旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2017年10月20日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

カナダ・ケロウナのワイン街道を巡る ~その1:丘の上の美しきワイナリー

ユニークなオブジェが迎える『Summerhill Pyramid Winery(サマーヒル・ピラミッド・ワイナリー』。zoom
ユニークなオブジェが迎える『Summerhill Pyramid Winery(サマーヒル・ピラミッド・ワイナリー』。
カナダを代表するワイン産地、ケロウナ

『ケロウナ』という地名を聞いたことがありますか? 日本ではまだあまりなじみがありませんが、カナダ西海岸のブリティティッシュ・コロンビア州にあるオカナガン地方最大の都市。バンクーバーからは飛行機で約1時間、車でも4~5時間の距離のため、週末を利用してバンクーバーから遊びに来る人も多い場所です。
ここは東海岸のナイアガラと並ぶ、カナダの二大ワイン生産地。南北に約135kmの長さで横たわるオカナガン湖を囲む丘陵地帯にはブドウ畑が点在し、大小のワイナリーとともにビールやシードルを造るブリュワリーが270以上点在。そのうち、州認定のワイナリーは40以上あります。

ブドウ栽培も醸造も100%オーガニックのワイナリー
ブドウ畑と湖をバックに、ウェディング・セレモニーなどのパーティー会場としても人気があります。zoom
ブドウ畑と湖をバックに、ウェディング・セレモニーなどのパーティー会場としても人気があります。
オカナガン湖周辺にあるワインルートのなかで、『Lake Shore』と呼ばれる東岸にあるのが、『Summerhill Pyramid Winery(サマーヒル・ピラミッド・ワイナリー)』です。1989年、ステファン・サイプス氏が自宅ガレージから始めた小さな醸造所が起源で、現在でも家族経営のアットホームなワイナリー。1991年にはオカナガン湖を背景に広がるブドウ畑とともに醸造室が、2007年にはビン詰め作業を行う工場とワインセラーもオーガニックの認証を受けています。これは、カナダ全土でも最大規模のオーガニック・ワイナリーとのこと。また現在では、ブドウ栽培においてオーガニックよりさらに厳しい基準が設けられた循環型の自然農法であるバイオダイナミックの認証も受けています。
オカナガン湖を一望できるビストロの料理もすべてオーガニック。zoom
オカナガン湖を一望できるビストロの料理もすべてオーガニック。
ワイナリーの敷地内には40匹のニワトリを飼育し、雑草の駆除に大活躍。また養蜂場もあり、ここで採れたハチミツも販売しています。オカナガン湖を一望できるビストロで提供される料理も、すべてオーガニック。ここで使い切れなかった食材や食べ残しは、ワイン醸造の際に出るブドウの皮などともに堆肥にされ、再びブドウ畑へ戻されるという見事な循環ができあがっています。

世界NO.1のスパークリングワインの秘密は、ピラミッドにあり?

比較的温暖で日照時間に恵まれたオカナガン湖周辺でも、このワイナリーがあるあたりはアメリカのナパバレーよりさらに乾燥していて、昼間は暖かく夜になると急激に気温が下がる寒暖差が特徴。その気候を利用して栽培されるピノグリ、シャルドネなどは白ワインとともにスパークリングワインにも格好の品種。1991年、初めてリリースされた『Cipes Brut(サイプス・ブリュット)』はニューヨーク・タイムスやウォールストリート・ジャーナルで絶賛され、2010年にはロンドンで開催されたスパークリングワインの国際コンクールでベスト・スパークリングワインの栄誉を獲得しています。
エジプトの女神が飾られたピラミッド型のカーヴ。ワインの熟成とともに新月と満月の夜には地元の人が集まりメディテーションが行われるそう。zoom
エジプトの女神が飾られたピラミッド型のカーヴ。ワインの熟成とともに新月と満月の夜には地元の人が集まりメディテーションが行われるそう。
ブドウの栽培法、ワインの醸造技術の高さとともに知られているのが、ユニークな熟成方法。なんと、ピラミッド・パワーでワインがいっそう美味しくなるというのです。2000年に完成した三角形のワインカーヴは、エジプトのピラミッドの黄金比に忠実に16分の一の大きさで作られたもの。さらに東西南北の配置もエジプトにあるものと同じ。温度管理がされたカーヴ内にはエジプトの女神像とともに南アフリカ産の大きな水晶が置かれ、ヒーリング音楽まで流すというこだわりぶり。ビン詰後のワインは、すべてここに1カ月間、寝かせられるのだそうです。
敷地内に先住民族の住居を再現。ここでワークショップが開かれることもあります。zoom
敷地内に先住民族の住居を再現。ここでワークショップが開かれることもあります。
案内してくれた担当者いわく、
「ピラミッドと水晶がポジティブエネルギーを持っているのは明らか。以前、ここで地元のラジオ局がオレンジジュースの試飲をしたことがあって、明らかに味が変わると言っていました。科学的根拠があるわけではありませんけどね(笑)」とのことでした。
敷地内には、先住民族の住居を再現したヘリテージハウスもあり、ここで試飲会やワークショップなどのイベントが行われることもあるそうです。

試飲タイムは、スパークリング&アイスワインが楽しみ!

試飲スペースでは3種類まで5カナダドルから試飲ができ、さらに上のクラスのワインを楽しめるコースもご用意。グループの場合、事前に申し込んでおけばプライベートスペースで試飲会を開いてもらうことも可能です。
お楽しみの試飲タイム。スパークリングとアイスワインはぜひ試してみたい。zoom
お楽しみの試飲タイム。スパークリングとアイスワインはぜひ試してみたい。
私たちが試飲させてもらったのは、ワインコンクールでNO.1スパークリングに輝いた『Cipes Brut』をはじめ、白を2種類と赤を1種類、小ロットで作られる希少なアイスワインの合計5種類。ワインについての専門知識が乏しいため、詳しい解説ができないのが残念ですが、スパークリングはとてもドライで、白の『Blan de Noir』からはしっかりとしたミネラルが感じられました。軽めの印象があった赤は、想像以上にどっしりとした味わい。大地の香りみたいなものが伝わってきました。最後に楽しみにしていたアイスワインは、まさにデザート感覚! すっかりほろ酔いでワイナリーを後にしたのでした。
●Summerhill Pyramid Winery
www.summerhill.bc.ca

カナダのワインといえば、多くの人が思い浮かべるのが甘さが際立つアイスワイン。しかし、それだけではありません。今回訪れたケロウナでは、スパークリングに始まり、白、ロゼ、赤、そしておなじみのアイスワインまで、いくつかの個性的なワイナリーを巡り、それぞれ特色あるワインを飲み比べることができました。
ケロウナはカナダの二大ワインの産地とはいえ、家族経営の小さなワイナリーが多いため流通経路が限られ、その生産量の80%は州内で消費されるのだそう。カナダ国内に住んでいても、ブリティッシュ・コロンビア州以外ではなかなか手に入れることが難しいのだそうです。つまり、この場所へ来なければなかなか味わえない希少なワインということ。実際に訪れ、湖を見下ろす爽快なロケーションで味わうからこそ価値がある。そんなワインといえるでしょう。

取材協力:
カナダ観光局 http://jp-keepexploring.canada.travel
カナダシアター https://www.canada.jp
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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