ミュンヘンは、バイエルン州最大で日本から直行便の飛ぶ、観光とビジネスの街。ここには世界に誇れる産業が多くあります。バイエルン州観光局の協力でその一部を見ることができました。
モノ作り① プレミアム製紙工場
プレミアムな紙の製造で世界的に名を馳せるのはGMUND=グムンド。
1829年創業で188年の年月を費やして現在の確固たるファインペーパーメーカーの位置を揺るぎないものにしています。
紙は1キロ製造するのに75リットルもの水を使います。テーガンゼー湖畔で製造し、水はオゾンによる浄化処理を行い再利用されています。消費電力の75%を水力と太陽光の自家発電でまかなうという徹底した環境保護を続けています。
同社の紙は、素材、色、エンボス、表面加工に特徴があり、10万種類の製品を製造しています。独特なのは、グムンドカラーと呼ばれる48色の基本色。
ここから多くの配合で色が生まれます。ミュンヘンらしい原材料はビール。
ホワイト、ラガー、エール、ピルスナー、黒それぞれのビールをもとに紙ができあがります。香りが残ることはないので、色と手触りから想像してみると紙を使うのが楽しくなってきます。
ルフトハンザドイツ航空をはじめ、自動車メーカーや多くのファッションブランドが顧客に名を連ねており、質の高さを評価する顧客が逆に保管しておいて欲しいと製品を戻して来ることがあるのだとか。
日本では文具の老舗「銀座・伊東屋」で取り扱いがあり、一部の商品はアマゾンでも購入することができます。
使っていると自然の光景が浮かんでくる、そんな商品です。
モノ作り② ランテンハンメル醸造所で酒造りを見る
「LANTENHAMMER」は1928年を起源とする、ブランデーやリキュールの醸造所。ヨーロッパ各地から収穫した果物を集めてリキュールを造ります。その他、バヴァルカ銘柄のジンとウォッカも製造しています。醸造の手法を聞ける他、テイスティングをしてから好みの商品を購入できます。
果実ジュースやジャムも作っていますので、家族連れでも楽しめます。
見学① サイトシーイングホテルとは
バイエルン州では、ホテルの中にもアートの要素を取り入れようと、40軒のサイトシーイングホテルの選定を行っています。その中の一軒がミュンヘン南部郊外のテーガンゼー湖畔の五つ星「ホテル バッハマイヤー ウェイザッハ」。伝統とモダンの完璧な融合を計ります。146部屋のうち半分以上の77室がスイートという造り。部屋に掲げられた絵画がアート心をくすぐります。
MIZU-ONSEN SPAと呼ばれる1、000㎡ものスパや、多くの個室を持つバイエルン料理を提供するレストラン。山と湖に囲まれた環境は心と身体が癒されることでしょう。
見どころ② バイエルン州立歌劇場
19世紀前半に建てられたドイツを代表する歌劇場の一つ。800㎡のステージはドイツ一の規模で、なんとバックステージは14,000㎡の広さで世界一です。第二次世界大戦で焼失したものの、1963年に再建されました。
6階に及ぶ2,100席はピンクのモケットに木枠が施され、調和が図られています。5層の観劇席にはシャンデリアが装飾され、その数に圧倒されます。
上階から見下ろすと、座席の並びを見ているだけで荘厳な中にも華やさが際立ちます。
演目はオペラやバレエが中心ですが、見学当日は夜に行われるミュージカル「アリス・イン・ワンダーランド」の舞台装置を設置する作業中。三階の舞台正面に位置するロイヤルボックスにも入ることができました。
この場所に座るには、華やかに着飾る正装しか似合いません。
見どころ③ 現代博物館ピナコテークデアモデルネで鑑賞会
ピナコテークと称する5つの博物館群からなり、その中で現代美術を展示するのがモデルネです。二階には近代絵画が展示され、地下に向かう階段部分より
車、家具や電化製品など工業デザインが壁一面に装飾されたコーナーから始まります。日本の製品も多く、初期のパソコンが展示されており、近代から現在をたどって見ることができます。
バイエルン州は、ドイツアルプスの中で山、森や湖が点在する有数の観光資源を持つ場所でありながら、BMW、アウディ、シーメンス、アディダスやプーマなど名だたる大企業も本社と工場を構えるハイテク産業の拠点でもあります。
このバランスの良さが、強みとなって力強いドイツの産業を支えます。
その一端を見ることができた有意義な大人の社会科見学でした。
協力:バイエルン州観光局(日本語)
⇒ https://www.bayern.jp/
ルフトハンザドイツ航空
⇒ http://www.lufthansa.com/jp/ja/Homepage