旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2018年6月9日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

火の女神・ペレが棲むハワイ島へ、今こそ行きたい理由

キラウエアの火口に棲むといわれる、火の女神・ペレは、大地を創造する神様としてハワイの人々から崇められています。zoom
キラウエアの火口に棲むといわれる、火の女神・ペレは、大地を創造する神様としてハワイの人々から崇められています。
ハワイ諸島のなかで一番大きく、『ビッグ・アイランド』のニックネームをもつハワイ島。このところ、キラウエア火山の活動が活発になったことで、日本でもたびたびニュースに登場し、注目している人も多いのではないでしょうか。そのハワイ島へ「今だからこそ、行きたい!」、その理由をご紹介しましょう。

ハワイ島ではいつでも島のどこかで溶岩が流れ、島も成長し続けています。zoom
ハワイ島ではいつでも島のどこかで溶岩が流れ、島も成長し続けています。
地球上の自然がギュッと凝縮された島

ハワイ島の広さは四国の約半分。ハワイのほかの島々をぜんぶ合わせてもまだ足りないくらい、ニックネーム通りの大きな島です。この島には、マウナケア、マウナロアという4000m級の山がそびえ、さらに地球上の13の気候帯のうち11が存在します。車で30分も走れば天気も気候帯も標高も変わり、例えば冬の時期なら常夏のビーチで海水浴を楽しんで、半日後にはマウナケア山頂で雪を見る、そんな体験も可能。地球上の自然を凝縮したような島なのです。
火山が作り出したダイナミックな光景は、ハワイ島ならではの魅力。zoom
火山が作り出したダイナミックな光景は、ハワイ島ならではの魅力。
ハワイ島の人は、火山慣れしているってホント!?

何年かに一度、活動が活発になるキラウエア火山。今回の活動は長期化していて、周辺の住宅の一部にも被害が出ています。まっ赤な溶岩が迫り、激しい水蒸気をあげながら海に流れ落ちる様子は衝撃的で、「ハワイ中が溶岩に埋め尽くされてしまうのでは?」なんて、心配している人もいるようですが…。
そもそもハワイ島ではいつも島のどこかで溶岩が流れ出しています。今回の噴火にしても、実際に被害を受けているのは広大な島のわずか1%程度。しかもその住宅地は、噴火による影響があるかもしれないことを前提に販売されているとのこと。
また、キラウエア火山は日本の火山のように突然、前ぶれもなく大爆発を起こすことはほとんどないといいます。今回の噴火も予測されていたことで、ハワイ大学の火山学者は「35年間続いているキラウエアの活動の一つ」と言います。噴火の予知とともに流出する溶岩の道筋も予測しやすく、避難指示が早めに出されます。焼失した住宅があるものの、人的被害が出ていないのはそのためなのです。

溶岩に対する感覚も私たち日本人とはかなり違っていて、いつ溶岩が流れてくるかわからない場所や、その溶岩の上に家を建てて住んでいる人もいて、びっくり! 電気もガスも水道の通じてないにもかかわらず、です。多少の不便はあっても、ここにしかないダイナミックな光景と、静かな環境にひかれて暮らす人は少なくないのです。
溶岩の上に家を建てて暮らしている人も。電気は自家発電、生活用水は雨水をためて利用しています。不便さに代えがたい静けさと、なによりペレのパワーを感じられるのだそうです。zoom
溶岩の上に家を建てて暮らしている人も。電気は自家発電、生活用水は雨水をためて利用しています。不便さに代えがたい静けさと、なによりペレのパワーを感じられるのだそうです。
パワーを秘めた火の女神は人気者

キラウエアの火口に棲むとされているのが、火の女神・ペレ。古代よりハワイの人々は火山が爆発するたびにペレのパワーが高まり、新しい大地の創造が始まると考えました。レイや食べ物、お酒を火口に投げ入れ、怒りを鎮める…という人もありますが、本来はそのパワーに敬意を表してのことなのだとか。
そのペレの性格は、火山のイメージ通り、情熱的。地元の人たちからはパワフルな神様としてとても敬愛されているのです。神話にたびたび登場するほか、水滴状に固まった溶岩は「ペレの涙」、溶岩に含まれるガラス質が風に飛ばされキラキラ光るのは「ペレの髪の毛」と呼ぶように、彼女にちなんだ言い伝えや言葉が多く残ることも、その表れでしょう。
噴火の影響を受けているのは島のわずか1%。リゾートエリアへの影響は全くありません。zoom
噴火の影響を受けているのは島のわずか1%。リゾートエリアへの影響は全くありません。
溶岩が夜空を染める幻想的な光景に出合うなら、今!

最後の写真は、ハワイ諸島最高峰、標高4205mのマウナケア山頂のサンセットタイム。富士山より高いここは、世界有数の天体観測基地がある場所。ツアーに参加すれば山頂まで車で行き、感動的なサンセットやサンライズとともに、星空観測を楽しむことができます。
さらに火山活動が活発な今、日が暮れるとはるか遠くの火口から流れ出す溶岩が夜空に反射して見えることもあるのだとか。島のほかのエリアでも、赤々と燃える溶岩が空に映り、夕日のように染まるのが見える場所があるといいます。そんな幻想的な光景、ぜひ一度見てみたいと思いませんか。
富士山より高い、マウナケア山頂から望むサンセット。今なら、溶岩が空を赤く染める光景が見られるかも?zoom
富士山より高い、マウナケア山頂から望むサンセット。今なら、溶岩が空を赤く染める光景が見られるかも?
現在、『ハワイ火山国立公園』に入場規制があるものの、その他の観光には全く影響はなく、日本からのハワイ島直行便とホノルルからの乗り継ぎ便も通常運航しています。
火の女神・ペレの創造のパワーはまだしばらく続きそう。この時期ならではの体験ができる楽しみがあります。「今だからこそ、行きたい!」と思うのは、こんな理由があるからなのです。

ハワイ州観光局では9/30まで、アンケートに答えて「ハワイ島へ行きます宣言」をすると、往復航空券など豪華なプレゼントが当たるキャンペーンを実施中。生きている島、ハワイ島を実感できるチャンスですよ。

●ハワイ島応援キャンペーン
https//hawaii-campaign.jp/hawaiisupport

Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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