ランウェイビューホテル誕生
空港を心ゆくまで眺めていたい。それも快適な場所から。この夏、飛行機好きのそんな夢を叶えてくれるホテルが誕生しました。
川崎市の国家戦略特区にできた「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」です。羽田空港は東京都大田区にありますが、多摩川を隔てて工業地帯となる神奈川県川崎市。市が整備した、国際的に通用するライフサイエンス企業と研究機関が集積する都市「キングスカイフロント」。その一角の羽田空港国際線地区が正面に位置する場所に、世界初の地域循環型の水素エネルギーを活用するホテルとして誕生しました。
ウェアハウスそのもの
滞在するだけではない、次世代型のスタイルを取り入れたデザインは、個性を発揮しています。コンセプトは倉庫を作り替えたような建物。ウェアハウスと名付けた建物の1階は、配管はむき出し、壁は打ちっぱなしのコンクリートになっており、川崎の工場をイメージしているそうです。一見冷たく見える表情もアメリカから取り寄せたというインテリアでブルックリンスタイルに統一され、優しくそしてスタイリッシュです。ニューヨークではやったロフトアパートメントとも通じる部分があります。
飛行機ウォッチングできる部屋
エレベーターホールは、全面がガラス張り。羽田空港の全景が視界に入ります。
アメリカン、デルタ、カンタスなどの機体が目に飛び込んで来て、しばらくその光景に見入ってしまいました。とどまっていたくなるエレベーターホールなどそうあるものではありません。
部屋に入ってみると、壁にはハンガーの吊るされた一本の長いパイプがあり、クローゼットの代わりになっています。天井は高く、スプリンクラーもむき出しです。ベッドを広くとっている分、テーブルは小さめになっているので、一階の広いコワーキングスペースで、お酒を飲んだり、ゆったりと仕事をして下さいねというスタイルなのだそうです。
空港大パノラマ
部屋のカーテンを開けると、そこには真っすぐに延びるランウェイビューが。B滑走路22の延長線上にホテルがあることがはっきりわかります。滑走路を横から眺められる場所は多くありますが、次々に着陸してくる飛行機を正面から眺められる場所は非常に珍しいのではないでしょうか。しかも快適なホテルの部屋の中から。窓ははめ殺しではなく、狭いながら開口しますので、大口径でなければ望遠レンズを使って撮影をすることができます。
サイクリングロードの散歩
涼しい部屋からの空港を眺めるのが一番快適ですが、少し身体を動かしたくなれば、ホテル目の前の多摩川河川敷の散歩はとても気持ちのいい場所です。河川敷を東に歩くと、A滑走路にそって各社の格納庫が見える位置へ移動できます。16Rを離陸する機体が持ち上がる様子がはっきりと確認できます。その先はD滑走路。橋を渡って行く飛行機の様子がわかります。
忘れてはいけないのが、モノレールの存在。国際線ターミナルビルに出入りする車両が良く見えます。
大浴場からも
散歩の後、汗をかいたらお風呂。ツイン仕様の部屋以外はシャワーブースのみですが、2階には大浴場があり足を伸ばせます。男性用は空港に面しており、ここでもまた飛行機を拝むことができます。同じ階にはちょっとしたエクササイズルームもあり楽しめます。
テラスレストランの存在
必ず行って欲しいのが、5階にある「キャプテンズ・グリルアンドバー」。
レストランのテラスからは、ガラスのない空港の景色が思う存分楽しめます。そして空が広いことに改めて気づかされる非常に気持ちのいい場所です。空港だけでなく、東京タワー、東京ゲートブリッジ、東京スカイツリー、葛西臨海公園の大観覧車など、東京の主たるランドマークを一望できます。陽が落ちてからは、夜風に吹かれて見る空港の夜景に旅心がくすぐられるのではないでしょうか。
アクセスは
2020年に向けて様々な建築が急ピッチで進められているようです。空港連絡道路が開通すると、羽田空港国際線ターミナルビルまでは車で5分の距離になるとか。今はまだエアポートホテルとしての利用は不便かもしれませんが、JR川崎駅前からフリーシャトルバスが走っています。穴場の今こそ、東京の航空ファンや鉄道ファンの人こそ泊まりに来て欲しい場所です。
どの時間の眺望も
朝の独特なすがすがしい澄んだ空気の中、昼間の活気溢れる時間、美しい夕暮れ時、夜の闇の中に浮かび上がる空港。どんなに好きな光景も丸一日眺めていると疲れてしまいますが、快適なホテルの部屋からならそれが可能です。新たな滞在型のホテルの誕生に喝采を送りたいと思います。
協力:川崎キングスカイフロント東急REIホテル
⇒ https://www.tokyuhotels.co.jp/kawasaki-r/index.html