旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2018年1月4日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

空飛ぶ初詣 “ソラシドエア”初日の出フライトに旅が盛り込まれた

空の上からのご来光zoom
空の上からのご来光

「空から笑顔の種をまく」のキャッチフレーズで九州と日本各地を結ぶソラシドエア。2017年に就航15周年を迎え、同社で初めての初日の出フライトに、業界初の遊覧だけではなく旅の要素を盛り込んだ初詣のできるコースが誕生しました。

「2018年元日 初日の出&初詣フライト」2018便は、羽田空港を出発し、南アルプス上空で富士山の向こうに初日の出を迎えます。飛行機はそのまま本社のある宮崎空港へ直行し、青島神社での初詣、その後ANAホリデイ・イン リゾート宮崎で昼食、羽田へ戻るスケジュールです。

出発前にはセレモニー
羽田空港第2ターミナルビル54番ゲートでは、記念セレモニーが開催されました。横断幕を持った代表取締役社長の高橋宏輔氏、女性副操縦士の上條さん、着物姿の客室乗務員内田さん、整備士の小野口さんが並び式典スタートです。
高橋社長からは、15周年の記念企画なので他社の周遊フライトにひとひねりを加えようとのアイデアが出てスタートし、九州のエアラインらしく首都圏の皆さまを、縁起のいい青島神社にお連れし初詣して貰おうと決まったこと。九州とお客様をつなぐ役割を果たしたいとの挨拶がありました。

セレモニーで高橋社長の挨拶zoom
セレモニーで高橋社長の挨拶

搭乗口では、社長以下社員が参加者一人一人に記念品を手渡してお見送りします。ボーディングブリッジの天井には折鶴が飾られ、新春を迎えた清々しい気持ちに加え、初日の出フライトへ期待感が高まります。
外を見るとまだ夜明け前の暗いスポットで「2018初日の出フライト」と書かれたネオンサインボードを持った整備士たちが見送ってくれました。

新春の空へ
5時58分ボーイング737-800型機、JA810Xの2018便は、まだ漆黒に包まれたままの羽田空港から新春の空へ駆けあがりました。
高橋社長のアナウンスでは、全国各地から富士山に飛ぶ11機のフライトの飛行ルートは抽選であり、初参加にもかかわらず富士山西側の低い高度で鑑賞できる一番いい場所を引き当てたとの報告があり、機内から拍手と歓声が沸き起こりました。松末機長のアナウンスは、「イケメン副操縦士の中村、美しい女性副操縦士の上條に加え、野獣の機長」と笑いを誘っていました。
客室乗務員はよりすぐりの6名を揃えたとのことで、通常乗務より2人多い編成となっています。

鑑賞ポイントへ向かう途中では、富士山がすぐ下に見える大迫力の場面もあり、定期便に比べて低い高度が実感できました。高度17,000フィート(5,200m)で富士山の1.4倍の高度となります。初日の出の時刻となる6時42分を待ちつつ、上條副操縦士からの機内アナウンスで、夜明け前の状況を常用薄明や市民薄明と呼ぶことが知らされます。
航空路の交差点となるポイントにはパイロット特有の呼び方、5文字の名前が付くこと。今回はALPUSポイントで鑑賞できると、ルートマップを見ながら鑑賞ポイントへのルートの説明がありました。山梨県と静岡県にまたがる赤石山脈南東に位置する「ざるが岳」がその場所です。
上條副操縦士のアナウンスは非常に興味深く、普段聞けない話が満載で、参加者も楽しむことができたのではないでしょうか。     

いよいよご来光
「2018年の新しい幕開け、どうぞこの素晴らしいひとときをごゆっくりとお楽しみ下さいませ」琴の音色をバックにした機内アナウンスに導かれるように、空がうっすらと白んできたと思うと、水平線の上の雲の縁辺りが徐々に金色に輝きだしました。  
機体は時計回りに旋回し、両側の窓から公平に初日の出を見ることができます。富士山と初日の出がついたり離れたり。西側の機窓でも、雪を頂く南アルプスの壮麗な光景が目に焼き付きます。
約30分の鑑賞は6回の旋回を繰り返し、堪能させてくれました。
その後は渥美半島、志摩半島、紀伊半島南岸、室戸岬、足摺岬を経由して宮崎空港へ向かいます。

明ける前の空とイベント満載の機内zoom
明ける前の空とイベント満載の機内

機内でおせち
初日の出鑑賞の後は、おせち料理が配られ、飲み物サービスが始まりました。  
神々しいご来光の余韻に浸りながら、ゆったりと頂くおせちは、地上での物とはまた違って格別。特製おせちには、金柑蜜煮、チキン南蛮、飫肥天(おびてん)など宮崎県産の食材が多く使われ黒い重箱を埋めています。

おせちを楽しんだ後には、大分県杵築市(きつきし)から提供された着物姿の客室乗務員内田さんの進行のもと、高橋社長による機内抽選会がありました。
モデルプレーン、スポーツタオル、バゲージタグやメモ帳&ボールペンセットなどが当たり、あちらこちらから拍手が聞こえました。

機内食は特製おせちzoom
機内食は特製おせち

青島神社 初詣へ
盛り沢山の内容の2時間半程のフライトを終え、宮崎ブーゲンビリア空港に到着。宮崎県のゆるキャラ「みやざき犬」が横断幕で歓迎です。参加者は観光バスに乗って青島神社へ向かいます。

国の天然記念物「鬼の洗濯板」を見つつ青島入口の鳥居をくぐり、青島神社へ参拝します。参加者はソラシドエア主催の正月特別祈願に参加することになっており、行列の参拝者を横目に社殿へ上がることができました。

絵馬のトンネルを抜け、青島神社最大のパワースポットとなる元宮を参ります。樹齢350年を超える5千本もの亜熱帯性植物群落を抜けると、縁結びとしても有名な「むすびこより」があります。一番人気のある良縁、夫婦円満のピンクのこよりが羽田空港で配られた記念品の中に収められていました。参加者は境内の「夫婦ビロウの木」に願いを込めて結びました。

青島神社参拝zoom
青島神社参拝

ANAホリデイ・イン リゾート宮崎でランチ
獅子舞と着物姿の女性に迎えられ桝酒が振舞われる中、食事会場では日向灘の刺身や宮崎牛の陶板焼きなどの懐石料理が並びます。参加者全員が舌つづみ。素晴らしいツアーを振り返っていました。 

昼食会場ANAホリデイ・イン リゾート宮崎と記念品zoom
昼食会場ANAホリデイ・イン リゾート宮崎と記念品

笑顔を乗せて帰路へ
帰路のフライトは、往路と同じチャーター便となる0101便が羽田に向かいます。機内アナウンスでは、宮崎をはじめ九州各県の特産品などが紹介され、機長から「ソラシドエアで、また他社さんの便であっても、これを機に是非九州に足をお運び頂ければ幸いです」との挨拶で締めくくられました。

ツアーにしたことで、飛行機好きのイベントから一般旅行客へ客層が動いた感があります。
参加者に話を聞くと、初めて初日の出フライトに参加したグループが多く見受けられました。60代のご夫婦は旅が好きで、初日の出フライトと青島までのツアーが楽しめると申し込みました。食事も美味しく大満足だと喜びます。来年は親戚も誘いたいと話してくれました。
母娘のお二人連れも初日の出フライトは初参加。初日の出と富士山が大好きなお母様への娘さんからのプレゼントだそうです。お母様もとても楽しかったとニコニコ話されていました。

「Seed Smiles in the Sky・・・空から笑顔の種をまく」のキャッチフレーズ通り、羽田空港到着ロビーは記念品の入った緑の紙袋を持つ笑顔の参加者で溢れていました。

ソラシドエア就航15周年記念企画「2018年元日 初日の出&初詣フライト」
ツアー料金:窓側より2席2名で 98,000円(税込)
      窓側より3席3名で137,000円(税込)
      通路側1席1名で  39,000円(税込)
ツアー発売:宮交観光

ソラシドエア ⇒ https://www.solaseedair.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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