旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2018年7月29日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

さわやかなセブの空で操縦体験

櫻井チーフパイロットの操縦で空へzoom
櫻井チーフパイロットの操縦で空へ

セブ トップとは
「セブ トップ」はマクタン・セブ国際空港のターミナルビル反対側の西側ジェネラルアビエーション(定期便以外の航空輸送)地区にあります。

セスナ172を所有し、遊覧飛行の5つのコースに加えて、体験操縦のできるコースもあります。飛行学校としての機能も有しており、教官資格のあるパイロットが指導にあたります。日本から比較的近いことや、料金が安いこともあり、社会人でも休みを分割取得して操縦士訓練を行う日本人が多数います。

空へ向かう
格納庫併設の事務所に向かうと二階の待合室に案内されます。窓からは搭乗機となるセスナ172 RP-C5003が収まっているのが見えます。フライトの内容とコースの説明を受けて、さあ出発です。

機長席には日本人パイロットの櫻井さん。高揚した気分で副操縦士席に乗込むとヘッドセットを渡してくれます。速度計、高度計、姿勢儀、エンジン回転計の4つを見るように指示があり、セブ空港タワーとのコンタクトが始まりました。

朝のセブ空港には出発・到着ともに旅客便が多くあります。3,300mの滑走路は、セスナ172型機には長過ぎるのですが、旅客機と共存できる環境は貴重です。着陸してターミナルビルに向かうセブパシフィック航空のエアバスA320が前方をタキシングしていきます。南風の運用で滑走路22に向かうのに、左手に新しい国際線のターミナル2を見ながら滑走していきます。小型機専用の空港では味わえない壮大さ。フィリピンのパンパシフィックエアライン エアバスA320が離陸したあとに、セスナの離陸許可が下りました。

マクタン・セブ空港が大空港に見えますzoom
マクタン・セブ空港が大空港に見えます

離陸へ
セスナ機の低い目線には広すぎる滑走路が長く伸びています。機体を中心線に乗せてエンジン回転数を最大にし、速度が65マイルになったところで操縦桿を引き起こすと機体はふわっと浮き上がりました。進路を南に取り、マクタン島の南の海側リゾートホテルを眼下に見ながらボホール島を目指します。オランゴ島からの環礁が広がり、海の青さを白く薄めています。その色彩のコントラストはまさに絶景。

海の碧さが目に染みるzoom
海の碧さが目に染みる

高度を1、500フィートに保ち、エンジン2,300回転を維持しながら海を越えていきます。ボホール島の山並みを頭に入れて、飛行していく方角が変わらないように維持していきます。

チョコレートヒルズ
ボホール島に到達すると、島並みが他と違う事に気が付きます。
小さな山がそこここに広がっているのです。板チョコレートの形状に似ていることからチョコレートヒルズの名前が付けられました。

この山並みを超えて旋回。山肌の鮮やかな緑が窓の外いっぱいに広がり、緑が目に染みるようです。写真を撮るために操縦を櫻井さんに変わって貰い、後席に移動します。座席を目いっぱい後ろにスライドさせ、機長席との間にできた空間を利用して身体を少し狭くなった後席に滑り込ませます。身体の動きと共に小さな機体も揺れますので、スリルがあります。

左側の窓は開閉式で、写真が撮り易くなっています。風を感じるものの、強すぎる訳では無く上空で感じる自然の息吹が爽やかです。セスナ独特の高翼と車輪が入った山の様子は、この機体からのみ撮れる貴重な写真です。

緑あふれるチョコレートヒルズzoom
緑あふれるチョコレートヒルズ

帰投の時のお楽しみ
時間になると、進路をマクタン島に向け帰投となります。
海上上空になると、櫻井さんの「ジェットコースターは大丈夫ですか」の問いに「ええまあ」と応えるや否や、スティープターンと呼ばれる45度以上の旋回や急上昇、急降下を試してくれます。降下から上昇に移る動きが一番激しく感じ「うわーっ」と叫んでしまいました。蒼い海、碧い空が目の前に展開しています。

常に海が見えている操縦席zoom
常に海が見えている操縦席

その後、改めて滑走路22からの着陸に備え、マクタン島の北側へ飛行して行きます。滑走路を左側に望み、海の上に出て、左旋回。

セブパシフィック航空のエアバスA320の離陸を待たせながらの進入です。格納庫は、南側で滑走路奥になりますので、滑走路端ですぐに着陸せずに半分ほど飛行してから接地をしましょうと指示がでました。

エアバスA320を待たせて着陸zoom
エアバスA320を待たせて着陸

約45分の飛行は、ここで終わり。リゾートの絶景を味わうには、地上からだけではありません。空からの遊覧は五感を刺激され、非常に強い旅の想い出として残ります。それに操縦が加われば極上の体験。日本語のホームページがあり、日本人パイロットの操縦で空を飛ぶ体験を「セブ トップ」で是非。

セブ トップ 日本語HP⇒ http://www.cebutop.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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