旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2018年1月31日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

フライト疲れを癒す、成田空港で「和だし」のおもてなし

日本国内の空港では初の試みとなった、「和だし」の試食・試飲イベント。zoom
日本国内の空港では初の試みとなった、「和だし」の試食・試飲イベント。

海外から帰国したとき、まっ先に食べたくなるものは何ですか?
私の場合、お鮨かおそば。
食べものの好き嫌いは全くなく、どこの国の料理も美味しく食べられるのが取り柄なんですが、とはいえ日本へ帰ってくると、やっぱり和食が恋しくなります。なかでも「和だし」の優しい味わいと香りに癒される…と感じるのは私だけではないと思います。

成田空港に着いたばかりの訪日外国人の方たちに、そんな日本の香りとおいしさを知ってもらいフライト疲れを癒してもらおうと、年末年始の旅行客で賑わう成田空港で、期間限定の「和だし」によるおもてなしが催されました。

成田空港第1ターミナルのビジター・サービスセンター。スマホの充電もできるから、知っておくと便利。zoom
成田空港第1ターミナルのビジター・サービスセンター。スマホの充電もできるから、知っておくと便利。

日本人旅行者も便利に使えるビジター・サービスセンター

「和だし」によるおもてなしが催されたのは、成田空港第1ターミナル中央ビル本館1階にある、ビジター・サービスセンターです。ここは、日本を訪れる外国人の方たちに向けて、日本での滞在を安全・快適に過ごしてもうらうため設置されたインフォメーションスペース。国内の観光情報を得られるだけでなく、ツアーやチケットの手配、交通情報、日本の生活・文化の情報を閲覧できるタブレットコーナーも設置されています。スマホやPCの充電をしたり、休憩スペースとして使えたり、私たち日本人も知っておくと便利です。
●Visitor Service Center(ビジター・サービスセンター)
https://www.narita-airport.jp/jp/whats_new/vsc_open_201710


試飲用に提供された「和だし」は、株式会社椎茸祭株式会社atrioの共同開発によるシイタケ出汁をベースにした100%ベジタリアン・スープ。鶏ガラやカツオ出汁を摂れないベジタリアンの方にも安心して飲んでもらえるようにとの配慮がなされました。そして、出汁料理の代表といえば、日本人も大好きな『出汁巻き玉子』。出汁料理本の著書が何冊もあるフードコーディネーター・八代恵美子さん((株)atrio代表)による、成田空港の地元・千葉県産の卵を使って作る「出汁巻き玉子」と「うまき」の実演&試食も。

さてさて、その和だしの評判はというと…

フードコーディネーター・八代恵美子さんによる出汁巻き玉子とう巻きの実演と試食。zoom
フードコーディネーター・八代恵美子さんによる出汁巻き玉子とう巻きの実演と試食。

香港マダムの評判は上々!

興味津々の様子で立ち寄ってくれたのは、香港からやって来たという賑やかなマダムのお二人。最初は温かい日本茶のサービスと思われたようです。それが、シイタケベースの「和だし」と知り、
「野菜だけでも、こんなに美味しいのね!」
と驚いていました。

香港から旅行中の女性。日本食は食べたことがあるけれど、和だしをそのまま飲むのは初めてとのこと。zoom
香港から旅行中の女性。日本食は食べたことがあるけれど、和だしをそのまま飲むのは初めてとのこと。

こちらは、ヨーロッパから到着したばかりの男性。
足早に通り過ぎようとしたところ、、、、「和だし」の香りに興味をそそられたのか立ち止まってくれました。初めて体験する日本の味にちょっと不安そうでしたが、ゆっくり口に含んで
「Good!」とひと言。
「Thank you!」の言葉を残し、またまた足早に立ち去っていきました。
「和だし」のお味、日本の想い出のひとつに残ってくれたらいいのですが。

ヨーロッパからのツーリスト。急ぎ足のところ、わざわざ立ち止まってくれました。zoom
ヨーロッパからのツーリスト。急ぎ足のところ、わざわざ立ち止まってくれました。

インドからやって来たという家族連れもとても気に入ってくれた様子。おかあさんのほうは子どもたちの飲み残しまで完食(飲)です。

帰国後に和だしでホッと一息

「あら、お出汁、なつかしい~!」
と遠くから駆け寄って来てくれたのは、海外旅行から帰国したばかりの日本人カップル。
「やっぱり日本の味はホッするわね」
とお代わりをリクエスト。

日本人の私たちにはなじみ深い「和だし」。その香りと滋味深い味わいには、癒し効果があるといわれます。最近はお茶代わりにお出汁を飲む人がいますし、ドリンクメニューに「和だし」を加えている和食の店も見かけるようになりました。二日酔いの朝には、お出汁を飲むという料理人のお話も聞いたことがあります。

海外から帰国したばかりの日本人のお二人。一番喜んでいたのは、この人たちだったかも?zoom
海外から帰国したばかりの日本人のお二人。一番喜んでいたのは、この人たちだったかも?

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて“和だし缶”登場の日は近い!?

このイベントは、JAL、ANAなどの航空会社、国土交通省、日本政府観光局(JNTO)、千葉県、成田国際空港(株)、空港周辺の自治体や商業施設によって設置された「トランジット旅客の訪日観光促進協議会」の主導により、無料ガイドの案内で空港周辺を楽しめる「Narita Transit Tour」のプロモーションの一環として開催されたもの。今回の取り組みをきっかけに、成田空港周辺の自治体とも連携を取り、2020年に開催が迫る東京オリンピック・パラリンピックに向けてプログラムの充実を図っていくことが目的だそうです。

訪日外国人の方たちにもっと「和だし」のおいしさを知ってもらうためには、ドリンクバーにお茶やコーヒーと並んで「和だし」メニューがあったり、自動販売機におでん缶や缶入りの甘酒があるみたいに、飲むための「ホット和だし缶」があってもいいと思いませんか? でも、空港のコンビニや自動販売機にそんなメニューがあったら、まっ先に飛びつくのは海外から帰国したばかりの日本人かもしれませんね。

≪協力≫
●株式会社椎茸祭
http://www.shiitake-matsuri.com

●株式会社MATCHA
https://matcha-jp.com

●株式会社atrio
https://www.atrio-food.com

Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
risvel facebook