「世界で最も住みやすい街、メルボルン」を築く、逞しいオージー達
期間:指定なし
[リスヴェル編集部]2017年11月 9日公開

エリア:オセアニア  > オーストラリア / ジャンル:観光情報・観光局・現地便り , 

世界で最も住みやすい街」として数年連続で一位となっているメルボルン。数十年前にここで暮らした時は、「ロンドン郊外の冴えない町みたい…なんて最果ての所」(おりしもその頃は「ここはダウン・アンダーの地」という曲が流行っていた)と、思った。以来、約十年間隔で訪ねているが、その度にメルボルンは大きく変貌していった。

重厚なビクトリア時代の建物の背景に輝く超高層のスカイライン。ヤラ川の岸部を飾る洒落たプロムナード。路地裏から花咲いたカフェ文化。不動産が高騰しつつ、街中にあふれる公園の緑と花。一日100人の移民を迎え入れるという、エスニック色豊かな日常。拡大しながらもしっかりと整備された社会インフラ。今やメルボルンは世界が誇る21世紀のメトロポリスと言える。

メルボルンは、他の大都市と異なり、貧富の差がそれほどなく、スラムらしきはほとんどない。豊かな生活を中流階級も享受していることがメルボルンの強みでもある。それは150年に満たないこの街の歴史を築き上げた逞しい開拓民達(一部流刑囚人達)ゆえでもあるだろう。そんな子孫の子供達が通う、モナッシュ・ハイスクールでブルーカラーの逞しさを学んだ。16歳で男女を問わず大半が自立した。家や会社や国に頼ることのない、強靭な開拓民のDNAがここには今も存在している。

残念なことに、南半球が誇る大学となったモナッシュに隣接していたハイスクールは廃校になり住宅地に変わってしまった。私自身も、数年かけて必死で払拭したブルーカラー・オージー英語を、もう取り戻すことができない。だが、メトロポリスの洗練度が増すメルボルン、その根底にある骨太なオージー根性は失わないで欲しいと願うばかりだ。

WEB-NILE でもメルボルンを紹介している。
http://www.web-nile.com/article/article.php?category=04&article=000377

寄稿記事
ジャーナリスト
篠田香子

《篠田香子 プロフィール》
国際不動産投資を専門に取材する傍ら、世界各地で激減する旅の原風景を私的に綴る。香港記者クラブ所属、著書に「世界でさがす私の仕事」(講談社)など

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