旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2018年7月18日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

LCCのイメージが変わる、ノックスクートでバンコクへ ~ノックスクート&ノックエアでタイは自由自在≪第1回≫

ノックスクートのニックネームは「Big Bird」。成田=バンコク線はすべて大型機材のトリプルセブンで運航。zoom
ノックスクートのニックネームは「Big Bird」。成田=バンコク線はすべて大型機材のトリプルセブンで運航。
旅のツールとしてすっかりおなじみになったLCC(格安航空会社)。低価格は大きな魅力だけれど、国内や近距離の海外はともかく、中距離以上のフライトとなると乗り心地、サービスなど、いろいろ不安になってきます。私自身も、旅慣れた友人たちと一緒ならLCCを利用しますが、ひとりの時は躊躇していました。その苦手意識を克服すべく、今回はタイのプーケットを目指し、思い切って「LCCで行く、おひとりリゾート旅」にチャレンジ!
成田からバンコクまでの国際線、さらにタイの国内線、いずれもLCCを乗り継いでたどり着いたプーケットの旅を、4回に分けてご紹介します。

LCCのイメージが変わる! その1-成田空港第2ターミナルから発着

利用したのは、国際線が「ノックスクート(Nok Scoot)」、タイの国内線が「ノックエア(Nok Air)」。「ノックスクート」は2014年、シンガポール航空のLCC「スクート」と、タイの「ノックエア」により設立された合弁会社で、今年6月1日から成田=バンコク便が就航したばかりです。
成田空港第2ターミナルのチェックインカウンター。搭乗時間の3時間前からオープンします。zoom
成田空港第2ターミナルのチェックインカウンター。搭乗時間の3時間前からオープンします。
まず、ノックスクートの大きなポイントが、フルサービスのエアラインと同じ成田空港第2ターミナルでチェックインできること。「LCC=ターミナルが遠くて不便、食事やお買い物の施設がいまひとつ…」というデメリットは全くありません。反対に、間違って第3ターミナルまで移動してしまわないよう注意が必要ですね。

チェックインカウンターは搭乗時間の3時間前からオープンします。並んでいるのはほとんどがタイからの旅行者と思しき人たちばかり。しかも帰国便のためかみなさん、ものすごい荷物の量なんです。国王が愛用したことで人気に火が付いたオニヅカタイガーのシューズ、炊飯器などの家電製品とともに目立っていたのは、大量のピスタチオ! なんでも日本に観光で訪れるタイの人たちの間では、旅の最後にアメ横でピスタチオの大量買いが定番コースなのですって。
「なぜに、ピスタチオ?」、その理由はよくわかりませんが、お土産をたくさん手にした人たちに囲まれ、すでにバンコクの空港に到着した気分になってしまいました。

LCCのイメージが変わる! その2-機内が広い!

LCCといえば、「機内が狭くて窮屈」というイメージもつきまといます。ところがノックスクートの場合、機材がすべて大型機のボーイング777(トリプルセブン)。ゆったりとした機内に、窮屈な印象はありません。
フルサービスのエアラインにも劣らない、ゆったりとした機内。黄色の座席はエコノミーでもシートピッチが広め、ビジネスクラスに相当する「スクートビズ」は黒の皮張りシートです。zoom
フルサービスのエアラインにも劣らない、ゆったりとした機内。黄色の座席はエコノミーでもシートピッチが広め、ビジネスクラスに相当する「スクートビズ」は黒の皮張りシートです。
前方の24席に配置された黒い皮張りのシートが、ビジネスクラスに相当する「スクートビズ(ScootBiz)」。機内に預ける荷物は30kgまで無料、優先搭乗もあり、ワンプレートながら機内食が付きます。
エコノミークラスはシートピッチによって青い座席の「標準」、黄色い座席の「スーパー」と「ストレッチ」の3種類。さらにスーパーとストレッチはブロックの最前列で前に座席がないシート、通路側、窓側などで細かく料金設定が分かれていて、一番安い普通席の運賃にプラス1300円からアップグレードできます。

静かに過ごしたいときにおすすめなのが、スクートビズの後ろのワンブロックにある「サイレンスエリア」。ここは11歳以下の子どもが利用できないシートでなので、私のような「おひとり」にはぴったり。成田のチェックインカウンターでアップグレードしたところ、サイレンスエリアのストレッチシート最前列がプラス4800円。エコノミークラスながらゆったりと過ごせ、とても快適でした。

LCCのイメージが変わる! その3-美人ぞろい!?フレンドリーでテキパキ動く乗務員たち

客室乗務員の印象は、みなさんとっても仲良しでチームワークがいいということ。搭乗前にクルーが勢ぞろいしてスマホで記念写真を撮り合うことも少なくないそうです。その場面に遭遇し、便乗して撮らせてもらったのが下の写真です。
この日のクルーが勢ぞろい。日本語が話せる乗務員も必ずいるから安心です。zoom
この日のクルーが勢ぞろい。日本語が話せる乗務員も必ずいるから安心です。
バンコクまでのフライトは約6時間。離陸後、約1時間で機内サービスが始まります。スクートビズ以外、食事とドリンクは有料。ビールなどのアルコールに関してはすべて有料です。カレー、パッタイなどのタイ風料理ののほか、カップ麺、スナック類があり、メニューを見ながら選ぶのがなかなか楽しい。ちなみに、搭乗前に機外で購入したお弁当、アルコール飲料の持ち込みはできないそうです。
機内アナウンスは英語、タイ語、日本語の3種類。乗務員のなかにも必ず日本語を話せる人がいるので、不安はありません。
スクートビズは機内食付き(アルコールは別)。エコノミーはメニューから有料で料理やスナックを選べます。zoom
スクートビズは機内食付き(アルコールは別)。エコノミーはメニューから有料で料理やスナックを選べます。
タイ人の女性パイロットも活躍中!

バンコクから帰りのフライトは、少々奮発してスクートビズを利用しました。これは予約時から決めていて、バンコク発が深夜、成田着が午前中ということもあり、機内でゆっくり眠りたかったためです。スクートビズへのアップグレードは当日のチェックインカウンターでできますが、事前に予約しておけば優先搭乗でき、ミールリクエストも可能です。400席以上ある大型機のチェックインと搭乗にはかなり時間がかかるため、優先搭乗のメリットは少なくありません。チケット購入後のアップグレード料金は変動する場合があるので、どうせ利用なら予約と同時にアップグレードしておくほうがいいですね。

バンコクから帰国便のクルーは、機長が男性、副操縦士が女性という組み合わせ。成田に到着後、少しお話を聞くことができました。ノックスクートでは現在、機長と副操縦士を合わせ7名の女性が活躍しているそうです。
「女性が働きやすい職場ですか?」
との質問に、副操縦士のウィリさんの答えは、もちろん
「イエス!」
将来は機長を目指して勉強中とのことでした。
帰国便でお世話になった機長のカヴァンポンさん(左)と、副機長のウィサさん。zoom
帰国便でお世話になった機長のカヴァンポンさん(左)と、副機長のウィサさん。
スクートビズは事前予約、普通席のアップグレードは当日のチェックインカウンターでするのがおすすめ

バンコクは以前、新空港であるスワンナプーム空港を利用したことがありますが、LCCの拠点・ドンムアン空港での乗り継ぎは初めてでした。前回とは違うちょっとディープな旅になったこと、そしてLCCに抱いていたイメージが変わる、ゆったりとした機内が印象的でした。

ノックスクートの成田=バンコク間の運賃は、エコノミーが片道9800円~、スクートビズが2万9800円~。エコノミーの場合、1000円台からの追加料金でより広く快適な座席にアップグレードできます。ビジネスクラスに相当するスクートビズでは事前予約のメリットが大きいですが、エコノミーの普通席からシートピッチが広めのスーパー、ストレッチへのアップグレードは、当日の混雑具合を見て決めるのがいいかもしれません。そんなに混んでいなければ、普通席でも十分だからです。旅の予算や自分の好みに合わせカスタマイズできるのがLCCの魅力であり、上手に利用するポイントです。

次回のコラムでは、バンコクからプーケットへ飛んだタイ国内線のLCC「ノックエア」をご紹介します。

●協力:ノックスクート
www.nokscoot.com
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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