントは、18インチのタッチスクリーンにノイズキャンセリングヘッドフォンで視聴を満喫できます。
今回は気になっていた「シン・ゴジラ」を鑑賞。3D航路マップと共にその精細な画像を楽しみました。
離陸時は最大出力になりますが、個人的には在来機の8割程度の音に抑えられているように感じます。それでも加速感が強いのは、エンジンのパワーが大きいから。この体験は新鮮です。
離陸後は航路を北に取り、九州を縦断するルートからロシアに向けて大圏コースに乗ります。
ディスプレーの下の引き出し式のタイプのテーブルにクロスが敷かれ、前菜、サラダ、パンの載ったトレーからスタートします。そして前菜のトレーを下げた後には、カボチャスープとキッシュ。その後はメインへと続き、途中でガーリックトーストも配られます。中華は豚とマッシュルーム。洋食は魚とパスタの2種類からチョイスします。
チーズとフルーツのプレートに加えて、ハーゲンダッツアイスクリームかケーキのチョイスがあり、珈琲か紅茶で締めとなります。
食事を満喫した後はベッドメイキング。操作のし易いタッチコントロールの一押しでフルフラットになり、枕と掛け布団を使って早々に機上のベッドで休みます。
睡眠時に感じる音は、「ゴーッ」というエンジン音ではなく、どちらかと言うと「シュー」という軽い音。その違いは長時間飛行では歴然です。
ビジネスクラスの後方ギャレーにチャイナ エアライン長距離路線独特の「スカイラウンジ」が用意されているのに気付きました。プレミアムの名に相応しいサービスです。
8つもの扉の付いた収納に3段にわたってパイナップルケーキなどスナックやワインが用意され、好きな時に摂ることができます。
中国語の旅行ガイドなども置かれています。クルーが待機していますので、台湾や目的地についてひととき話をしてみるのもいいかも知れません。
30年のキャリアを持つキャビンマネージャーのDavid Fengさんと話をすることができました。
チャイナ エアラインのいいところは、クルーのマナーとお客様への献身的なサービスの質が優れている点だそうです。日本でのステイも楽しみにしており、成田だと成田山。羽田だと蒲田へ繰り出すのが好きだと笑って話してくれました。
Vanessa Wangさんはキャリア16年。
ヨーロッパ路線で特にローマとウィーンが好きとのこと。
ローマから行ったカプリ島の青の洞窟が印象に残っているそうです。
日本では新千歳路線が好きで、休暇を取ってスノーボードを楽しみに来るのだとか。行動的です。クルーの同僚同志は仲が良く、お客様へのExcellentなサービスを目指していると話してくれました。
朝食を終えて着陸態勢に入っても外はまだ真っ暗。ずっと夜中に飛んで12時間40分。
到着後の長旅に疲れも見せず集合写真に納まってくれたクルーの皆さん。
この結束がお客様へのいいサービスに繋がっています。
最新鋭機のビジネスクラスが快適であることは、到着した後に実感します。
熟睡できたので、日中に疲労は一切感じませんでした。
機内環境が、在来機の高度8,000フィート(約2,400m)から6,000フィート(約1,800m)になっていることも大きいようです。
直行便だと夜になる到着時間が経由便で朝になり、時間が有効に使えるいい例です。
世界の航空機設計評価サイト「THE DESIGN AIR」にて2016年ベストビジネスクラス2部門に選ばれたチャイナ エアラインのA350。
まさに「プレミアムビジネスクラス」と呼ぶに相応しい快適なフライトでした。
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