なぜトルココーヒーはユネスコ無形文化遺産に登録されたのか?
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[リスヴェル編集部]2014年02月17日公開

エリア:中東  > トルコ / ジャンル:グルメ・スイーツ , 観光情報・観光局・現地便り , アート・カルチャー・歴史・ミュージック

2013年に日本の和食と同じくユネスコの世界無形文化遺産に「トルココーヒーの文化と伝統」が登録された。今や様々な抽出方法で世界中の人々に愛されているコーヒーだが、なぜトルココーヒーがユネスコに登録されたのか?

そもそも、現在の「焙煎した豆から抽出したコーヒー」が登場したのは13世紀以降と見られる。コーヒーの歴史を調べていくと最初は一部の修道者だけが用いる宗教的な秘薬であり、生の葉や豆を煮出した汁が用いられていた。焙煎による嗜好品としての特長を備え一般民衆へも広がったと言われ、その発祥がトルコのイスタンブルだそうだ。16世紀中頃のオスマン帝国時代に、イエメン統治者オズデミル・パシャによりコーヒー豆が皇帝に献上されたのが約450年前。現在のイスタンブル旧市街でコーヒーが振る舞われるようになり、博識ある人々がコーヒーを囲んで議論を交わしていた。それはまさにカフェの元祖。これはヨーロッパにカフェが誕生する1世紀も早い時代のことだ。日本へは18世紀末にオランダ人が持ち込み、最初の記録は1804年の大田南畝による。

トルココーヒーは、細かく挽いたコーヒーの粉を水から煮立てて上澄みだけを飲むコーヒーの入れ方の一種。挽きたての豆を極めて細かく粉砕し、それに冷たい水と砂糖を加えポットにいれストーブの上で煎じ泡立てる。コーヒーハウスで飲むだけでなく、婚礼儀式や祝祭日などの社交の場でも重要な役割を担い、カップに残った粉は飲んだ者の運勢を占うなど、トルココーヒーはトルコの人々の生活、文学、歌、冠婚葬祭に欠かせない。

世界無形文化遺産に登録された主な理由は、トルココーヒー文化の知識や技術を次世代に引き継いできたこと、豊かな伝統文化を兼ね備えている無形文化財を可視化することができること、コーヒー愛好家にトルココーヒー文化の理解を深められることなどである。

トルコを訪れて、コーヒーが嗜好品となったルーツのトルココーヒーを味わいたい。カルダモンやシナモンなどのスパイスで風味付けしたトルココーヒーも人気らしく、濃厚で自然な甘みのある深い味わいはトルコだけではなく、中近東諸国でも広く飲まれている。

ユネスコの無形文化遺産に登録されたトルココーヒーをYouTubeで見る

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